【1月商業動態統計】販売額は昨対比▲4.3%、ドラッグストア7.8%増!

経済産業省から1月の商業動態統計速報が発表された。毎月20日頃から各協会より業態別売上速報が報告されているが、経済産業省は月末に発表がある。そして月が替わり15日頃には確報が配信される。

1月の商業販売額は34兆7110億円となり、前年同月比▲4.3%だった。
季節調整済前年同月比も▲1.1%の低下となった。
「商業」とは「卸売業」と「小売業」を合わせた業種のこと。

(季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数である。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために生まれたものである。)

1.卸売業の販売額動向

販売額は、23兆2320億円で▲6.3%。しかし、季節調整済みでは0.5%プラスとなった。

業種別でプラスとなったのは、食料・飲料5.5%、医薬品・化粧品0.2%の2項目。

減少したのは、鉱物・金属材料▲14.7%、化学製品▲12.9%、各種商品▲12.1%、
その他▲10.3%、衣服・身の回り品▲6.2%、繊維品▲6.1%、農畜産物・水産物▲4.9%、
機械器具▲4.5%、家具・建具・じゅう器▲1.5%、建築材料▲0.1%とマイナスが並んだ。

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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による)

大規模卸売店販売額は7兆6848億円となり、▲8.6%となった。

業種別にみるとプラスだったのは、輸送用機械器具で41.0%と大幅に増加。
食料・飲料がプラス8.1%、医薬品・化粧品もプラス5.2%だった。

一方マイナスだったのは、鉱物▲33.2%、一般機械器具▲32.8%、石油・石炭▲29.7%、
鉄鋼▲21.2%、非鉄金属▲19.8%だった。

2.小売業の販売額動向

販売額は、11兆4790億円で▲0.1%。季節調整済みも▲1.1%マイナスだった。

業種別で増加となったのは以下のとおり。
医薬品・化粧品4.5%、織物・衣服・身の回り品3.3%、飲食料品2.5%、その他1.6%、
自動車1.4%、機械器具1.4%。

一方、減少したのは、燃料▲11.4%、各種商品(百貨店など)▲0.5%の2項目。

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小売業の中での業態別の結果をみると、百貨店・スーパーの販売額は、1兆6915億円、プラス2.1%。既存店でも1.0%のプラス。しかし季節調整済は▲1.3%となった。

【百貨店】
百貨店は5869億円で▲2.1%(既存店▲1.5%)。季節調整済でも▲4.5%となった。

主力の衣料品は、全体で▲5.1%。(既存店▲4.6%)
詳細をみると、身の回り品だけが0.4%のプラス。
紳士服・洋品▲8.4%、婦人・子供服・洋品▲6.9%、その他の衣料品▲3.1%となり不調だった。

飲食料品は、プラス0.3%。(既存店プラス0.9%)

その他は、全体でプラス2.1%。(既存店プラス2.7%)
内訳をみると、プラスとなったのは家庭用電気機器器具7.6%、その他商品3.8%、
家庭用品0.3%の増加。
一方、減少したのは、家具▲7.0%、食堂・喫茶▲3.4%だった。

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日本百貨店協会から発表された1月の百貨店の業績をみると、売上高は5309億8127万円、前年同月比▲1.9%となり2カ月ぶりのマイナスだった。暖冬の影響を受け、冬物衣料の売上げ不振により不調だったものの、インバウンド需要が大きく伸びてマイナスは1.9%で抑えられたとの結果だった。

【スーパー】
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆1046億円でプラス4.3%。既存店はプラス2.4%であった。
季節調整済でも0.6%のプラスとなり好調だった。

衣料品全体ではプラス1.6%。(既存店ではプラス2.3%)
内訳をみると、その他の衣料品は0.0%と横ばいだったものの、
婦人・子供服・洋品2.3%、身の回り品2.2%、紳士服・洋品0.3%となりすべてプラスだった。

