【2月商業動態統計】販売額▲2.7%、ドラッグストア10.4%増

2月の商業動態統計速報が発表された。各協会からの業態別売上速報をDaily商人舎で随時報告しているが、最後はこの経済産業省からの報告である。各協会の発表と比較しながらみてみよう。

2月の商業販売額は35兆4360億円となり、前年同月比▲2.7%だった。ただし季節調整済では0.3%のプラスとなった。「商業」とは「卸売業」と「小売業」を合わせた業種のことである。

季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数る。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。

1.卸売業の販売額動向

販売額は、24兆6620億円で▲0.4%。しかし、季節調整済みでは0.1%プラスとなった。

業種別にみるとプラスは、食料・飲料8.7%、医薬品・化粧品5.4%、
建築材料4.9%、農畜産物・水産物2.9%、家具・建具・じゅう器1.5%。

一方減少したのは、鉱物・金属材料▲14.4%、各種商品▲10.9%、化学製品▲8.4%、
繊維品▲7.8%、機械器具▲5.8%、その他▲5.6%、衣服・身の回り品▲4.7%だった。

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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による)

大規模卸売店販売額は7兆9588億円となり、昨年同月比▲2.8%。

業種別にみるとプラスは、農畜産物・水産物10.8%、衣料・身の回り品10.4%、
紙・紙製品10.1%。
一方マイナスは、鉱物▲25.5%、鉄鋼▲20.9%、非鉄金属▲19.8%、
石油・石炭▲14.5%、化学製品▲10.0%。

2.小売業の販売額動向

販売額は、10兆7740億円でプラス0.5%。季節調整済みは▲2.3%。

業種別でプラスは以下のとおり。
医薬品・化粧品6.8%、飲食料品2.7%、織物・衣服・身の回り品2.5%、
その他2.4%、各種商品(百貨店など)0.9%。

一方、減少したのは、燃料▲10.7%、機械器具▲4.7%、自動車▲1.3%。

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小売業の中での業態別の結果をみると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆4886億円、プラス3.2%。既存店でも2.2%のプラス。季節調整済は1.0%のプラスとなった。ではそれぞれの業態の結果をみてみよう。

【百貨店】
百貨店は4912億円で▲0.3%(既存店0.5%プラス)。ただし季節調整済では2.4%プラスとなった。

主力の衣料品は、全体で▲4.2%。(既存店▲3.4%)
詳細をみると、婦人・子供服・洋品▲5.9%、紳士服・洋品▲5.6%、
その他の衣料品▲3.3%、身のまわり品▲0.4%とすべて不調に終わった。

飲食料品は、プラス1.6%。(既存店プラス2.2%)

その他は、全体でプラス3.9%。(既存店プラス4.7%)
内訳をみると、プラスとなったのはその他商品6.7%、家具1.5%
一方マイナスは、家庭用電気機械器具▲22.6%、食堂・喫茶▲2.6%、家庭用品▲2.0%。

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日本百貨店協会から発表された2月の百貨店の業績をみると、既存店売上高は4446億7431万円、前年同月比プラス0.2%となり2カ月ぶりのプラスとなった。 降水量がかなり多かったというマイナス要因も払拭し、温暖な気候と、うるう年による1日多い営業日が客足を伸ばした結果、プラスとなった。
商業動態統計も既存店はプラスという報告なので、2月の百貨店の既存店は好調だったといえる。

【スーパー】
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は9973億円でプラス5.0%。既存店はプラス3.1%であった。季節調整済でも0.1%のプラスとなり好調だった。

「スーパー」の主力商品である飲食料品はプラス5.7%で、既存店でも4.2%の増加と好調を維持。

しかし、衣料品の結果は、マイナスが並ぶ。全体では▲1.5%。(既存店では▲0.9%)
内訳をみると、紳士服・洋品▲2.9%、その他の衣料品▲1.6%、婦人・子供服・洋品▲1.2%、
身の回り品▲0.9%とすべてマイナスだった。

また、その他は全体ではプラス4.9%(既存店はプラス0.1%)だった。

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日本チェーンストア協会から発表された販売統計(月報)によると、2月の総販売額は9952億2801万円で既存店前年同月比は3.4%プラス。商業動態統計速報では3.1%なので、近い数字となっている。2 月は気温が高めに推移したため、食料品部門では鍋物関連商材が苦戦した一方、惣菜は全体的に好調。しかし、高温傾向は、衣料品や住関品に影響を及ぼし、冬物衣料、住関品の季節商品の動きが鈍かった。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高は8453億円で、プラス7.6%。
内訳は商品販売額が7975億円でプラス7.4%、
サービス売上高は478億円となりプラス11.9%だった。

商品別にみると、
ファストフード及び日配食品は3188億円(プラス9.7%)
加工食品は2236億円(プラス8.9%)
非食品は2551億円(プラス3.5%)となりすべてプラスと好調。

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日本フランチャイズチェーン協会が発表した2月統計調査月報によると、店舗売上高は、既存店は7150億3000万円となり、前年同期比プラス1.6%で11カ月連続増加。全店ベースでは、7832億6600万円で、プラス6.9%。36カ月連続のプラスとなった。

商業動態統計速報の数値は全店ベースでプラス7.6%。協会のそれは6.9%。

【家電大型専門店】
販売額は、2989億円(マイナス1.2%)。

商品別でプラスとなったのは、生活家電9.7%だけだった。
一方他はすべてマイナスとなり、通信家電▲16.6%、カメラ類▲15.6%、AV家電▲9.6%、
情報家電▲4.0%、その他▲0.3%。

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【ドラッグストア】
販売額は、4423億円(プラス10.4%)。
商品別では、調剤医薬品15.0%、食品12.4%、その他12.0%、
ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー11.9%、OTC医薬10.5%、
家庭用品・日用消耗品・ペット用品8.2%、トイレタリー8.2%、
ビューティケア(化粧品・小物)8.1%、健康食品7.8%とすべてのカテゴリーでプラスとなり好調を維持。そして昨年比の数字の伸びも大きい。

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【ホームセンター】
販売額は、2223億円(プラス1.7%)。
商品別でプラスとなったのは、家庭用品・日用品6.4%、ペット・ペット用品5.9%、
DIY用具・素材3.6%、園芸・エクステリア2.8%、電気2.3%。

一方マイナスは、その他▲9.8%、インテリア▲1.0%、カー用品・アウトドア▲0.3%、
オフィス・カルチャー▲0.1%となった。

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2016年2月の結果をまとめると、
卸売業は▲4.0%、その中の大規模卸売店は▲2.8%。
一方、小売業はプラス0.5%となり、両者を合わせた商業計は▲2.7%と全体ではマイナスとなった。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
ドラッグストア10.4%、コンビニエンスストア7.6%、スーパー5.0%、ホームセンター1.7%。
マイナスとなったのは、百貨店▲0.3%と家電大型専門店▲1.2%。

2月の小売業はドラッグストアがカテゴリーもすべてプラスと相変わらず強さをみせ、コンビニエンスストア、スーパーがそれに続き、家電大型専門店が最下位という結果だった。

商業動態統計調査は閏年分も調整する。その意味では協会発表の調査よりも、前年比を比較しやすい。
何度も言うけれど、協会調査も季節調整を施してから、両者を発表してほしいものだ。

検索ワード : 経済産業省  商業動態統計調査  2月動向  ドラッグストア

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