イオン第1四半期は増収減益も、価格戦略にブレはないが

イオン㈱の第1四半期の連結業績が発表された。
平成 26 年3月 1 日~5月 31 日までの営業成績は、増収減益。

売上高は1兆7130億3200万円。昨年は1兆4616億8000万円だから、2513億5200円増。
同期比117.2%増と、消費増税の駆け込み需要もあって驚きの伸長率。
しかし、営業利益はマイナス35.3%の224億7100万円。
経常利益はマイナス34.0%の251億6700万円。

セグメント別にみると、GMS事業は営業収益 8432 億 2300万円(129.5%)。
しかし営業損失は 38 億400万円と前年 73 億 25 百万円の減益。

つまり赤字。

第1四半期は、「トップバリュ」商品5000品目の本体価格を値下げした。
さらにイオンの電子マネー「WAON」を活用した販促企画などを打った。

しかしその積極策が逆に既存店の販管費を102.3%と押し上げた。
とくに直営荒利益率は、
前年を 0.1 ポイント下回った。
3
月に気温の低い日が続き、春物商品の売上げが低調に推移したこと等が主な要因。

SM・DS(ディスカウントストア)・小型店事業は、営業収益 5070 億800万円(108.2%)。
営業損失 22 億 5300万円で 27 億 3200万円の減益。

こちらも赤字。

今年3月1日にマックスバリュ東北はマックスバリュ北東北㈱と合併。
さらに話題を集めた首都圏スーパーマーケット連合。
5月に、㈱マルエツ、㈱カスミ、丸紅㈱の間で、
「首都圏におけるSM連合」創設に関する基本合意書を締結。
イオンは店舗運営の集約化にマスメリットを享受する施策を加速化させている。

好調セグメントもある。
イオンビッグ及びスーパーマーケット各社が運営するDS「ザ・ビッグ」。
さらに首都圏で展開する小型ディスカウントストア「アコレ」。
価格志向が強まる中、ディスカウント業態は支持された。
都市型小型スーパーマーケット「まいばすけっと」は、出店を加速。
国内3カ所の物流センターを設置している。

 

総合金融事業は、営業収益 742 億 8300万円( 18.0%)。
営業利益も 97 億 3000百万(14.6%)と好調。
とくに電子マネー事業。
「FeliCaポケット」機能を活用した「WAON」のサービス強化を図るために、
3月にフェリカポケットマーケティング㈱連結子会社化。
その結果、第一四半期末における「WAON」の累計発行枚数は約 4140 万枚。
取扱高は約 4613 億円(132.6%)と好調に推移。

 

ディベロッパー事業は、営業収益 601 億 9800万円(113.0%)。
営業利益 100 億900万円( 90.2%)。

全国のイオングループ店舗が共同で一斉セールを実施した
「イオンカード」「WAON」を活用した販促企画も展開した。
そうした政策も奏功して、専門店売上高が前年同四半期を上回って伸長している。

 

サービス・専門店事業は、営業収益 1829 億 8900万円(103.2%)。
営業利益は75億 3400万円(110.0%)。

シネコンを展開するイオンエンターテイメントは、観客動員数が拡大。
ヒット作もあって、関連商品の販売額は大きく増加。

ジーフットは、「ダイエー」をはじめ、グループGMS店舗内おける靴専門店「グリーン
ボックス」の運営受託を積極的に進めた結果、収益が大幅に拡大した。

4つのシフトの一つ、アセアン事業は、営業収益 502 億 5700万円(116.5%)。
営業利益 9 億 64 00万
円( 60.8%)。

イオンビッグマレーシア、今年1月にイオンベトナムが開設した「イオン タンフーセラドン店」も見込み以上の客数で、順調に推移。

 

そして中国事業。営業収益 422 億 5900万円(123.9%)。
営業損失7億 12 百万円(1億 1900万円の増益)。
天津エリアにおける事業基盤の確立を目指し、1月に永旺華東(蘇州)商業有限公司が同市3号店となる「イオン天津梅江店」を開設。
さらに江蘇省における 1 号店出店の準備も進んでいる。

 

「4つのシフト(「アジアシフト」「都市シフト」「シニアシフト」「デジタルシフト」を掲げるイオン。
同時に「トップバリュ」をはじめとする、「商品本位の改革」を掲げ、
それぞれの成長領域への集中的な経営資源の配分を進める。

 

そして日経新聞7月5日の記事。
「『安さ』か『ちょい高』か  各社、売れる価格帯探る」。
イオンは7月4日日から、
大幅値下げを断行。
グループ1700店で売れ筋の食品や生活用品約100品の「増税後の消費者の節約志向は想定以上に強かった」(森美樹副社長)。

一方、多少高くても購入する「ちょい高」ニーズをつかもうとする動き。
高島屋では1品あたりの販売単価が2%上昇した。
一部の海外高級ブランドは、前年並みまで回復。

ニトリホールディングス(HD)は、比較的高額な商品の売れ行きが好調。
例えば
従来より約2割高い5万円前後のソファなど。

各社はどちらのニーズを取り込む価格戦略をとるのか。

日本スーパーマーケット協会会長・ヤオコー会長の川野幸夫さんの発言。
「いたずらなディスカントは回避したい」。

10%増税を視野に入れたイオンに、価格戦略のブレはない。
「チョイ高消費」と言われようと、それが増収減益だろうと、
イオンはイオンの価格戦略を突き進む。

それがイオンのポジショニングの一つの要素だ。

ただし、ディスカウント路線だけで伸び続けることもまた、難しい。

最後の最後は、「マージン・ミックス」が利益を生むための絶対的な定石だからだ。

 

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