そして「スーパー」の主力商品である飲食料品もプラス4.3%、既存店でも3.0%の増加となり好調だった。

また、その他は全体ではプラス6.1%。(既存店は▲0.1%)
なかでも家庭用電気機械器具プラス22.6%と大きな伸び。家具プラス11.8%、
その他の商品プラス5.1%、家庭用品0.8%の増加。

一方、食堂・喫茶が▲1.9%と振るわなかった。

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日本チェーストア協会より発表された1月の「チェーンストア販売統計速報」によると、
総販売額は1兆1227億3473万円、既存店プラス2.3%という結果だった。上旬の気温高が影響したものの、食料品はまずまずの動きだった。衣料品は上旬が高温で伸び悩んだが、中旬以降は1月らしい気温に下がったことで売れ行きが回復したとの結果だった。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高は8849億円で、プラス4.9%。
内訳は商品販売額が8353億円でプラス4.9%、
サービス売上高は495億円となりプラス5.1%だった。

商品別にみると、
ファストフード及び日配食品は3298億円(プラス7.5%)
加工食品は2354億円(プラス6.2%)
非食品は2701億円(プラス0.8%)とすべてプラスと好調。

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日本フランチャイズチェーン協会が発表したコンビニエンストアの1月統計調査月報によると、
店舗売上高は、既存店は7502億0700万円(プラス1.0%)で10カ月連続のプラス。
全店ベースでは、8198億9500万円(プラス4.1%)と35カ月連続のプラスと報告されている。
1月中旬以降は、強い寒気の影響から低温となったが、前半は平均気温が高く、来店客数が伸びたことにより、全店・既存店ともに売上高は前年を上回る結果となった。

【家電大型専門店】
販売額は、3737億円(プラス3.2%)。
商品別でプラスとなったのは、通信家電10.8%、生活家電10.4%、その他7.2%。
一方マイナスは、カメラ類▲16.7%、情報家電▲3.5%、AV家電▲3.0%の減少となった。

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【ドラッグストア】
販売額は、4347億円(プラス7.8%)。
商品別では、食品12.2%、ビューティケア(化粧品・小物)9.7%、トイレタリー8.4%、
家庭用品・日用消耗品・ペット用品7.1%、健康食品7.1%、その他6.9%、OTC医薬3.2%、
ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー2.4%となり、1月もすべてのカテゴリーでプラスと好調を維持。

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【ホームセンター】
販売額は、2421億円(プラス3.0%)。
商品別でプラスとなったのは、電気9.8%、カー用品・アウトドア7.4%、
ペット・ペット用品5.9%、家庭用品・日用品5.4%、DIY用具・素材5.3%、
インテリア2.9%、オフィス・カルチャー1.9%。
マイナスは、その他▲9.7%で、園芸・エクステリアは▲0.0%と横ばいだった。

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2016年1月の結果をまとめると、
卸売業は▲6.3%、その中の大規模卸売店は▲8.6%。
一方、小売業は▲0.1%となり、両者を合わせた商業計は▲4.3%と全体ではマイナスとなった。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
ドラッグストア7.8%、コンビニエンスストア4.9%、スーパー4.3%
家電大型専門店3.2%、ホームセンター3.0%、百貨店▲2.1%となり、
百貨店以外、いずれもプラスが並び、特にドラッグストアが好調を維持した。

業態別の数字を見ると、小売業態はプラスが多く、好調に見えるが、業種別の燃料小売業の▲11.4%が全体のマイナスを大きく誘因している。燃料小売業に関しては市況の影響を受けて低下に歯止めがかからないこと、また11月から続いている高気温のため、寒い時期に需要が見込めるはずの多くの燃料季節商材が不調であったことが大きな痛手となり、全体の数字も下げてしまった。アメリカの小売業統計でも、ガソリンを除いて、生活用品で評価をするが、日本でも業態別の統計トレンドをつかんでおけばいいだろう。そして、1月は比較的好調だったと総括できる。2月末の決算期に向けて、2016年は順調なスタートだった。

検索ワード : 経済産業省  商業動態統計調査  1月動向  燃料小売業  ドラッグストア

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