7月百貨店統計|売上高▲1.4%、夏セール6月末からの前倒しが痛手

日本百貨店協会が7月の百貨店売上高概況を発表した。調査対象店舗は80社229店。売上高は5469億7436万円、前年同月比1.4%減と2カ月ぶりにマイナスとなった。

株高による高額消費が好調で、インバウンド需要も伸びを見せた。しかし夏のセールを6月に前倒しした店舗が多く、セール主力の衣料品が5.0%減と落ち込んで、それが大きなマイナス要因となった。

中元商戦は、6月7月の通期売上げは前年並み。店頭は減少傾向だがネット受注がそれをカバーした。プレミアムフライデーは、各店「食・美・健康」をテーマに掲げた企画を展開し、認知度向上に努めている。

顧客別に見ると、95.8%を占める国内市場はマイナス2.9%と苦戦。一方、シェア4.2%のインバウンドは売上高227億円で54.9%増、客数は35万7000人で32.2%増と、ともに過去最高を記録した。

地区別に見ると、主要10都市の対前年同月比はマイナス0.3%と5カ月ぶりにマイナス。
プラスとなったのは3都市で、大阪5.0%、仙台0.8%、札幌0.7%。7カ月連続で好調の大阪と札幌は、インバウンド効果の高い地区で、その効果によるもの。また仙台は7月にセールを開始した店舗が多かったことがプラス要因となった。
一方マイナスは、名古屋▲4.8%、広島▲3.4%、京都▲2.3%、神戸▲2.0%、横浜▲1.6%、福岡▲1.0%、東京▲0.9%の7都市だった。

10都市以外の地域は▲3.8%で3カ月連続減少。すべての地域で前年を下回った。
近畿▲5.7%、九州▲5.2%、中部▲5.0%、北海道▲4.8%、四国▲4.7%、中国▲3.6%、東北▲3.5%、関東▲2.3%という結果。北海道は10カ月連続で、札幌だけ好調だが、他の地域の百貨店は不調。

主要5品目の7月の動向を見ると、雑貨だけが前年同月を上回った。
[雑貨] 915億1304万円、6.8%と8カ月連続でプラス。化粧品が16.4%と28カ月連続で好調。美術・宝飾・貴金属も3.4%とプラスを維持した。

一方、4項目はマイナスとなった。
[衣料品] 1632億5269万円、▲5.0%で21カ月連続。婦人服の▲6.1%を始め、すべてマイナスとなった。夏のセールが6月末からに移行したことが影響している。
[身のまわり品] 722億7707万円、▲0.8%で2カ月ぶり。衣料品と同様に、セール前倒しの影響が出た。
[家庭用品] 230億0262万円、▲2.0%で19カ月連続。家具は1.7%、家電は▲8.3%だった。
[食料品]1656億4323万円、▲2.0%で2カ月連続。40カ月マイナスが続く生鮮食品をはじめ菓子、惣菜も不調に終わった。

大手百貨店グループの7月の業績は下記のとおり(%はすべて対前年同月比)。

㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業(三越伊勢丹合計+国内グループ百貨店合計)▲2.7%。
三越伊勢丹合計は▲3.0%。
高額品や化粧品をはじめ、インバウンド需要が好調。また暑さの影響で夏物商材にも動きが見られた。基幹3店舗の結果は、三越銀座店(+7.8%)、伊勢丹新宿本店(+0.5%)、三越日本橋店(▲6.3%)と2店舗がプラス。しかし、豪雨などの天候にも左右され、三越伊勢丹支店及び国内グループ百貨店は軒並みマイナス計上となった。そのなかで札幌丸井三越だけが2.1%増と健闘した。

J.フロント リテイリング㈱  +0.2% (国際会計基準IFRSによる売上収益は▲0.6%)
セール6月前倒しの影響はあったものの、猛暑によりパラソルやサングラスなどの夏物商材の需要が多かった。またインバウンドも好調で、化粧品やラグジュアリーブランド、宝飾品も売上げを伸ばした。

㈱髙島屋 +0.6%
㈱髙島屋および国内百貨店子会社 +0.3%
インバウンド売上需要は43.8%と大幅な伸び。それに加えて株高に伴う資産効果で高額品も伸長した。セール前倒しの影響はあったものの、プラスを維持した。

エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  百貨店は+4.7%
雑貨が16.9%、家庭用品12.5%と二桁増。身の回り品は7.1%、食料品0.9%。各社セールの前倒しで苦戦していた衣料品も2.0%とプラスを維持した。しかし、婦人服だけは▲1.9%だったので多少の影響は受けたようだ。

7月はエイチ・ツー・オー リテイリングが好調だった。髙島屋、J.フロント リテイリングも何とかプラスを維持したが、三越伊勢丹ホールディングスだけは苦戦した。

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