スーパーマーケットの2月実績は全店プラス1.8%、既存店プラマイゼロ

スーパーマーケット2月の販売統計結果が発表された。

日本スーパーマーケット協会(JSA)、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)の3団体の合同発表で、今月の発表担当はJSA。

2月の実績は以下の通り。
総売上高 7625億7508万円 既存店前年同月比プラスマイナス0%
食品合計 6775億8012万円 プラス0.4%
生鮮3品合計 2562億8453万円 プラス2.0%
青果 1021億3618万円 マイナス0.2%
水産 694億2940万円 プラス3.4%
畜産 847億1894万円 プラス3.5%
惣菜 736億5173万円 プラス5.6%
日配 1428億6392万円 マイナス0.9%
一般食品 2047億7994万円 マイナス2.3%
非食品 565億7894万円 マイナス4.5%
その他 284億1602万円 マイナス0.4%

販売動向について、日本スーパーマーケット協会の江口法生事務局長が報告。
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「2月の特徴については3つのポイントがある。一つ目は昨年4月に消費税が増税されたことから、駆け込み需要として2月からその影響があり、既存店プラス2.3%と大幅に伸長した。今年度への影響を懸念していたが、結果として全店でプラス1.8%、既存店でプラスマイナス0で、なんとか今年の売上げは確保した」

「次に昨年は2週連続で大雪が降ったことから、降雪前の買いだめが発生した。外食産業は厳しかったが、食品スーパーマーケットは好調だった。今年は雪が降らなかったので、影響が多少はあったか」

「2月はカレンダーマーケットで節分とバレンタインが目玉。ことに節分に関しては悪かったという言葉が一つも見当たらないくらい、太巻き・中巻きともに全社好調だった模様。ただし、それ以外は売れない、限定的なマーケットである。今年のバレンタインは土曜日だったため、義理チョコが減った。トレンドとしては義理チョコが減っている一方で、自分への『ご褒美チョコ』として、良いもの・高級なものが伸びているという傾向がみられる」

「商品別では生鮮3品が相変わらずいい売上げをあげている。青果は相場安の影響もあって前年クリアとはならなかったが、水産・畜産ともにプラス3%台を確保した。水産はここのところやっと売上げが戻ってきた感がある。惣菜は昨年の後半から好調を維持している。一方で、日配や一般食品のように昨年の売上げの伸びが非常に大きかった部門は厳しかった。来月はもっと厳しいのではないか」

今月のゲストスピーカーは株式会社マルエツの上田真代表取締役社長。
マルエツの営業概況などについて詳細に語った。

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まずは2月の結果。
「マルエツの2月既存店売上高はプラス3%だった。ちなみに昨年がプラス6.3%で、特に関東のスーパーマーケットは絶好調だった。今月の節分の恵方巻は当社過去最高の売上高を確保することができた。季節祭事の仕掛けをしたプロモーションは確かな手ごたえを感じるようになってきた。これまで8カ月連続で畜産部門がトップを走ってきていたが、2月は実は水産が一番良かった。プラス7.8%。生鮮3部門とデリカが好調で、全体を引き上げた」

そして直近の3月の動向。
「3月の傾向は2月とほとんど変わらない。昨年は増税前の駆け込みがあって、プラス9.5%と、今年はかなり厳しい数字を追いかけることになる。前年クリアするところまではまだ分からないが、今のところ堅調に推移している。平均日販の推移という観点からいうと、足元商圏はかなり強いことが分かっている」

さらに通期でのトレンドを発表。
「14年度2月期の年間では畜産がプラス12.5%、農産が8.5%と相場に大きく後押しされて大幅伸長。デリカも含めた生鮮4部門は13年度も前年クリアしている。2年連続で4部門が前年クリアした年は遡ると2007~2008年にかけての1度のみ。2009年以降は2012年まで前年割れ傾向が続いた。現在、アベノミクスなどの経済の指標が変わってきている。今年10月に予定されていた再増税も2017年まで延期された。2015年は比較的堅調にいくのではないか」

