【7月家計調査】消費支出は実質▲0.5%だが、調理食品・外食の出費は増加

7月の二人以上世帯の家計調査速報が総務省統計局から発表された。家計調査は、国の景気動向の把握、生活保護基準の検討、消費者物価指数の品目選定及びウエイト作成などの基礎資料として利用されているほか、地方公共団体、民間の会社、研究所あるいは労働組合などでも幅広く利用されている。

一定の統計上の抽出方法に基づいて選定された、全国約9000世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを毎月調査するという方法をとるが、サンプル数約9000世帯という点が、やや難点だ。少なすぎるのである。しかしそれでも続けて調査することで、家計消費トレンドはつかむことができる。

7月の結果は以下のとおり。

7月の二人以上の世帯の消費支出は27万8067円
前年同月比は実質0.5%の減少。しかし前月比(季節調整値)は実質2.5%の増加。そして名目は0.9%の減少となった。*名目とは、そのままの値で、「実質」とは、物価変動の影響を除いた値のことである。

また住居等を除く消費支出で見ると、1世帯当たり24万1782円。前年同月比は実質0.8%の減少、前月比(季節調整値)は実質0.3%の増加。名目は1.2%の減少となった。

勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり57万4227円。前年同月比実質1.8%の減少。名目でも2.2%の減少となった。

 消費支出の内訳は下記表のとおり。
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内訳で、増加となったのは、食料、住居、家具・家事用品、保健医療、その他の5項目。一方減少したのは、光熱・水道、被服及び履物、交通・通信、教育、教養娯楽と、こちらも5項目だった。

7月の消費支出の実質増減率に寄与した主な中分類項目及び品目を見てみよう。

 増加項目は
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調理食品の惣菜材料セット・弁当が増加項目に入っている。小売業の月次報告の中でも7月の食品スーパーは「猛暑となった地域では、家庭での調理を敬遠する傾向がみられ、惣菜が好調に推移した」と発表している。また季節商材であるエアコンもこの猛暑で増加傾向となっている。

 一方、減少項目は以下のとおり。
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婦人服の消費は相変わらず減少傾向で、サマーセールも効果を上げなかったようだ。自動車関係も燃料不正問題が大きくのしかかり、購入者を減少させた。外国パック旅行費は、テロなどによる国際情勢の不安が続いているためである。しかし8月は4年に一度のオリンピックが開催された。リオに出かけた日本人も多いのではないだろうか。国内パック旅行費に関しても、お盆休みのある8月が本格的な夏休みシーズンとなるので期待できそうだ。

では、食料費(7万2945円)の内訳はどうだったのだろうか。
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消費支出27万8067円のうち、食料の支出額は7万2945円。エンゲル係数を計算すると7月は、26.23%。ちなみに6月は26.75%。5月の26.63%だったので、少し食費以外にお金が動いたことになる。

また、外食のうち、一般外食をみると6月は9941円だったのが、7月は1万1572円となり1631円増えている。日本フードサービス協会からの月次報告にもあったように、7月の外食産業は好調だった。雨が少なかったこと、夏休みのファミリー需要、ゲームソフトとのコラボ、ビヤガーデン効果などが要因だ。ちなみに2015年の7月の一般外食は1万1484円だったので、外食への出費が多いのは時期的な要素もある。夏休み、そしてボーナス支給後のこの時期に、外食をすることで少しの贅沢を楽しんでいる消費者の姿がみえる。

>>>第1表 主要家計指標-二人以上の世帯
>>>第2表  1世帯当たり1か月間の収入と支出  -二人以上の世帯

*出典 家計調査結果(総務省統計局)                         
*上記の総務省の表は商人舎magazineのDATABASEにも掲載中。

検索ワード : 総務省統計局  7月  家計調査  二人以上世帯  惣菜  外食  エンゲル係数
 

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