【4月商業動態統計】小売業は季節調整済0.0%の横ばい

5月30日の今日、経済産業省から4月の商業動態統計速報が発表された。毎日報告している各協会からの業態別売上速報と比べてみるとどうだろうか。まとめとしてこの経済産業省からの発表をお届けする。

4月の「卸売業」と「小売業」を合わせた商業販売額は36兆4120億円となり、前年同月比▲4.0%だった。しかし、季節調整済では1.2%のプラスとなった。

(季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取 り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。業界ごとの協会の統計にはこの調整がない。実数値である。経済産業省統計の意義はここにあるといってよい)

1.卸売業の販売額動向

販売額は、24兆9470億円で▲5.4%。季節調整済ではプラス2.8%となった。

業種別にみるとプラスとなったのは、医薬品・化粧品7.1%、食料・飲料5.0%、
建築材料2.7%の3項目。

一方、減少したのは、鉱物・金属材料▲15.5%、各種商品▲15.1%、
衣服・身の回り品▲11.4%、その他▲8.6%、家具・建具・じゅう器▲7.7%、
繊維品▲7.4%、機械器具▲5.6%、化学製品▲4.6%、農畜産物・水産物▲2.9%
となりずらりとマイナスが並ぶ。

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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による)

大規模卸売店販売額は7兆8119億円となり、昨年同月比▲6.1%の減少。

商品別にみるとプラスは、建築材料18.3%、その他の輸送用機械器具16.0%、
医薬品・化粧品14.8%となった。
マイナスは、鉱物▲46.4%、石油・石炭▲29.5%、非鉄金属▲22.5%、
鉄鋼▲22.5%、繊維品▲13.8%となり、マイナス幅も大きい。

2.小売業の販売額動向

販売額は、11兆4660億円で▲0.8%。季節調整済でみると0.0%の横ばい。

業種別でプラスとなったのは、飲食料品2.4%、織物・衣服・身の回り品2.0%、
その他2.0%、医薬品・化粧品1.5%、自動車0.7%。
一方、減少したのは、燃料▲14.0%、各種商品(百貨店など)▲2.3%、
機械器具▲2.3%だった。

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小売業の中での業態別の結果をみると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆5458億円となり、▲0.1%の減少。既存店でも▲0.7%。季節調整済も▲1.7%の減少となった。
以下、それぞれの業態の結果を見てみよう。

【百貨店】
百貨店は5012億円で▲4.0%(既存店▲3.6%)。季節調整済も▲3.5%。

主力の衣料品は、全体で▲6.6%(既存店▲6.2%)。
婦人・子供服・洋品▲7.5%、身の回り品▲6.3%、 紳士服・洋品▲5.2%、
その他の衣料品▲2.3%とすべてのカテゴリーでマイナスとなった。

飲食料品は、▲1.5%(既存店▲0.9%)。
その他は、全体で▲1.8%(既存店▲1.3%)。

内訳をみると、プラスとなったのはその他商品の0.4%だけ。
他はマイナスで、家庭用電気機械器具▲17.4%、家具▲11.9%、食堂・喫茶▲6.6%、
家庭用品▲4.5%という結果。

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日本百貨店協会から発表された百貨店売上高概況によると、4月の売上高は4536億4417万円、前年同月比▲3.8%となり2カ月連続でマイナスとなった。協会は、その要因として、気温は高めだったが降水量が多かったこと、 また円高や株価低迷などの消費マインドが冷え込んでいること、そして中旬に発生した熊本地震の心理的影響の3つを挙げている。

【スーパー】
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆4460億円でプラス1.9%。既存店もプラスで0.8%増。しかし季節調整済では▲1.1%となった。

「スーパー」の主力商品である飲食料品はプラス2.9%で、既存店でも1.4%の増加と好調を維持。

しかし、衣料品の結果は、マイナスが並ぶ。全体では▲2.1%(既存店では▲2.0%)。
内訳を見ると、その他の衣料品▲8.7%、身の回り品▲6.6%、婦人・子供服・洋品▲0.3%、紳士服・洋品▲0.1とすべてマイナスだった。

