ホールフーズ、初の全米規模の宣伝キャンペーン「Values Matter」を開始

ホールフーズが本日10月20日(月)より、初めての全米規模でのマーケティング・キャンペーンを実施する。

 

先週、青果の新評価システム「Responsibly Grown」を導入し始めたばかりのホールフーズだが、今度は宣伝に力を入れる。

 

キャンペーン・テーマは以前から使用されている「America’s Healthiest Grocery Store(アメリカで一番健康的なグロサリーストア)」に加え、「Values Matter(価値が大事)」というフレーズが使われる。

 

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宣伝媒体はテレビCM、チラシ、オンライン広告、屋外ポスター、そしてもちろん399の店舗。ニューヨークの広告代理店Partners & Spadeとともに、この宣伝キャンペーンを展開する。キャンペーン期間は冬まで継続する見通しで、その予算は1500万~2000万ドル(約15億~20億円)と見積もられている。Kantar Mediaによると、過去5年間の年間宣伝費用は最も低い年で2008年の400万ドル、高い年で2010年の840万ドルであったことから考えると、今回の宣伝の規模の大きさがわかる。

さらには特設サイトが制作されており、100を超える数の動画や教育を目的としたページがテーマ別、目的別、所要時間別に抽出され、表示されるようになっている。15秒程度のテレビCMから商品についての説明ページ、レシピのページなど、多岐にわたる。

 キャンペーンサイト  WHOLE FOODS | VALUES MATTER 

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オーガニック&ナチュラル・スーパーマーケットのマーケット・リーダーとして君臨するホールフーズがなぜここにきて新戦略をつぎつぎと打ち立てているのか。そこにはトップの座に胡坐をかいてはいられない状況に追い込まれているという現状が見えてくる。

 

かつてはオーガニック食品の独壇場を築いていたホールフーズだが、近年オーガニック市場の拡大、競合するスプラウツ・ファーマーズ・マーケットなどの台頭、そして自社の成績が芳しくなかったことが挙げられる。

4月~6月の第3四半期決算で思うような売上げを達成できなかったことを受け、ホールフーズの幹部は7月の投資家向けのカンファレンス会議で、秋からの宣伝キャンペーンをすることを発表していたのである。

 

今回の宣伝テーマであるValue という言葉には「価値」、そして「値ごろ」という意味がある。したがって一見、このフレーズには価値と価格の安さ、両方が大事であるという意味合いが込められているように見えるが、実際にサイトを見る限り、どちらかというと「価値」の方に重きを置いている。牛肉のCMには「私たちにとって価値と価格は切っても切れない関係にあるのです」というフレーズがあった。

 

つまりホールフーズにとっては価格に関する宣伝よりも、ホールフーズで買物をすることによって得られる安心感、つまりその商品がどこから来たのか、どのように育てられたのか、どのようにつくられたのかを知ることができるといったうたい文句のほうを強調したいのだ。

 

国際部門の副社長Jeannine D’Addarioはこのように語る。「消費者は自分の口にする物に対して情報を欲しがっており、この宣伝は消費者が意味のある選択をする手助けとなります。今まではホールフーズ・ブランドの高価格イメージを払しょくし、『手に届く』のだと消費者に伝えるために努力してきました。これからはさらに情報を提供していき、価値と価格は密接に関係していることをこのキャンペーンを通じて、伝えていきたい」

 

キャンペーンを打つ前の業績がどうだったかは、2014年9月期の決算として11月5日に発表される。そして来年1月には、2015年度の第1四半期の決算が公表され、どのような宣伝効果があったのかが判明する。

投資に対する成果が、即、明らかになるようなアドバタイジングが展開された。 この姿勢がある限り、キャンペーンは確実に成功するに違いない。
「マーケット・シェア」よりも「マインド・シェア」を重視するホールフーズ。かれらはいつも、
常に、一歩先を進もうとしている。

〈商人舎編集スタッフ 鈴木綾子〉

 

検索ワード;ホールフーズ 「Values Matter」 宣伝キャンペーン

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