永谷園HD、英フリーズドライ大手買収で海外展開加速

永谷園ホールディングスは2日、イギリスでフリーズドライ食品の製造・販売を手がける食品会社ブルームコ(Broomco)社を、官民ファンドの「産業革新機構」と共同で、1億3000万ドル(約150億円)で買収すると発表した。

ブルームコの2015年12月期の連結売上高は約150億円。
9日に予定される買収後、発行済み株式の40%を産業革新機構に譲渡する。

子会社化するブルームコ社は、傘下に主に業務用のフリーズドライ食品製品メーカーであるチョウサー・フーズ・グループを抱える。

チョウサーズ・グループは1980年にイギリスで創業。果物や野菜、乳製品のフリーズドライ技術とパン製品の開発を行っており、シリアルに入れるドライフルーツやスープに入れるクルトンなどが主力商品。

永谷園はみそ汁やお茶漬けなどのフリーズドライ加工の商品開発で優位性をもつが、現在の市場はほとんどが国内。

国内市場は人口減少や、少子高齢化、食の個食化など、外部環境の変化により、企業間競争が激化。こうした構造的な問題を背景に縮小傾向にある。

チョウサーズ社の特徴でもある果物や野菜のフリーズドライの加工技術を取り込み、日本の農産物などの加工・商品化を目指す。

また同社は、イギリスやアメリカ、中国など世界各地に販売チャネルと生産拠点を持つ。チョウサーズ社の豊富な経営資源と永谷園が培ってきた製造ノウハウを融合させ、人口増が期待できる海外市場の比率を高めることで企業の持続的な成長も図る。

海外市場では日本食ブームが続いており、健康志向など「食」の多様化が進んでいる。
とくに欧米の先進国では、食の高付加価値化が進んでいる。そうしたニーズにも応えることが可能な「フリーズドライ加工技術」を中心に、永谷園では、出遅れていた海外展開を推進していく。

永谷園ホールディングスの2017年3月期第2四半期までの連結決算(2016年4月1日~9月30日)は、売上高が386億900万円(前年同期比1.7%増)、営業利益が18億6100万円(前年同期比110.3%)、経常利益は18億2000万円(前年同期比99.8%増)。

検索ワード:永谷園 産業革新機構 Broomco フリーズドライ食品

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