日本スーパーマーケット協会川野幸夫会長が語った「本体価格・軽減税率・協会合併」

7月3日、帝国ホテルで日本スーパーマーケット協会(JSA)の平成26年度通常総会が開催された。

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JSAは通常会員の小売業98社、メーカー・卸等の賛助会員475社で構成される。通常会員の総店舗数は8610店、総売上高は約8兆441億円(いずれも2014年3月現在)。

1999年7月12日創設だから14年目を迎える。
その理事会総会で3つのことが確認された。

ひとつは本体価格一本化への取り組み、ひとつが軽減税率導入反対、そして新日本スーパーマーケット協会との合併問題。

総会の後に開かれた記念パーティで川野幸夫協会会長(ヤオコー会長)がスピーチしたことを、もらさず報告する。

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4月の消費税増税につきましては、前回の消費増税の反省を踏まえて、昨年来、関係各位のご協力をいただきながら業界をあげて、消費税アップの影響を最小限に抑える努力してきました。経済状況の相違もありますが、引き上げ前の駆け込み需要や、増税後の反動など、想定内と言いますか、前回より比較的スムーズに移行できたと考えます。

 

協会各社の既存店売上高は昨年同月比で、3月が107.2%、4月が97.1%、5月は101.0%という推移です。各社経営者の声を聞いても多くの方が思ったよりも良い状況だということです。今回の景気上昇は個人消費の拡大による要因が大きいと言われますが、アベノミクスの効果があって、消費が底堅く推移しているからだと考えます。

 

私たちスーパーマーケットの成績は、幸か不幸か、景気によって大きくは左右されませんが、もちろん景気が良いに越したことはありません。このところの業績の良さは個人消費が上向いたことによる景気の良さが寄与しているものと思われます。

 

しかしながら先行きを見ますと、中東や東ヨーロッパ、さらに中国など国際情勢は緊張が高まっていますし、為替や物価はどうなるのか、アベノミクスの第3の矢といわれる成長戦略は有効に実行されるかなどなど、消費税率10%引き上げへの見通しやその影響を含めて、不透明な要因が重なっています。

 

わたしたちは今こそ、いたずらな安売りに走るのではなく、お客様の買物意欲や消費意欲を高められる商いに必死に取り組むことで、さらなる個人消費の向上に努め、国内景気の上昇に少しでも寄与すべきだと考えます。

 

わたしどもは、先ほど、理事会総会で3つのことを重点課題として確認しました。

 

まずひとつ目は消費税アップに伴う価格表示の問題です。
ご存じのとおり、4月から本体価格表示が認められるようになりました。わたしども協会も本体価格表示を基本とするスタンスで臨みました。多くの加盟企業ではお客様へのサービスもあり、参考価格として税込み価格を併記しました。結果としてお客さまのクレームも当初想定したほどではありません。お客さまの慣れを見極めながら、本体価格1本化に向けて取り組みを強化していきたいと考えています。

 

次に、同じく消費税関連で複数税率の問題、いわゆる軽減税率のことです。
新聞紙上等では政府与党、税調等でこの軽減税率のことを盛んに議論されていると報道されています。

 

私ども協会としては、一昨年9月に理事会で、税率10%までは単一税率と一応は決めておりましたが、大きな問題ですので、協会として責任を持ってしっかりと対応したいと考え、昨年11月に中央大学法科大学院教授の森信茂樹先生を座長にした専門家による検討委員会を立ち上げ、これまで熱心に議論を重ねていただきました。この委員会には、会員代表も税についての素人の立場から素朴な質問をすべくメンバーに加わっております。

 

そして先月、中間報告をまとめていただきました。この中間報告を踏まえて、理事会総会において、協会としては今後、軽減税率導入に対して反対の方向で対処したい旨を報告し、了解をいただきました。中間報告内容ならびに、森信先生と私の対談の資料を用意しましたので、一読いただき、対応へのご理解とご協力をお願いしたいと考えます。

 

なお、軽減税率に反対する意見として、経団連をはじめとする複数の関連団体が連名で7月2日、関係団体へ提出しています。

 

最後に新日本スーパーマーケットとの合併の問題です。
昨年合併を発表して以来、事務局が具体的な内容で詰めていましたが、調整すべき問題があり、今しばらく、時間がかかる見込みです。
私と新日本スーパーマーケット協会の横山清会長との間では合併方針に変わりはありませんので、今後、具体的な進展が図られました段階で、お話しさせていただきます。合併の範囲につきましては申し上げるまでもありませんし、皆様方の希望でもありますので、当協会は前向きに努力をしてまいります。

 

以上、重要課題3点をご報告しました。
今夏はエルニーニョによる異常気象が懸念されていますが、これまでの第一四半期の好調さを維持しながら、この夏を何とか乗り切っていきたいと思っています。業態を超えた競争激化など、私どもにとりましては大変厳しい時代を迎えていますが、先ほど申し上げた課題をはじめ、業界の力が試されている時だと考えます。当協会は結束をして、内外に私どもの考えを強く訴えるとともに、それぞれの商いをしていきたいと念じています。

検索キーワード : 日本スーパーマーケット協会 軽減税率 本体価格 消費税 合併

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