【3月百貨店】売上高前年比2.9%減、京都地区だけ好調

3月の百貨店売上高概況が、4月19日に日本百貨店協会から発表された。調査対象百貨店は82社237店で前月と変わらず。

売上高は5277億4693万円、前年同月比▲2.9%となり2カ月ぶりのマイナスとなった。3月は降水量は少なかったが全国的に気温変動が激しく、とくに中旬以降は気温が低い時期があり、春物衣料の販売に影響を及ぼした。また急激な円高、株価の低迷などが消費マインドにマイナス要因となった。

主要10都市で対前年同月比プラスとなったは、唯一、京都。219億4069万円、昨対2.1%増と、8カ月連続プラスと好調。

他地区はすべて不調。東京▲1.1%、福岡▲1.2%、仙台▲2.0%、名古屋▲2.2%、大阪▲2.2%、札幌▲2.9%、横浜▲3.0%、広島▲3.7%、神戸▲5.7%となり、ずらりと前年比マイナスだった。
東京も1年ぶりに前年割れとなり、10都市合計でも1.7%減という結果だった。

また10都市以外の地域にいたっては、すべてのエリアでマイナスとなった。
東北▲0.8%、中国▲1.4%、北海道▲2.3%、九州▲3.8%、四国▲4.4%、近畿▲4.5%、
中部▲5.4%、関東▲6.8%。その結果、全体ではマイナス5.1%。

主要5品目の3月の動向を見てみよう。
主力の衣料品は、1787億7531万円、▲6.7%(5カ月連続マイナス)。
紳士服▲5.8%、婦人服▲8.3%、子供服▲1.7%、その他衣料▲2.7%とすべてのカテゴリーでマイナスとなった。中旬以降の気温の低さが春物衣料の動きを鈍くした。

身のまわり品は、650億0472万円、▲4.9%。好調が続いていたが、4カ月ぶりにマイナスとなった。

雑貨は、906億5329万円 、プラス2.6%(12カ月連続)となり唯一好調を維持した。
細分類をみると、とくに化粧品が13.0%増と12カ月連続プラス。18地区中、16地区で前年同月を上回った。しかし、美術・宝飾・貴金属は▲4.3%と2カ月ぶりのマイナスとなり、その他の雑貨も▲4.9%と不調だった。

家庭用品は、260億3709万円、▲1.3%(3カ月連続)。
前月マイナスだった家電は、一転してプラス10.7%。反対に前月プラスだった家具は▲8.9%

食料品は、1330億0775万円、▲0.4%(4カ月ぶり)。
菓子は0.5%プラス、惣菜とその他食料品は0.0%の横ばい、生鮮食品は▲3.2%だった。
ホワイトデー商戦の活況を受けた菓子がプラスを計上した。

その他は、食堂喫茶▲4.5%、サービス▲5.1%、商品券▲7.5%。その他はプラス4.6%。

訪日外国人客の消費は13.2%増の約157億円となり変わらず好調。購買客数も31.0%増の約23万人で、38カ月連続のプラスとなった。一般物品の売上げは前年を下回ったが、消耗品の売上げが伸び、これをカバーした。購買品目が拡がりをみせ消費スタイルの変化がみえてきたと協会は分析している。

大手百貨店グループの3月の業績もみてみよう。パーセンテージはすべて対前年同月比。

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹計+国内グループ百貨店計)▲3.2%。
三越伊勢丹計は▲3.7%。
三越伊勢丹の内容を項目別でみると、衣料品計は▲6.3%。細分類では子供服1.3%、呉服寝具他2.5%とプラスだったが、紳士服▲4.4%、婦人服▲10.0%となり全体ではマイナスとなった。月前半は気温が高かったものの後半は寒さが戻り、全体的に春物の動きが鈍かったことが要因。この時期の主力アイテムであるスピリングコートや羽織アイテムが低迷だった。
家庭用品は全体で▲6.7。身の回り品▲6.7%、家具インテリア▲8.5%、家庭用品▲7.3%。しかしその中で雑貨は5.1%、家電は3.9%プラスとなり健闘した。
食料品は▲1.0%とわずかにマイナス。
インバウンド売上げは、引き続き好調。化粧品や婦人雑貨、宝飾時計に加え、リビング用品やベビー子供用品などへの関心が広まっている。

J.フロント リテイリング㈱  ▲7.1%
化粧品、美術品が売上げを伸ばし、またホワイトデー商戦も好調に推移。しかし、春物ファッション雑貨や時計宝飾品の動きが鈍く、全体ではマイナスとなった。また引き続き行われている大丸心斎橋店本館建替え工事により売場面積が4割減となっていることが大きく影響している。

㈱髙島屋(単体13店舗) ▲0.8%
好調だったのは、家庭用品でプラス17.4%。その中でも特に家電は285.7%と大幅アップとなった。雑貨も15.7%プラスと好調。細分類では、化粧品がプラス21.8%だった。また食料品も全体で1.4%プラスとなり、細分類では惣菜が3.1%、菓子は2.3%のプラスだった。
一方、衣料品▲6.4%、身のまわり品▲1.8%、食堂・喫茶が▲1.5%となり不調に終わった。
インバウンド需要は好調で、前年比3割超の伸びとなった。
 
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  百貨店はプラス1.7%
全店(百貨店・スーパーマーケット事業・イズミヤ事業)の数字。プラスだったのは、雑貨17.0%、家庭用品6.5%、食料品0.5%。
一方マイナスだったのは、サービス▲12.0%、身のまわり品▲4.0%、衣料品▲1.3%、
食堂・喫茶▲1.2%。

3月の百貨店は、主要5品目の中で雑貨が唯一プラスだったものの、月後半の低温が影響し、春物商材が伸びず、主力の春物衣料が不調に終わった。また、地域別をみると、ほぼすべての地域がマイナスとなり全国的に低迷した月となった。しかしその中でもインバウンド需要だけは相変わらず好調だ。大手百貨店のなかではエイチ・ツー・オー リテイリングだけがプラスと健闘している。

百貨店は広域商圏だから天候が悪ければ客足が伸びない。さらに季節商材を主力に展開している。したがって小売業ではもっとも天候に左右される業態だといえる。

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