ウォルグリーンによる米国3位ライトエイド買収の噂と鼎占・複占 

先週アメリカで話題になったのが、ウォルグリーンのライトエイド買収の噂。
ウォルグリーンは2014年度FORTUNE500の世界企業ランキングで117位、米国小売業ランキングでは12位。年商722億ドル(1ドル100円換算で7兆2200億円)のドラッグストア。
CVSケアマークの1268億ドルに次ぐ世界第2位。
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2013年2月、ヨーロッパのドラッグストア「アライアンスブーツ」と戦略的提携を発表。アライアンスブーツはその時点で売上高230ポンド=約357億ドル。合わせて10兆円を超える巨大チェーンだが、昨年12月に完全統合が成立して「ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス」となった。

アメリカとヨーロッパを統合するM&Aを推進したのは、暫定CEOのステファーノ・ペシーナ。
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ペシーナは投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と共同で、ヨーロッパのアライアンス・ブーツの株式を買収して、その筆頭株主になっていたが、さらにウォルグリーンズのアライアンス・ブーツ買収によって、合併後のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの株式約16%を保有し、その上で、暫定CEOに就任。

そのペシーナが、さらなる買収候補としてライト・エイドの名を挙げた。

一方、噂の相手となったライトエイドは、FORTUNE500では473位で、米国小売業18位の年商255億ドル。米国ドラッグストア業界では、第3位である。

第4位以下はもう70億ドル台の企業だから、アメリカのドラッグストア産業は完全な「三占」状態。

寡占が「数社によってその市場のほとんどが占有されてしまう状態」であるのに対して、それが進むと3社による「鼎占」となり、最後は2社による「複占」となる。

この寡占・鼎占・複占は私が主張する近未来の現象だが、今回のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスのライトエイド買収の噂は、三占から一挙に複占に向かうことを示唆している。

皮肉なことにこのペシナの発言の直後、ライトエイドの株価は12%上昇。このあとの成り行きが注目されるが、アメリカではすでに鼎占から複占に至る業態が多数現れていいる。


ダラーストア業界はトップのダラーゼネラルに対して、3位のダラーツリーが昨2014年に2位のファミリーダラーを買収し、規模では拮抗する複占状態。
オフィスサプライ業態では1位のステープルズに対して、2位のオフィス・デポが2013年に3位のオフィスマックスを買収して対抗。

オフプライスストア業態ではTJマックスが、ロスストアと複占。

日本のドラッグストア業界はまだまだ乱立状況で、一気にアメリカのようになりはしないし、投資ファンドがこんな動きをする状況にもなっていないが、この三占、複占は商品面でコモディティ化現象が起こると加速される。これも私の持論。だとすると日本のドラッグストアはノンコモディティによるポジショニング競争に持ち込むことができるか否かが、寡占・鼎占・複占に至らしめない戦略であるということになる。

〈結城義晴〉

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