また、その他は全体ではプラス1.1%(既存店は▲0.1%)。
内訳でプラスだったのは、食堂・喫茶6.8%、その他3.6%、家庭用電気機械器具1.4%。
マイナスとなったのは家具▲16.5%と家庭用品▲9.9%。

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日本チェーンストア協会から発表された「チェーンストア販売統計4月度速報」によると、総販売額は1兆0602億0960万円(構成比100%)で、既存店前年同月比マイナス0.7%。3月に引き続きマイナス成長となった。

そして一般社団法人日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、一般社団法人新日本スーパーマーケット協会の合同調査である「スーパーマーケット販売統計調査4月実績」によると、全店総売上高は8540億9003万円。既存店前年同月比はプラス1.7%となり、13カ月連続でプラスを記録した。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高の合計は9190億円で、プラス4.5%。
内訳は商品販売額が8697億円でプラス4.4%。
商品別にみると、ファストフード及び日配食品は3443億円(プラス6.4%)、
加工食品は2453億円(プラス5.2%)、
非食品は2800億円(プラス1.4%)となった。

サービス売上高は493億円となり、プラス6.3%。
前月はサービスが▲6.8%だったが、4月のコンビニエンスストアはすべてがプラスとなり、好調だった。

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日本フランチャイズチェーン協会から発表された4月「統計調査月報」によると、既存店の売上高は7780億2800万円、前年同期比0.9%プラス。12カ月ぶりのマイナスとなった前月から回復の兆しを見せた。また全店ベースでは、8516億1400万円でプラス4.1%となり、こちらは38カ月連続で増加となった。

【家電大型専門店】
販売額は、3137億円で▲0.9%。
プラスだったのは、生活家電1176億(プラス5.7%)の1カテゴリーのみ。
一方、マイナスだったのは、カメラ類161億(▲13.6%)、AV家電441億(▲6.2%)、
通信家電243億(▲3.6%)、その他356億(▲3.0%)、情報家電760億(▲2.2%)。

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【ドラッグストア】
販売額は、4612億円(プラス9.2%)で、商品別でもすべてプラスとなった。

食品1202億(14.1%)、調剤医薬品324億(9.4%)、
その他109億(9.3%)、家庭用品・日用消耗品・ペット用品687億(9.2%)、
OTC医薬661億(7.5%)、トイレタリー453億(7.4%)、
ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー325億(6.8%)、
ビューティケア(化粧品・小物)694億(6.5%)、健康食品155億(3.5%)
ドラッグストアは4月も好調を維持している。

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【ホームセンター】
販売額は、2949億円(プラス3.3%)。
商品別でプラスとなったのは、
DIY用具・素材623億(6.1%)、電気153億(5.9%)、
ペット・ペット用品204億(5.1%)、家庭用品・日用品598億(4.7%)、
園芸・エクステリア593億(3.5%)、カー用品・アウトドア173億(2.6%)、
オフィス・カルチャー155億(プラス1.6%)。
一方、マイナスだったのは、インテリア210億(▲0.5%)、その他240億(▲5.5%)。
ホームセンターはプラスのカテゴリーも多く、好調だった。

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 2016年4月の結果をまとめると、

卸売業は▲5.4%、その中の大規模卸売店は▲6.1%。
小売業は▲0.8%となり、両者を合わせた商業計は▲4.0%。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
ドラッグストア9.2%、コンビニエンスストア4.4%、ホームセンター3.3%、スーパー1.9%。
マイナスとなったのは、百貨店▲4.0%、家電大型専門店▲0.9%。
相変わらずドラッグストアがトップを走り、コンビニがそれに続く。

4月の小売業は、全体では▲0.8%となったが、季節調整済は0.0%の横ばい。百貨店は▲4.0%と厳しい結果となったが、他の業態をみると、熊本地震という天災に見舞われたにも関わらず、健闘した月といえるだろう。

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