クローガーの酒類流通変革はサプライヤーが主役となる!

48四半期連続既存店増収に向かって驀進中のクローガー。
もちろん全米スーパーマーケット第1位のナショナルチェーンだ。
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そのクローガーが酒のサプライチェーンに変革を起こしつつある。

従来は、クローガーも通常のメーカーから仕入れて品揃えするが、その際、いわゆるカテゴリーマネジメント方式を採用していた。つまり、大手メーカーをカテゴリー・キャプテンとして、そのメーカーを中心にチームを組んで、クローガーの店舗のビール、ワイン、ハードリカーなどの品揃えを検討したり、変更したりしてきた。バドワイザーで有名なベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブや、ギネスが合併したディアジオなど、世界の酒造メーカーがカテゴリー・キャプテンだった。

それをクローガーは、サプライヤー中心の体制に切り替えた。昨年末からはサザン・ワイン&スピリッツが、クローガーの酒類全体の品揃えを管理し、棚割を管理し、配送を担当している。日本で言えば、卸売業の国分や日本酒類販売が、どこかのチェーンの品揃え管理を担当するがごとき体制づくりだ。
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クローガーは年に二度、酒類の棚割り変更をする。しかし全米に2600店の店舗ネットワークを持つ同社の酒類マーチャンダイジングは、エリアごとのカテゴリー・キャプテン制度で、一貫性を欠いていた。もちろん同社はダンハンビーUSAから独立させたID-POSマーケティングの84.51°によって、顧客データを活かした活動を行っている。しかしメーカー依存ではそれができなかったようだ。

クローガー広報担当のキース・デイリーのコメント。
「メーカーではなく、サプライヤーに、顧客データ分析によるスペースアロケーション提案を依頼することで実際に利益を生んでいます。既に同様のプログラムを導入したグロサリー商品の売場では成果が出ています。競合他社が生鮮食品の売上高成長率に対して、加工食品の売上高伸長率をダウンさせているのに対して、わが社はそれを上げているのです」

卸売業の品揃えの幅は広い。その卸売業がフリークエントショッパーズプログラムを駆使して、小売業の品揃え管理とその変更に貢献する。なんだか、日本の流通業界がずっとやってきたことをクローガーが踏襲しているようで、痛快な気分になる。

カテゴリー・マネージメントは、どうしても大手メーカー主体の棚割へと動く。カテゴリー・キャプテンが大手メーカーだからだ。その結果、どの小売業も品揃えは同質化して きて、価格競争に陥る。クローガーの新しいプログラムは、メーカーではなく、サプライヤーに委託することで、消費者の好みを正確に反映させる狙いがある。

ただしこの際、スペースアロケーションのサービス費用はもちろんサプライヤーが負担するが、その一部をメーカーに要求し始めた。メー カーは、このプログラムに参加すると、商品納入のために新しい費用が発生するわけだ。年間に約1200万ドル(14億4000万円)。こうなると、特に中小メーカーには不利だという批判も起こる。サザン・ワイン&スピリッツは任意に、各メーカーにその費用分担を依頼している。

クローガー以外のスーパーマーケット・チェーンも、このプログラムに関心を寄せて照会してきている。

アメリカの酒類流通は、珍しく製造業・輸入元から卸売業、そして小売業というルートが決められている。1920年から1933年まで禁酒法が存在した国だけに、アルコール飲料に関しては日本並みに規制が強化されるという歴史を持っているからだ。そうなると、古くて新しい卸売業の機能が見直されることになる。

おもしろい。

検索ワード;クローガー サザン・ワイン&スピリッツ アンハイザー・ブッシュ・インベブ ディアジオ スペースアロケーション

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