トイザらスの第1四半期増収赤字と「トランスフォーメーション戦略」の活路

アメリカのカテゴリーキラーの代表「トイザらス」。
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「玩具チェーン」と紹介されるが、これは的確な表現ではない。

「玩具店」は業種であって、トイザらスはそれではない。

同社は玩具も主力とするが、子供用品を中心に扱う業態化した店ととらえることができる。

2014年1月末の本決算では、売上高125億4300万ドル(1ドル100円換算で1兆2543億円)。

総店舗数1577店の大チェーン。

ただし年度売上げ伸び率はマイナス7.4%で、絶不調。

純利益はマイナス10億3600万ドルの赤字。つまり1036億円の損失。

これは業態のままの店であることに起因している。

そのトイザらスの第1四半期が5月3日で終了し、先週末その決算が発表された。

売上高は24億8000万ドル、前年同期比ではプラス2.9%。

米国内の既存店売上高は4.0%増加でやや好調を取り戻しつつあるし、
日本を含む海外店舗の既存店売上高も1.0%増加。
しかし営業損失は1億9,600万ドルと、相変わらずきびしい。

トイザらスの粗利益率は37.0%と高い。前年同期比でマイナス0.4%。
一方、一般管理費は0.2%増加して、37.0%。こちらもひどく高い。
その分、営業利益はなくなった。

管理費の増加の理由は、皮肉なことに店舗数増加。

だから勘定費目別には光熱費が増大。
配送センターは1カ所の閉鎖。

この第1四半期に、情報システムを中心に、3900万ドルが追加投資された。

同社の創業は1957年、創業者Lazarus(ラザラス)氏が、
自分の名前の語尾をとって、Toys “R”(= are)Usと命名。

直訳すると、「私たちはおもちゃ屋」。

「Я」と“R”の文字が反転しているのは、幼児特有の鏡文字を模倣したもの。

その後、日本には1989年に進出。

しかし2005年、アメリカの投資会社コールスバーグ・クラビス・ロバーツに買収され、
2006年、87店舗を閉鎖、12店舗以上をBabies”Я”Usフォーマットに転換。
こちらはベビー用品のフォーマット。

主力をこのBabies”Я”Usに転換しつつある。
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さらに2009年以降、“Toys”Я”Us Express”の小型店を展開。こちらも今後の展望を模索中。

2013年アメリカ・チェーンストア・ランキングは52位。

アメリカ非上場企業ランキング2013(Forbes調べ)では21位。

同社取締役会議長及びCEOのアントニオ・アースレイ。
「トランスフォーメーション戦略」を強調する。

これは、事業構造・業務プロセスにおいて大幅な改革を行うことで、
そのための今期の情報システム投資でもある。

アースレイは「既存店売上高の増加」がその成果としている。

店舗運営の改善を継続し、長期的な経費削減にも取り組み、

同時に、より明確な売価戦略と販促作戦を展開する。

これはウォルマート対策であるとともに、Eコマース作戦でもある。

第1四半期には在庫一掃を行って、在庫回転を上げ、

在庫の中身の入れ替えを行う。

在庫問題への取り組みこそ、トイザらスの「トランスフォーメーション戦略」である。

フォーマットとしては限界が見えているが、在庫の中身を変えるということはフォーマット転換を意味していて、前向きの戦略とみることができる。

ただしそれが成果を上げ、成功するかどうかはまったくわからない。

〈結城義晴〉

 

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