【10月家計調査】野菜高騰が響いて消費支出は実質0.4%減!

10月の二人以上世帯の家計調査速報が総務省統計局から発表された。

一定の統計上の抽出方法に基づいて選定された、全国約9000世帯を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを調査している。この、サンプル数9000という少なさが家計調査の弱点だが、家計消費トレンドをつかむことができる、唯一のデータではある。したがって、この調査は、国の景気動向の把握、生活保護基準の検討、消費者物価指数の品目選定及びウエイー作成などの基礎資料となる。この調査速報は地方公共団体、民間の会社、研究所あるいは労働組合などでも幅広く利用されている。

10月の二人以上の世帯の消費支出は28万1961円で8カ月連続の減少である。
前年同月比は実質0.4%の減少、前月比(季節調整値)は実質1.0%の減少、そして名目でも0.2%の減少となった。*名目とは、そのままの値で、「実質」とは、物価変動の影響を除いた値のことである。

また住居等を除く消費支出で見ると、1世帯当たり24万3126円。前年同月比では実質0.6%の減少、前月比(季節調整値)は実質2.1%の増加。名目では1.1%の減少となった。

 消費支出の内訳は下記表のとおり。
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内訳をみると、増加項目は光熱・水道、家具・家事用品、教養娯楽の3つ。
一方、減少項目は、食料、住居、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、その他の7項目。

10月の消費支出の実質増減率に寄与した主な中分類項目及び品目を見てみよう。

 増加項目は
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10月は3連休もあり、また紅葉狩りや旬の味覚を楽しめる旅行シーズンである。教養娯楽サービスの国内パック旅行費が増加となっているのも納得だ。

 一方、減少項目は以下のとおり。
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野菜・海藻が減少項目に入っている。8月、9月と毎週のように発生した台風及び日照不足による野菜の高騰が響いた。メディアでは、白菜、キャベツなどが騒がれていたが、ほうれんそう、レタスにも大きな打撃があった。ただ11月には価格も安定するといわれているので、鍋シーズンも本格化する次月は増加項目に野菜が登場することになるだろう。

では、食料費(7万3493円)の内訳はどうだったのか。
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消費支出28万1961円のうち、食料の支出額は7万3493円。エンゲル係数を計算すると、10月は26.06%。ちなみに9月は25.99%、8月は26.76%となっていた。

また勤労者世帯の実収入を見ると、1世帯当たり48万5827円。前年同月比実質0.1%の減少。名目では0.1%の増加という結果となった。実質収入の減少と実質支出の減少がシンクロしていて、それはそれでノーマルな消費実態が浮かび上がったと評することはできる。当たり前に生活する国民に、当たり前に商売すれば、当たり前の結果が出る10月だったということだ。

>>>第1表 主要家計指標-二人以上の世帯
>>>第2表  1世帯当たり1か月間の収入と支出  -二人以上の世帯
 
*出典 家計調査結果(総務省統計局)
*上記の総務省の表は商人舎magazineのDATABASEにも掲載中。
 
検索ワード : 総務省統計局  10月  家計調査  二人以上世帯  野菜高騰
 

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