マルエツはどのようなことを意識的に取り組んでいるのか。
「2013年の下期から実績数字の潮目が大きく変わってきているように感じている。我々スーパーマーケットにとって生鮮・惣菜は基本中の基本。これをいかに強化するか。チラシ誌面での露出度を上げ、生鮮・惣菜を売り込んでいく。また高齢化、単身世帯数が急激に増加しており、マルエツでも店舗によっては単身世帯数が商圏の6割を占めるところもある。これを背景に少量パックやバラ販売を強化している企業が多いなか、安易に少量・バラ売りにこだわらないようにしている。もちろん刺身などの商品によっては食べ切りや当日使い切りを謳うのが原理原則である。ただし、生鮮食品でも買い置きや作り置きも目的とした商品もたくさんある。単身世帯だからと言って、リンゴを一つしか買わないとは限らないのだ」

マルエツプチでの商品展開について。
「マルエツプチという40坪の小型店では、1アイテム1SKUが原則。たとえば、アジの干物を並べる際、1枚入を置くのか、2枚入りを置くのか、3枚入りを置くのか。ゆったりした店舗なら、全種類置き、それに加えてバラ販売もすればSKU的にはある程度展開できる。しかしマルエツプチでは商圏によっては1枚入りではなく、あえて2枚入りだけ置くようにしている。もちろん、少量パック・バラ売りは重要だが、そこだけにこだわってしまうと、わざわざ客単価、一品単価を下げることになってしまうのだ」

「経済性を重視した品揃えがベースだか、もちろん高級・高質の商品についても展開しなければならない。結果として品揃えの幅を広げるということを意識的に取り組んでいる。生鮮に関してはこのように品揃えをし、堅調に推移している。しかしある程度のところまで数字が伸びてくると、そこからさらに伸ばすということは難しくなる。私たちは日夜工夫しながら新しいことに取り組んでいかなければ、今の数字は維持できない。2015年も継続した課題で最優先にやっていかないといけない」

Tポイント カードを導入して見えてきたこと。
「Tポイントカードを導入して丸2年になる。マルエツプチなどを含む全店の数字として、売上げの80%強はTポイントカード会員さんによる売上げ。客数換算では74%強。これを分析する上で重視しているのはユニークユーザー。レジを通過した回数ではなく、何人のカード保有客がいたかを調べた。2月の客数のプラス9.5%から算出すると、2月ひと月で22万500人のユニークユーザー増えていることが分かった。一番売れたのは70歳台、50代歳台、40歳台と続く。ユニークユーザーは確実に増えている一方で、入れ変わっているということも分かった。来店客数が一年で一番多い月は12月なのだが、2013年12月に来られたユニークユーザーは246万人いた。一年後の2014年12月は270万人だったので、24万人のユニークユーザーが増えたように見える。しかし、2013年12月のユーザーが1年後に継続して利用していた数は156万人で、90万人は離反している。つまり、一年間で100万人規模の入れ替えが起こっているということなのだ。これはかなり大きなマーケットの変化といえる。我々スーパーマーケットはいかに固定客をつかむかが重要。顧客はいつでも離反する可能性があり、また来てくれるチャンスもいつもある。やはり地域密着が大事というスーパーマーケットの原点に戻る」

スタートを切ったばかりのユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス。
「ユナイテッドスーパーマーケットホールディングスはマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社による持ち株会社を3月2日に設立して誕生した。現在、10名を超える程度の小さな本社には10のプロジェクトチームが立ち上がっている。商品や物流、業態開発、資材調達など。3社からそれぞれの部長クラスが集まって打ち合わせをしており、意外と効果が早く出そうな手ごたえを感じている。それぞれの事業会社がすでにやっている良い部分はすぐに導入して真似し、共同でアクションを起こした方がコストを下げられるなどのメリットも現れてきている。しかし、それもこれもまずはぞれぞれの会社が強い事業体でなければいけない。そのためにスーパーマーケットの強みである地域のお客さんとの共生を念頭に置きながら、さらに商売をブラッシュアップしていこうと考えている」



11カ月ぶりにプラスに復調した百貨店。

11カ月連続でマイナス基調のコンビニと総合スーパー。
そんな小売状況のなか、唯一、増税後の5月以降10カ月連続で前年クリアしている
スーパーマーケット。

高齢だろうが若かろうが、大家族だろうが単身だろうが、セレブだろうが、庶民だろうが。増税しようがしまいが。スーパーマーケットにはかならず訪れ、買い物をする。毎日の食卓提供業は強い。昨年4月増税以降の販売統計がそれを如実に物語っている。

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