ホールフーズ2015年9月期決算で久々の増収減益、オーガニック市場競争激化

ホールフーズ・マーケットが2015年9月27日付で終了した2015年度の決算を発表した。
総売上高153億8900万ドル(120円換算で1兆8470億円)、2014年が141億9400万ドルだから、伸び率8.4%。
純利益は5億3600万ドル、前年の5億7900万ドルに対し、7.4ポイントのダウン。2007年9月期以来の減益だった。

しかし、比較対象できる390の既存店売上高は前年比2.5%の増加。2015年度の第4四半期(7月~9月)では、既存店も0.2%の減収だったが、通期で見ればプラスに着地した。

2015年度の出店は38店舗を記録(スクラップ&ビルド含む)し、期末の総店舗数はアメリカ42州とイギリス・カナダで431店。またオリジナルブランドで2億ドル、プリペアードフードとインストベーカリーで3億ドルを売り上げた。

 

減益の理由の第1は急速な出店。第2は、初のTVCMによるブランド宣伝などで経費がアップしたこと。さらに第3に、2017年度までに3億ドルの経費節減を計画していて、すでに2000人の人員削減を図っているが、そのリストラ経費も利益を圧迫した。

一方で、ウォルマート、クローガーをはじめナチュラル&オーガニック市場への大手参入企業が著しくなり、、価格競争が激しくなっている。

ホールフーズはニューズウィーク誌が「価格が高い」と指摘したほどだが、今や、この激しい価格競争のなかで、低価格路線とまではいわないが、必需品はかなりリーズナブルな価格を打ち出している。
さらに価格コンシャスに対応する新小型フォーマット「365 by Whole Foods Market™」を出店表明している。2016年度に3カ所、2017年度には10カ所のオープンが計画されている。

 

共同CEOのジョン・マッケイは9つの施策を発表している。

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1つは、生産性の向上。生鮮食品以外のグロサリーについては本社グローバル・チームが集中して仕入れを行うことで店舗負担を減らし、かつレイバー・スケジューリングの導入で店舗における人員配置を適切に実行する。

2つ目はホール・フーズ・マーケットでの買物経体験の向上。オリジナルブランドとフードサービス部門の強化。

3つ目は、戦略商品の売価引き下げとプロモーション強化。

4つ目はオンライン、SNSなどのメディア宣伝。

5つ目がデジタル戦略への投資とオンライン販売の拡大。

6つ目がシステム投資による生産性向上。2016年には新たなPOSシステムの全店導入が決まっており、声によって素早いチェックアウトと買物情報収集を行う。

7つ目は、先ほど述べた「365 by Whole Foods Market™」の出店。

8つ目が、出店の抑制。一部既存店間のカニバリゼーションが発生しているとみて、出店を減らすとしているが、ホールフーズは全米で1200店舗展開できるキャパシティがあるとみている。

そして最後に9つ目が企業文化の確認と従業員への浸透。

 

大商圏型の店舗として、大都市圏への出店を行ってきたホールフーズだが、400店を超える規模になって、競合が激しくなってきた。当然、他社も指をくわえて見ているわけにはいかなくなってきて、ホールフーズが独占していたナチュラル&オーガニック商品を強化している。
クローガーの都市部の店舗ではナチュラル&オーガニックの売上げは3割も伸長している。さらにオーガニック、添加物除去のPB「Simple truth」を導入し、これが大ヒット。

 

米国オーガニック市場は 「Organic Trade Association 2015 Fact Sheet」よれば、2014年段階で390億ドル(4兆6800億円)。うち、オーガニック食品売上高は359億ドル(4兆3080億円)で昨対11%の伸長。これは米国の総食品売上高の5%に相当する。
その割合は今後も増加するが、それだけオーガニック市場をめぐる戦いは一層激しさを増してくる。ブルーオーシャンを泳いでいたホールフーズが、オーガニックマーケットのレッドオーシャン化に直面している。

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