【11月SC】既存店総合は0.0%の横ばい、駅前陥没事故により福岡市は▲2.5%

一般社団法人日本ショッピングセンター協会から11月のショッピングセンター(SC)販売統計調査が発表された。サンプル数は509。協会の定義は下記のようになっている。

SC 基準
SCは、ディベロッパーにより計画、開発されるものであり、次の条件を備えることを必要とする。
1.    小売業の店舗面積は、1500㎡ 以上であること。
2.    キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。
3.    キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。
ただし、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1500㎡以上である場合には、この限りではない。
4.    テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。

<テナント>
原則としてディベロッパーとの間に賃貸借契約を結んでいるもの(店舗)をいう。その他に、区分所有店舗、組合店舗、ディベロッパー直営店舗、委託店舗(消化仕入れ及び売上仕入れ店舗)等も便宜上テナントとして扱う。

<キーテナント及び業態:キーテナント>
当該SCの商圏・客層を決定する大きな影響力を持つ大型小売店舗であり、業態は次のように分類し、略称を採用した。
・(Dpt)デパートメントストア=百貨店
・(GMS)ゼネラルマーチャンダイズドストアーズ=総合スーパー
・(SS)スーパーストア=衣料品中心の大型スーパー
・(SM)スーパーマーケット=食料品中心の大型スーパー
・(HC)ホームセンター=住関連商品を扱う大型店
・(DS)ディスカウントストア=大衆商品を低価格で提供する大型店
・(Dgs)ドラッグストア=医薬品を中心に日用雑貨を扱う大型店
・専門店単品種、同一用途品を扱う大型小売店
・生協生活協同組合
一応、ショッピングセンター協会の定義で、これが業界の絶対的な定義ではないことをお断りしておく。
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11月の既存SCの売上高は5441億1356万円で、前年同月比0.0%と横ばい。
テナントは4283億8661円で0.0%、キーテナントは1157億2695万円で0.1%だった。前年より休日が1日少ないというマイナス要素はあったものの、上旬の気温が低かったことで冬物衣料の売上げが伸び、なんとか0.0%の横ばいで食い止めることができた。

立地別・構成別の下記表を見ると、テナントは大都市1.0%、中都市0.6%、周辺都市は▲0.5%と地方都市になるほど苦戦。キーテナントは大都市1.8%、中都市▲0.3%、周辺地域0.3%となり中都市が伸び悩み。好調業種はテナントは飲食、キーテナントは食品関係。一方婦人衣料は不振との回答が多かったものの、2カ月連続で回復傾向となった。(表-1参照)

 表-1 立地別・構成別 売上高伸長率 
20161226_daily_01
 (一般社団法人日本ショッピングセンター協会「SC販売統計調査報告2016年11月」より)

(注)大都市とは札幌・仙台・千葉・東京区部・川崎・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡・北九州の各市。中都市とは上記都市を除く人口15万人以上の都市をいう。

立地別・地域別の結果は以下のとおり。(表-2参照)

表-2 立地別・地域別 売上高伸長率
20161226_daily_02

 (注)中心地域とは人口15万人以上の都市(東京23区を含む162都市)で、商業機能が集積した中心市街地を指す。周辺地域とは、中心地域以外のすべての地域。

総合でプラスとなったのは、東北4.0%、関東1.1%、九州・沖縄0.3%、北陸0.1%の4地域。一方近畿▲1.3%、中部▲2.0%、中国▲2.1%、北海道▲2.2%、四国▲2.6%の5地域はマイナスという結果。

都市規模別・地域別の結果は、政令指定都市は「総合」で1.1%。
仙台市11.0%、千葉市3.3%、横浜市3.1%、東京区部1.5%、川崎市1.5%、大阪市0.8%の5地域がプラス。
一方マイナスとなったのは、広島市▲0.5%、北九州市▲0.5%、神戸市▲0.9、札幌市▲1.0%、
名古屋市▲1.1%、京都市▲2.3%、福岡市▲2.5%の7地域。マイナス幅が最大だった福岡市は、
JR博多駅前の陥没事故の影響が響いた。

その他の地域(政令都市を含まない地域)は「総合」で▲0.7%。
プラスを維持したのは、九州・沖縄1.7%、東北1.5%、関東0.2%、北陸0.1%の4地域。
近畿▲2.2%、中部▲2.3%、四国▲2.6%、中国▲2.7%、北海道▲7.2%の5地域はマイナスだった。

11月は、8日の早朝に起きた博多駅前道路陥没事故が福岡市に大きなダメージを与え、現場に近いJR博多駅周辺の商業施設の休業が相次いだ。道路の陥没だけでなく、停電というライフラインの停止は大きな痛手となり、博多駅に隣接するキッテ博多と核店舗の博多マルイは終日休業。しまむらなどが入居する博多バスターミナル、JR博多シティが運営するJR博多ビルの飲食街、博多駅構内のJR西日本管轄の新幹線コンコース、博多デイトスとアミュエストも営業不能状態が続いた。今年は4月に熊本地震もあり、九州地域にとってつらい年となった。

しかし、百貨店や総合スーパーをはじめとした旧態依然の業態が不振に陥った現在、SCという新しい商業集積の可能性は大きい。2017年のSCの充実に期待しよう。

検索キーワード:日本ショッピングセンター協会  売上高    11月 福岡市 陥没事故

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