百貨店の11月は8カ月ぶりのマイナス、その理由はお天気‼

12月18日、全国百貨店の11月売上高概況が日本百貨店協会から発表された。調査対象百貨店は、今月も82社238店と変わらず。

売上高は5418億9045万円、前年同月比マイナス2.7%、8カ月ぶりの減となった。
総店舗面積は、603万5271㎡(前年同月比▲1.1%)、総従業員数は、7万7323人(同▲1.6%)。店舗面積と従業員数も売上高同様、前年同月より減少した。

また入店客数増減をみても、有効回答数137店舗のうち、
・増加した 19店
・変化なし 32店
・減少した 86店
という厳しい結果だった。

11月は全般を通して天候不順や温暖な気候、昨年に比べ土曜日が1日少なかったことが、大きなマイナス要因となった。お天気頼みだった売上げは、お天気悪化によってダウンした。

西日本では日照時間が統計開始以降最も少ない月となり、また下旬は低気圧の影響で北日本では大荒れとなり、北海道は大雪を記録。また全国的には気温が高く、特に中旬は記録的な高温となり、冬物衣料に大きく影響した。

地区別の売上前年比をみると、プラスだったのは2都市。
京都が、219億8256万円、プラス0.6%(4カ月連続)。
東京は、1461億9035万円、プラス0.2%(8カ月連続)。
その他の8都市は、
大阪▲1.2%、札幌▲2.9%、福岡▲2.9%、仙台▲3.3%、横浜▲3.7%、
名古屋▲3.7%、神戸▲3.7%、広島▲3.8%とマイナスとなった。

10都市以外の地域でも中国▲2.8%、近畿▲3.9%、四国▲4.0%、九州▲4.7%
関東▲6.2%、中部▲6.2%、東北▲7.9%、北海道▲9.1%と全てマイナスとなり全国的に厳しい結果となった。

商品別では主要5品目の結果は、
衣料品1736億0461万円、マイナス8.5%(2カ月ぶり)
身のまわり品655億0671万円、マイナス0.8%(8カ月ぶり)
雑貨877億0167万円 、プラス7.2%(8カ月連続)
家庭用品248億3212万円、マイナス3.7%(3カ月ぶり)
食料品1603億0010万円、マイナス1.7%(3カ月ぶり)
とマイナスが並ぶ中、雑貨は7.2%のプラスと唯一好調をキープした。

細分類はどうか。
主力の衣料品は、紳士服▲9.2%、婦人服▲9.0%、子供服▲5.5%、その他衣料▲4.9%と全てマイナス。平均気温が高く推移したことで、コートやジャケットなどの冬物衣料が伸び悩んだことが大きな要因だ。

身のまわり品は、前月まで好調だったが、8カ月ぶりのマイナス。雑貨は、化粧品11.1%、美術・宝飾・貴金属が11.3%プラスを計上し、インバウンド効果は衰えず、唯一元気だ。家庭用品は、家具が0.5%、家電2.8%プラスとなったが、その他雑貨が▲6.0%となった。食料品は、生鮮食品、惣菜が精彩を欠いて、3カ月ぶりのマイナスとなった。

訪日外国人客の動向は、購買客数が72.4%増の約21万人、売上高も66.5%増(約156億円、累計約1765億円)となり、2013年2月から34カ月連続でプラスとなった。消耗品シェアも確実に実績を高め、昨年10月の免税制度改正以降最高となる22.7%を記録した。

大手百貨店グループの11月の売上高を見てみよう。

・㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計) 対前年比▲1.9%
三越伊勢丹計 対前年比▲0.5%
項目別(三越伊勢丹計)に見てみると、衣料品計は、▲5.9%。唯一子供服・洋品だけがプラス3.8%となったが、冬物衣料が苦戦した。しかし、ハンドバッグや化粧品などが好調で雑貨はプラス11.2%。他の項目でプラスとなったのは、家具インテリア3.2%、食料品0.5%、その他23.9%で、あとはマイナスが並んだ。

・J.フロント リテイリング㈱   対前年比▲2.8。
衣料品計は、▲7.6%。コートやブーツなどの冬物ファッションの動きが鈍く全項目がマイナスだった。また一方では、インバウンド効果により化粧品12.9%、美術・宝飾・貴金属が21.4%、その他の雑貨3.3%のプラスとなり、雑貨計は15.9%のプラスと好調であった。また家庭用品が不調だったが、その原因は、名古屋店第3期改装による売場面積の減少。また食料品は、名古屋店の大型催事の開催月変更の影響が大きくマイナスとなった。

・㈱髙島屋(単体13店舗) 対前年比▲1.0%  
雑貨がプラス10.8%と好調で、細分類では化粧品13.2%、美術・宝飾品・貴金属9.0%。身のまわり品2.3%。インバウンド需要の影響で好調だった。
衣料品計は▲8.0%で、細分類でも紳士服・洋品▲11.9%、婦人服・洋品▲7.5%、子供服・洋品▲1.7%、その他の衣料品▲4.1%となり足を引っ張った。

・エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  対前年比▲2.0%
雑貨が好調で、27.1%のプラス。その他が1.1%のプラスだったものの、衣料品の▲6.5%を始め、身のまわり品▲4.5%、家庭用品▲14.6%、食料品▲3.4%、食堂・喫茶▲16.9%、サービス▲27.8%とマイナスが並んだ。

11月は、どの百貨店もマイナスを計上し、苦しい1カ月となった。10月は衣料品が好調であったが、11月は一転して衣料品の不振が全体を引き下げた。どの企業もその要因として日本百貨店協会から発表されたマイナス要因と同様の理由、高温の影響と土曜日の1日減を理由にあげている。衣料品の売上げ増には12月以降の寒さに期待するしかないのだろうか。その中でも、インバウンド需要の雑貨がどの企業でも好調を維持している。

百貨店は今後も、天気予報と訪日外国人客の動向から目が離せない。

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