イオン2015年2月期決算は過去最高7兆円突破ながら減益

2015年2月期決算が続々と発表されている。
9日に発表された小売業№1企業のイオン。

 

イオン及び連結子会社 284 社の連結営業収益は7兆0785億7700万円(前期比110.7%)、連結営業利益は1413 億 6800万円(同 82.5%)、連結経常利益1525 億0900万円(同 86.2%)、当期純利益は420億6900万円(同 92.3%)。営業収益は過去最高となるも、価格優位を実現する施策を強化した結果、減益となった。

事業ごとに見ていこう。
イオンのGMS事業はイオンリテール、イオン北海道、イオン九州、サンデーで構成されるが、期末の総店舗数は618店(前期比8店増)。これらの成績は、営業収益3兆3555億8400万円と前期比109.9%ながら、営業損失16億4600万円。前期より366億8500万円の減益と厳しさを増した。
中核企業のイオンリテールは営業収益2兆1172億3100万円(98.9%)と健闘するも、営業利益25億1800万円、経常利益27億1500万円、営業損失51億9300万円と大幅なダウンとなった。
既存店売上高は対前期比97.2%。衣料95.5%、食品97.5%、住居余暇97.6%とすべて前年割れだった。消費増税、天候不順が売上げに影響し、かつ集客施策の販管費がアップしたため、営業損失が生じたとイオンでは分析する。
イオンスタイル、GGモール、キッズリパブリックなどのフォーマット開発を進めるも、いまだ果実は熟さない。総合スーパー改革は「道遠し」なのか。

もうひとつの柱SM・DS(ディスカウントストア)・小型店事業。マックスバリュ6社(北海道・東北・東海・西日本・中部・九州)とミニストップ。こちらは営業収益2兆1612 億6600万円(前期比109.8%)、営業利益84億9500万円(同47.7%)とまずまず。

イオン銀行、WAONカードなどの総合金融事業は、営業収益3297億7600万円(前期比115.4%)、営業利益530億5800万円(同129.8%)。WAON加盟店のネットワーク拡充を図り、期末の累計発行枚数は約4815万枚、取り扱い高は約1兆9261億円(同122.1%)と、こちらは好調だ。

 

イオンモール等のディベロッパー事業は、営業収益2496億5400万円(前期比113.6%)、営業利益432億 4700万円(同99.7%)。
サービス・専門店事業は、営業収益7049億2100万円(前期比102.0%)、営業利益245億9700万円(同
105.3%)。この事業はイオンディライト、イオンファンタジー、ツヴァイ、ジーフッド、コックス。
イオンが掲げる「アジアシフト」の2事業はどうか。アセアン事業は営業収益2092億1700万円(前期比115.2%)、営業利益 61億7300万円(同 93.5%)。もう1つの中国事業は、営業収益1684億9500万円(前期比115.8%)、営業損失8億1800万円で、前期より9億4600万円の改善を見た。

つまり、営業収益だけを見るとどの事業も好調だが、利益面では苦戦した2015年2月決算。とりわけ総合スーパーのGMS事業は構成比が高いだけに、利益の悪化が全体の足を引っ張る結果となった。

 

総合スーパーの改革はイオンも、セブン&アイも、ユニー、平和堂、イズミにとっても、深刻な課題だ。

 

イオンではイオンスタイルストアのフォーマット開発を急ぐが、その果実はそう簡単には手にできない。なぜなら商品の品揃えが広く、低価格を志向するハイパーマーケット(総合スーパー)展開で成功しているのは、移民国家で人口増のアメリカにおけるウォルマート、さらにこれも先進国ながら人口増加しているフランス国内のカルフールやオーシャン。だから中産階級をメインターゲットに価格を打ち出すイオンの総合スーパー改革は、人口減、少子高齢化の進む日本では、きわめて難しい課題への挑戦といえる。それでも618店を擁するイオン。この改革なしには次の時代はない。

 

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