第2四半期ウォルマート増収増益とターゲット減収減益の明暗

アメリカの総合スーパー主体企業2社の第2四半期決算(5~7月期)が発表された。
両極に分かれて、ウォルマートは明、ターゲットは暗。

ウォルマートは第2四半期の総収入が1209億ドルだった。額面では0.5%増加だが、海外展開しているから、為替の影響がある。それを除くと、これは2.8%の増加で、健闘したと評してよい。ちなみに前年同期は1202億ドルだった。

ウォルマートの事業部門は3つに分けられている。第1が国内ウォルマート部門で、スーパーセンター、ネイバーフッド・マーケット、そしてディスカウントストアのウォルマート。第2がサムズ・クラブのメンバーシップホールセール。そして第3がインターナショナル部門。

このうち国内ウォルマートの既存店売上高は1.6%増加、純利益は前年同期から8.6%増加して37億7000万ドル。客数が1.2%増、客単価が0.4%増加で、国内の既存店は7四半期連続増収となり、これも悪い数値ではない。
ダラス2層ウォルマート

特にネイバーフッド・マーケットの既存店売上げは6.5%増と、大貢献。
Eコマースの販売額は世界で13.0%増、為替の影響を除いた売上げで11.8%増。
つまりウォルマートもネット販売が一番伸びていることになる。

そのEコマースで新しい動きを見せた。ネット通販企業のJet.comを、買収価格3300億円で買収してEコマース事業のテコ入れを果たした。それでもウォルマートの全売上高に占めるオンライン比率は2.5%程度である。つまりまだまだ伸びる余地があるということだ。

部門別にみると、グロサリーは客数、客単価とも増加し、ホーム、玩具、スポーツ用品、OTCが好調だった。どの小売業よりも積極的に展開する「バック・トゥ・スクール」商戦では、客数を順調に伸ばした。

この四半期に粗利益は0.33%増加したが、営業経費も8.3%増加。理由はアソシエーツの賃上げとテクノロジー投資。しかしそのテクノロジー活用と売り切り処理法の改善によって、全体在庫は2.9%減、既存店では6.5%の減少を果たした。在庫回転率を上げるとともに、欠品率を下げて、棚在庫率を高める。同時にアソシエーツによる店頭での顧客サービス時間を増やす。まことにまっとうな改革を進めて、第3四半期には、既存店売上高1.0%から1.5%の増加を計画している。

さらにウォルマートは7月初旬までに、独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ」を全店で運用開始して、顧客の便利性を追求している。

一方のターゲットは、同じ第2四半期の売上高がなんと72.0%減少して、161億6900万ドルだった。国内1797店の店舗内ファーマシー部門をドラッグストアのCVSヘルスへ売却したことが、減収減益の主要因だ。ただし既存店売上げも1.1%減少と芳しくはないが、利益率の低い調剤薬局部門を売却したことで、粗利益率は改善し、前年同期比で0.4%アップし、31.3%となった。それでも純利益は9.7%減少して6億8000万ドル。
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しかし同社CEOの ブライアン・コーネルは強気の姿勢を崩さない。「予測以上の業績を上げた。今後も優先事項にフォーカスしていく。下期も楽観はできないが、客数を増やし、売上げを上げるための正しい戦略を持っている」

このフォーカスのひとつがオーガニックの強化である。ただし、ターゲットの売上げの2割を占めるグロサリー部門でもオーガニック商品在庫の拡大は期待されたほどの成果をもたらしてはいない。オーガニック&ナチュラルをただただ品揃えするだけでは、売上げに結びつかないことをターゲットが示してしまった。

さらにターゲットのオンライン比率は売上高対比で3.3%程度で、ウォルマートと同様に高くはない。この分野にも注力する方針が出されているが、ただただネット販売を強化しても、早々に売上げに結びつくものではない。

業態でいえば「総合スーパー」のウォルマートとターゲットは、アメリカで複占の状況を体現している。その複占の2社にも明暗が現れた四半期だった。

 

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