京成ストア髙田和生会長・山村秀夫商品部長「客数減対策が必須」

毎月21日に発表される「スーパーマーケット統計調査」。
日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会の3団体が加盟社の月次数値をまとめて、スーパーマーケットの直近動向として発表する。その席上には、必ず加盟社の経営幹部がゲストスピーカーとしてやってきて、自社の取り組みを語る。8月は京成ストアの髙田和生会長と山村秀夫商品部長のお二人。

京成ストアは京成電鉄グループの1社であり、千葉県を中心に展開しているスーパーマーケットである。またレンタルビデオ、ドラッグストア、フラワー事業も展開している。

2015年度には創立55周年、またそのフォーマット名の「リブレ京成」としては創業30周年を迎える。
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 はじめに髙田会長が全体の取り組みを語った。

「地域密着型の地域に必要とされる店舗づくり、高齢化、小世帯化に対応させる商品の供給を目指していく。ハーフ弁当や1切れずつ種類を増やした刺身パック、肉の少量パックなどの販売を強化している。単身者の中には包丁を持っていない人がいるのでカット野菜も動く。ネギを2分の1にカットし、袋詰めしたものがとくに好評。電車で帰る時、持ち運びしやすく、他のお客にあたらず、汚れない、形が崩れないと支持されている。パンやスティックコーヒーなどのバラ売りも実施している」

京成ストアの店舗は駅構内や駅隣接の立地も多い。こういった商品化は、自社の顧客から大いに歓迎されている。

「料理教室や塗絵、房総への日帰りバスツアーなどのイベントを実施している。商品券プレゼント企画は当選率が高いため主婦にとても好評だ。これからも地域密着の営業政策を実施し、お客さまが楽しくお買い物ができるような店づくりを心がけていく」

 

続いて取締役商品部長の山村秀夫さんによる直近の数値の発表。DSCF2704-1

客数が落ち込んでいる

「千葉には多くの競合他社があり、競争の激しい地域。当社もその環境の中での営業を強いられている。まず第1四半期の3月から5月、競合他社同様に増税の影響があった。
3月はプラス2.9%、増税前の最後の4日間に買い置き需要があった。
4月は増税の反動でマイナス3.4%だったが、5月はプラスマイナス0。
5月で持ち直すことができたが、第1四半期はマイナス0.1%となった。

6月はプラス0.7%、7月はプラス0.8%。
これは強みの生鮮3品の水産、畜産が順調で、さらに惣菜、ベーカリーも引き続き好調だったことと、梅雨明け後の夏物商品の売れ行きが良かったためである。
ウナギの売上げはプラス2.6%となり、なんとか前年をクリアできた。
積極的に実施した予約販売がプラス8%、また当日の店頭販売がプラス9%となった。
しかし、国産の相場高の影響、中国産の食品問題から、
8月にはウナギ売上げがマイナス14%と大きく落ち込んでしまった」

「客数は残念ながら落ち込んでいる。
7月は客単価はプラス3%だったが、
客数マイナス2.2%。今年はこのような傾向が見られる」

客単価増客数減のトレンドがある。

「部門別では、菓子類がプラス1.7%と、梅雨明けが遅かったため良く売れた。特にせんべいがプラス2%、スナックがプラス6%となった。またシリアルはテレビや店頭での宣伝によりプラス20%と大きく伸長した。チョコでは大人向けのビターチョコなどが非常に好調であり、プラス13%となった。今後の秋、冬では新商品を入れてさらに伸ばしていきたい。パン類はプラス5.7%。とくに菓子パンがプラス40%と大幅に伸びた」

「逆に厳しい部門は、牛乳・アイス類でマイナス2.5%。ヨーグルトが前年比より非常に厳しくマイナス13%。特に食べるヨーグルトがマイナス15%となり非常に不振であった。しかし飲むタイプのヨーグルトがプラス13%となり、食べるタイプから飲むタイプに移行していると考えている。加工食品はまだまだ増税の影響があり3月からの推移は厳しい」

「加工食品の数値をみると、3月はプラス2%、4月はマイナス13%、5月はマイナス9%、6月はマイナス6%、7月はマイナス3%、と少しずつだが回復傾向にある」

3月には加工食品部門で、消費税増税の駆け込み需要があり、その後はその反動でマイナス。

その中で、「主力商品の米類が7月はマイナス18%で非常に厳しい結果である。3月からの推移では、3月はプラス2%、4月はマイナス33%、5月はマイナス26%、6月はマイナス22%」
米類の落ち込みは、深刻だ。

「最近は若干、回復しているが、米の売上げは不振である。8月は新米をしっかり売り込む。
梅雨明けが遅れたため乾麺類がマイナス5%、乾麺のつゆがマイナス7%となった。しかしカップ麺がプラス114%、スープ106%となった。」

「酒類はプラス2%。TVCMなどにより缶チューハイ類はプラス22%と大幅に伸びた」

肝心の生鮮食品はどうか。
「水産はプラス2.9%となった。するめいか、マイワシなど、千葉の水揚げ状況が良かったためである」

「畜産はプラス9.1%であり生鮮3部門の中で一番大きく売上げを伸ばした。牛、豚、鶏すべてが伸びたことが大きい。また、鶏は簡便調味料商品を一緒に並べて売上げを大きく伸ばした」

「青果はプラス0.4%をつくることができたが、野菜類はマイナス5%。主力のキャベツがマイナス3%だった。果物類がプラス2.2%となった。特に桃がプラス15%となり、おいしさの見える化が伸びた要因と考えられる」

「惣菜はプラス5.3%、サラダ・ご飯・弁当が好調であった。ベーカリーはプラス3.4%、月末の105円セールで非常に好調であった」


最後に8月度の予想。
「8月度は17日現在、既存店前年比3.26%。台風により水産、青果の相場高が続き、畜産も同様だと予想される。日本経財新聞によると消費者の85%が節約志向なので、ポイント特売日に買物している人が多い。8月は上期の決算なので、キャンペーンや月末セールなのでチャンスをつかみ結果を出す」

 

「客数は、3月はマイナス2.5%、4月はマイナス2.7%、5月はマイナス1.9%、
6月マイナス2.5%、クリアできない状況が続いているが、
今後もイベントを絡めて客数を増やしていく政策をすすめていく」

 

客単価アップ、客数減は千葉県という競合エリアでの厳しい戦いを強いられている
京成ストアだけの傾向ではない。
客単価は、青果、豚肉の高騰、一部の加工食品の値上げでクリアしている企業が多い。
しかし大事なのは、客数。

増税後はどの食品スーパーマーケットもが直面している課題だ。
いかに、顧客をつくっていくか。
自社企画のイベントもよい。しかし、最も大事なのは髙田会長が述べているように、
お客のニーズに沿った商品開発で、それを着実に進めていくことができるかに尽きるだろう。

 (まとめ・編集部)

 

検索キーワード : 京成ストア 千葉県  リブレ京成

 

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