【10月商業動態統計】小売業季節調整済では2.5%増だが、百貨店は不調

経済産業省から10月の商業動態統計速報が発表された。
10月の「卸売業」と「小売業」を合わせた商業販売額は36兆6360億円で、前年同月比▲4.7%季節調整済みでは0.4%となった。

*季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。業界ごとの協会の統計にはこの調整がない。実数値である。経済産業省統計の意義はここにあるといってよい。

1.卸売業の販売額動向
販売額は、25兆0760億円で▲6.6%となり、季節調整済みは0.7%だった。

業種別にみてプラスはなし。
マイナス幅の大きい順では、衣服・身の回り品▲23.7%、繊維品が▲16.6%、その他▲10.8%、
化学製品▲9.2%、鉱物・金属材料▲8.9%、医薬品・化粧品▲8.7%、機械器具卸売業▲5.0%、
農畜産物・水産物▲4.9%、建築材料▲4.8%、家具・建具・じゅう器▲4.2%、
食料・飲料卸売業▲3.7%、各種商品▲2.4%と惨敗。

大規模卸売店
販売額は8兆2855億円となり、昨年同月比▲6.8%。

商品別にみるとプラスは、その他の輸送用機械器具7.2%、畜産物・水産物3.6%。
一方マイナスは、繊維品▲22.5%、鉱物▲21.3%、石油・石炭▲16.1%、鉄鋼▲13.0%、
自動車▲9.4%という結果。

2.小売業の販売額動向
販売額は11兆5590億円で▲0.1%。季節調整済みは2.5%。

詳細は下記のとおり

 小売業の前年同月比増減率           (単位:%)
20161130_daily_01

20161130_daily_02
 (表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による:以下同じ)

増収だったのは、自動車小売業、織物・衣服・身の回り品、飲食料品、機械器具の4項目。
一方マイナスとなったのは、燃料小売業、各種商品(百貨店など)、医薬品・化粧品
その他、無店舗の5項目だった。


 小売業の業態別結果を見ると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆5966億円。
前年同月比は▲0.7%(既存店では▲1.0%)。また季節調整済みは1.3%。

【百貨店】
百貨店は5245億円で▲4.6%(既存店は▲4.0%)。季節調整済みは0.1%。

主力の衣料品は、全体で▲6.5%(既存店▲5.9%)となり不調が続く。
詳細を見ると、その他▲9.2%、婦人服・子供服▲7.3%、紳士服▲6.2%、身の回り品▲4.3%とすべてがマイナスとなった。

飲食料品は▲2.9%(既存店▲2.3%)。

その他は▲2.7%(既存店▲2.17%)。
家庭用電気機械器具は▲25.9%と大幅なマイナス。前月は11.4%の二桁増だったが、10月は一転した。家具▲9.7%、家庭用品▲5.6%、食堂・喫茶▲5.5%、その他▲0.9%。マイナス幅も大きい。

【スーパー】 
総合スーパーと大手食品スーパーマーケットをあわせたものが、ここでいう「スーパー」である。
販売額は1兆0721億円で1.4%(既存店も0.6%増)。季節調整済みは1.8%。

主力商品である飲食料品は2.7%(既存店1.7%)。

衣料品は、全体では▲4.6%(既存店▲4.3%)。
詳細をみると、身の回り品▲11.2%、その他▲5.0%、婦人・子供服・洋品▲3.3%、
紳士服・洋品▲2.6%。

その他は、全体では▲0.7%(既存店▲1.0%)。
食堂・喫茶4.6%、家庭用電気機械器具2.1%、その他の商品1.1%。
一方減少したのは、家具▲14.0%、家庭用品▲9.6%と大幅にマイナスとなった。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高の合計は9893億円で、4.3%。
20161130_daily_03
 
内訳は商品販売額が9360億円で3.9%。
ファストフード及び日配食品、加工食品、非食品すべてがプラス。
またサービスも11.8%と二桁増となり好調だった。

【家電大型専門店】
全店販売額は、3124億円で2.4%。
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通信家電と生活家電は大きく売上げを伸ばし、AV家電もプラスとなった。
一方マイナスは、情報家電、カメラ類、その他の3項目。

【ドラッグストア】
全店販売額は4740億円で、4.2%。
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家庭用品・日用消耗品・ペット用品8.6%、食品8.5%と好調。全部で6項目がプラス。
しかし、調剤医薬品、ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー、健康食品の3項目はマイナスとなった。

【ホームセンター】
販売額は、全店で2740億円だが、前年同月比▲0.4%。
20161130_daily_06
 
内訳を見ると、6項目でマイナス。
ペット・ペット用品、家庭用品・日用品はプラスを維持した。

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2016年10月の結果をまとめると、
卸売業は▲6.6%、その中の大規模卸売店は▲6.8%。
小売業は▲0.1%となり、両者を合わせた商業合計は▲4.7%。
しかし、季節調整済前年前月比をみるとプラスが並ぶ。
卸売業0.7%、小売業2.5%、商業計も0.4%のプラスで、久しぶりに好結果といえる。

小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
コンビニエンスストア 4.3%
ドラッグストア 4.2%
家電大型専門店 2.4%
スーパー 1.4%
ホームセンター ▲0.4%
百貨店 ▲4.6%

10月のプラスはコンビニエンスストア、ドラッグストア、家電大型専門店、スーパー。コンビニは詳細をみても、すべての項目でプラスとなり好調だ。しかし、今月も百貨店は大きくマイナス。すでに報告済みの10月の各業態の結果は、スーパーマーケット1.7%、総合スーパー0.6%、コンビニ0.2%と3業態がプラスとなり、やはり百貨店だけがマイナス3.9%だった。百貨店の不調は続く。年末商戦の挽回に期待がかかる。

最後に日本政府観光局(JNTO)から発表された統計結果。それによると、10月の訪日外客数は、1月からの累計で前年同期比23.3%増となり、2011万3000人。初めて2000万人を突破した。まだ2カ月を残してこの数字である。また10月単月でみると、前年同月比16.8%増の213万6000人となり、10月としては過去最高となった。訪日外客の動向は、苦戦続きの百貨店の売上げに大きく影響してくるので、チェックしておかなければならない。

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