日本マクドナルド本決算売上高15.6%減ながら本年は12.9%増宣言

日本マクドナルドホールディングス(株)の平成27年12月期の連結業績が発表された。

全店売上高(直営店舗とフランチャイズ店舗の合計売上高)は3765億5200万円、昨年が4463億0700万円だから、対前年比マイナス15.6%と、大幅な落ち込みとなった。本社売上高は1894億7300万円で、こちらはマイナス14.8%。既存店売上高は前年比マイナス15.2%、既存店客数マイナス11.6%、全店客数マイナス12.3%となり、 その結果、営業損失252億3300万円、経常損失276億9100万円、純損失347億0400万円と、昨年よりも損失幅が拡大。

平成27年度は、再成長に向けた基盤構築のための「ビジネスリカバリープラン」に沿って経営は進められたが、それに155億円が投資された。また、減損損失や戦略的閉店などに伴う特別損失を合計72億円計上した。この二つの前向きな投資が損失を膨らませた要因だ。

ビジネスリカバリープランは平成27年4月17日に発表されている。概要をおさらいしておく。

第1に「よりお客様にフォーカスしたアクション」。
・より幅広い選択肢からお好みのメニューを選べる新しいセットメニューのメカニズムの導入
・ハッピーセット用の新メニューの導入
・クーポンの配信を可能とする公式モバイルアプリのリニューアル
・真の声をリアルタイムに伺えるモバイルアプリ「KODO」のリリース

第2に、「店舗投資の加速」。
全国の既存店の改装のスピードを上げ、今後4年間で約2000店舗を改装し、現在25%ほどのモダンな店舗の割合を90%にまで上げる。平成27年度は、フードコートやモールにある店舗を含めて約500店舗の改装を計画し、一方で131店舗を閉店する。

第3に、「地域に特化したビジネスモデル」。
全社マーケティングや商品開発、オペレーションシステム開発などのマクドナルドシステム全体としての活動を「ビッグM」、地域やその店舗に根差した活動を「リトルM」と定義し、「リトルM」の活動を強化する。

第4に、「地区本部制の導入」。
日本を3つのエリアに分け、マーケティング、人事、財務といった機能を各地域に持たせ権限委譲を進める。

第5に、「コストと資源効率の改善」。
長期的なビジネスの成長に投資を集中するため、人材や資金などのリソースの最適な配分や抜本的なコスト構造の見直しを図る。
具体的には、既存店への投資、戦略的な店舗閉鎖、人材の適材適所への再配置、さらに本社スタッフを対象とした早期退職制度(約100人)を実施し、原材料費や物流コスト、間接費を削減する。

この発表段階で、業績に対する責任を明確にするため、役員報酬を6カ月間、代表取締役社長20%、昨年から留任している代表取締役15%、取締役10%をそれぞれ減額することを決定している。

同社によれば、「売上高、利益ともに対前年比で大幅な減少となるが、ビジネスリカバリープランの実行に注力した結果、ビジネスは着実に回復」してきている。さらに「既存店売上高対前年比がマイナス32.3%であった第1四半期から第4四半期はプラス1.8%になるなど、特に下期以降ビジネスは着実に回復基調」にある。

そして平成28年度の戦略については、平成28年度も「よりお客様にフォーカスしたアクション」「店舗投資の加速」「地域に特化したビジネスモデル」「コストと資源効率の改善」の4つの柱からなるビジネスリカバリープランを継続させ、黒字化を目指す。

第1の「よりお客様にフォーカスしたアクション」は二つ。
まず、「メニュー」の面では、レストランビジネスの根幹であるメニューをさらに強化する。具体的には、名前募集バーガーのような、マクドナルドならではのわくわくする商品や季節限定メニュー、地域の特産品を使用した商品等を継続して提供する。
さらに「バリュー」面は、昨年10月に導入した200円の新メニュー「おてごろマック」は朝食時間帯を除き、曜日や時間に関わらず顧客に高いバリューを感じてもらえる商品として、好評。1月には新商品「チキンチーズバーガー(チキチー)」を導入したが、今年度は新しいバリューを提供する。

第2は「店舗投資の加速」。
積極的な改装を行った結果、平成27年度末時点で47%がモダンな店舗となった。今年度も改装への投資を継続し、今年度末時点で500~600店舗、平成30年度末時点で90%がモダンな店舗となる見通し。

第3は「地域に特化したビジネスモデル」。
地区本部制の導入により、その地域特有のニーズにこたえることも可能となり、その結果、各地域・各店舗での取り組みが非常に活発化した。今年度もこの流れを加速させ、「地域で最も愛される店舗作り」に取り組む。

そして第4は「コストと資源効率の改善」
昨年度に計画した戦略的閉店は今年度初旬に全て完了する見込み。

サラ・カサノバ社長は決算会見で平成28年12月期を全店売上高がプラス12.9%の4250億円、本社売上高はプラス16.1%の2200億円を見込むと発表した。営業利益は33億円、経常利益は22億円、そして純利益は10億円。

しかし日本マクドナルドの約5割の株式を保有する米国本社が33%程度を売却する方針だ。その行方をいい方向にするためにも、10億円の純利益は必達となる。

検索ワード;日本マクドナルド  ビジネスリカバリープラン サラ・カサノバ

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