三越伊勢丹HD上期は売上高▲5.2%、営業利益▲57.9%で構造改革急務

三越伊勢丹ホールディングスは11月8日、2017年3月期第2四半期の連結決算を発表した。第2四半期までの累計売上高は5821億7300万円(前年同期比▲5.2%)、営業利益61億円(▲57.9%)、経常利益75億7800万円(▲55.0%)、当期利益83億3800万円(▲23.3%)と厳しい結果となった。

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主力の百貨店事業は、売上高5323億3000万円(▲5.9%)、営業損失は4億5800万円(前期は営業利益89億5700万円)。

商品別の売上高では、婦人服が93.4%、紳士服が前期比94.2%、子供服が98.5%、呉服寝具が97.1%、衣料品全体では94.2%と、引き続き主力部門の減退に歯止めがかかっていない。商品全体で見ても、前期比で上回っているのは化粧品の110.1%だけだ。

百貨店以外の事業でも、マイナスが並ぶ。
クレジット・金融・友の会事業は、売上高183億900万円(3.9%)、営業利益30億4200万円(▲1.0%)。

伊勢丹フードサービスを含む小売・専門店事業は、266億1500万円(▲1.7%)、営業損失8億2000万ドル(営業損失7億3400万円)。

不動産事業の売上高は202億5300万円(▲9.1%)、営業利益31億6200万円(1.9%)。

旅行業務などのその他事業は、売上高373億2000万円(7.8%)、営業利益10億4400万円(営業損失8700万円)。

なお、通期は、売上高1兆2500億円、営業利益240億円、経常利益250億円、当期利益130億円を見込む。

 

8日に記者会見した大西洋社長は、「不採算事業・店舗は早期の意思決定をしていく」と発表。すでに報道されているように、三越千葉店(千葉市)と三越多摩センター店(東京都多摩市)は2017年3月に閉店する。これに加え、収益性の低い伊勢丹松戸店(千葉県)、伊勢丹府中店(東京都)、広島三越、松山三越の4店舗についても、自社売場の面積を縮小し、テナントを導入するなど、抜本的な見直しを進めると発言している。
また、2019年3月期に連結営業利益500億円を目指す計画は、達成年度を2021年3月期までと2年先送りする。

 

日本の百貨店は成熟から衰退へと向かっている。それは確かな事実だ。
業態のピークは1991年の11兆3500億円。店舗数は478店だった。それから下降の一途をたどり、2007年には7兆7000億円、271店にまで縮小。さらに、2014年度『百貨店調査』では6兆3171億円、213店。わずか7年ほどで1兆円縮小している。

 

しかし百貨店業態が衰退しても、立地が良くて売場面積が広い旗艦百貨店は好調だ。大商圏型の伊勢丹新宿本店、阪急梅田本店しかり。したがって松戸や府中、広島、松山など、地方都市に立地する店舗を見直すことはある意味正しい判断だろう。ただし売場面積の縮小でコスト削減を図るだけでは、構造改革にならない。
業態発想からの転換こそが百貨店に突き付けられている。

 

アメリカでは百貨店のオフプライスストアへのシフトが顕著だ。ノードストロームラック、メイシーズ・バックステージ、ニーマンマーカス・ラストコール、サックス·フィフス·オフ・フィフス、ブルーミングデールズ・アウトレットなど。商品買い取り制度がこの百貨店のオフプライスストア戦略の背景にあるが、日本の百貨店にはその道はない。

検索ワード:  三越 伊勢丹 百貨店 決算  大西洋

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