経済産業省発表「9月の商業統計速報」百貨店・コンビニ売上増、スーパー既存店苦戦

経済産業省は28日に平成26年9月の商業販売統計速報値を発表した。
経済産業省が定義する「商業」とは「小売業と卸売業」を指す。
平成26年9月の商業販売額は39兆2840億円、前年同月比1.5%の増加。
これを卸売業、小売業別にみると、卸売業は28兆420億円(同1.2%増)、小売業は11兆2420億円(2.3%増)。

この商業販売額の季節調整済前月比は、4.0%の増加で、同じく卸売業2.7%、小売業2.7%の増加となった。

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業種別に小売業をみても、いずれも前年同月比増。

増加率の多い順に見ると、
①織物・衣服・身の回り品小売業が9.7%増、
②医薬品・化粧品小売業が3.7%増、
③スーパーマーケットなどの飲食料品小売業が3.4%増、
④その他小売業が1.0%の増加、
⑤各種商品小売業(百貨店など)が0.8%の増加、
⑥自動車小売業が0.8%増、
⑦燃料小売業が0.6%増。

大型小売店の9月の販売額は1兆5308億円で、前年同月比1.7%の増加。
その中で百貨店は4885億円、1.5%増、スーパーは1兆0424億円、1.7%増。
季節調整済みでは、大型小売店は1.2%の増加で、百貨店は1.9%、スーパーは0.7%のプラス。

大型小売店全体の商品別動向を見ると、衣料品は1.8%増、飲食料品は2.1%増、その他は0.4%増。

では、スーパーの商品別動向はどうか。
衣料品は、その他の衣料品が前年同月比マイナス2.0%、婦人・子供服・洋品がマイナス1.1%。一方、身の回り品が2.0%、紳士服・洋品が0.7%の増加となった。その結果、衣料品全体では0.1%の微減。
主力商品である食料品は、2.4%のプラス。
ただし、家庭用電気機械器具が4.9%マイナス、家具が4.0%マイナス、家庭用品が1.5%マイナス。非食品は厳しい。

これら大型店の既存店だけを見ると、全体では0.5%の増加。そのうち百貨店は1.7%のプラスだが、スーパーは0.1%の減少。総合スーパー業態の苦戦がこの数値を見てもわかる。

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一方、大型店と対比されやすい小型店を代表するコンビニ。
9月のコンビニの商品販売額及びサービス売上高は、8742億円、前年同月比5.6%の増加。
内訳は商品販売額は8327億円(5.4%増)、サービス売上高は415億円(10.1%増)。

商品別にみると、ファーストフード及び日配食品が3235億円(7.9%増)、加工食品が2315億円(4.7%増)、非食品が2777億円(3.1%増)。

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〈表はいずれも経済産業省作成〉

ここで不思議な現象が起こっている。
日本フランチャイズチェーン協会が発表した9月のコンビニエンスストア統計との差異。

協会発表の全店ベース売上高は前年同月比でプラス3.2%、既存店はマイナス1.3%。

協会は今年7月から商品別動向を全店ベースから既存店ベースに変えた。だから、弁当・惣菜などの日配食品が昨対比プラス0.8%、加工食品はマイナス2.2%、非食品マイナス3.5%、サービスがプラス5.0%。

日配品は経産省・協会ともにプラスだが7.9%と0.8%、加工食品は4.7%増と2.2%減。非食品は3.1%増と3.5減。
これは全店ベースと既存店ベースとの違いである。

しかしそれでも全店ベースの売上高は経済産業省5.6%に対して、協会3.2%増。
協会は大手コンビニ10社の統計であるのに対して、商業統計速報は「一定規模以上のコンビニエンスストアチェーン」。この違いが出ていることになる。

大手10社とそれ以外も合わせた数値を見ると、それ以外の方が2.4%上回っている。大手10社の中のセブン-イレブンの9月は5.7%増、ローソンは0.5%減、ファミリーマートは8.3%増と凸凹があるが、10社以下のコンビニチェーンが、もしかしたら好調なのかもしれない。

フィリップ・コトラーのマーケット・リーダー、マーケット・チャレンジャー、マーケット・フォロワー。それにマーケット・ニッチャー。
リーダーやチャレンジャーとニッチャーが好調で、フォロワー群が落ち込んでいる。

経産省と協会の両統計の差異から、そんなことも見えてくる。

要は、業界・業態で十把一絡げに捉えてはならないということだ。当然のことではあるけれど。

 

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