Wal-MartとTarget 小型店戦略を加速

アメリカのディスカウントストア・チェーンの双璧、ウォルマート・ストアーズとターゲット。

この2社が都市型小型店のフォーマット展開を急いでいる。

 

アメリカの商業不動産情報会社コスター・グループによると、ウォルマートは人口密度が高い都市部での出店戦略を、これまでの倍のスピードで加速させる。具体的には、平均坪数が約1000~1100坪のネイバーフッド・マーケットを積極展開する。ネイバーフッド・マーケットは、従来の主力フォーマット「スーパーセンター」(約5000坪)の5分の1程度の大きさ。

 

CEOのビル・サイモン氏は、今後1年半の間に全米でネイバーフッド・マーケットを200店舗オープンさせる計画を表明。この計画が完了すると、ネイバーフッド・マーケットの店舗数は500店舗に達する。「第2四半期に会社史上最多の出店を行った」と語るとおり、1日で12店舗をオープンした日もあった。

 

さらにウォルマートは、2011年から実験を進めていた「ウォルマート・エクスプレス」の本格的展開にゴーサインを出した可能性がある。このエクスプレスストアは280~360坪クラスの店舗。20店あるパイロット店舗での実績は「とても、とても良いものだ」とサイモン氏は語っており、10月15日に開催される投資家のためのミーティングで小型店戦略の詳細が明らかにされることになっている。

 

成長を続けるオンライン小売りのアマゾン、食品を扱いだしたドラッグストアとダラーストア、それに数多の食品スーパーマーケット。ウォルマートはこれら競合に対して、まず人口密度の高い都市部で小型店を高密度に展開し、顧客に近づこうとしている。そして、都市型小型店をスピーディーな配送を可能にするオンライン販売の拠点としても活用することで、さらに顧客に到達しようとしているのだ。

 

また、先日、ウォルマートはオンライン販売のためのフルフィルメント・センター2カ所をオープンさせると発表したばかり。テキサス州フォートワースに2万2500坪の施設を開設するほか、ペンシルバニア州ベツレヘムでは同社最大となる2万8000坪の施設を2014年の早い時期に稼働させる。フルフィルメン ト・センターとは、入庫から配送までを担う物流拠点のこと。最先端のハードとソフトで自動化され、オンライン小売りにとっては心臓部でもある。

 

ウォルマートのマルチ・チャネル戦略は着々と進んでいるようだ。

 

さて、もう一方のターゲットも都市型小型店「シティ・ターゲット」を実験している。ロサンゼルス、シカゴ、シアトル、ポートランドに7店舗あるが、2013年はこれまで2店舗しかオープンしていない。こちらはやや慎重に計画を進めている様子だ。

 

もっとも、ターゲットの経営幹部は「基本的に期待どおりの売上実績を残しており、住関と衣料のミックス販売は期待以上の結果になっている」として、シティ・ターゲットの成績に手応えを感じている。

 

ターゲットはシティ・ターゲットの実験から、都市型店舗では郊外型店舗と違って車を使わずに高頻度で買物に来てくれる顧客がいることを知った。だから、「再都市化のトレンドがこのまま続けば、シティ・ターゲットは離陸する」と踏んでいる。

 

ターゲットCFO(最高財務責任者)のジョン・マリガン氏は「小型店フォーマットの開発によって、商品供給が制約される都市部で潜在的な立地が増えた」とし、「良い立地が見つかれば、どんどんシティ・ターゲットを出店していく」と述べている。

 

都市回帰現象は日本もアメリカと同じ。だから、日本での店舗開発においても、アメリカの競争状況をつぶさに観察することが欠かせない。

 

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