2017第3四半期の明暗、ウォルマート増収減益・ターゲット減収増益

日本では総合スーパーは衰退期に入った。アメリカの総合スーパー「ハイパーマーケット業態」はどうか。この業態を主力に展開するのがウォルマートとターゲット。両雄の第3四半期決算が出そろった。

ウォルマートの第3四半期の売上高は1171億7600万ドル。前年同期比0.5%増。サムズクラブの会員費を含む総収入は1181億7900万ドルの0.7%増(為替を除くと2.5%増)。
営業利益は10.1%マイナスの51億1900万ドル、純利益は8.2%マイナスの30億3000万ドルで着地。
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ウォルマートの主要事業は大きく米国市場を担うウォルマートUS、海外展開のウォルマート・インターナショナル、そしてコストコと同じホールセールクラブのサムズクラブの3つがある。

まずウォルマートUSの売上高は745億5000万ドル。食品デフレが影響したにもかかわらず、対前年同期比で2.5%の増加。
既存店売上高は客数0.7%、客単価0.5%の増加によって1.2%のプラス。とくにネイバーフッド・マーケットの既存店売上は5.2%増と好調に推移している。また電子コマースは過去3カ月間に扱いSKUを800万追加した効果もあり、既存店売上増加に0.5%貢献している。
仕入れコストの縮小、ガソリン価格の低下による配送コスト削減によって粗利は0.32%改善されている。

ウォルマート・インターナショナルの売上高は、4.8%減の283億9000万ドル。ただし為替の影響を除くと、売上高は302億ドルで、2.4%の増加。

サムズクラブの売上高は、1.1%増の142億3600万ドル。既存店売上げは1.4%のプラスとなった。

つまり第3四半期は、3つのセグメントがすべて好調だった。しかし、時給の値上げ、ITテクノロジー投資などでコストが8.6%増加した結果、営業利益・純利益ともに二桁のマイナスとなった。ただしこれは、あくまでも先行投資を優先せさた結果である。

本年度9カ月累計の成績は、売上高3515億6700万ドル(0.5%)、利業利益174億6300万ドル(▲5.2%)、純利益101億2000万ドル(▲2.3%)。いまだ増収減益から脱却してはいない。

 

一方のターゲットは、10月29日締め。その第3四半期の売上高は164億4100万ドル、マイナス6.7%。
営業利益は4.0%減の49億7000万ドル、純利益は10.7%増の6億0800万ドル。既存店売上高は0.2%マイナス。つまり減収増益。
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第3四半期までの売上高は488億0500ドル(▲6.4%)、営業利益150億4800万ドル(▲4.5%)、純利益19億2000万ドル(▲0.1%)。
減収の主要因は、前期にドラッグ部門約1700店をCVSヘルスへ売却したため。

しかしブライアン・コーネルCEOは満足げ。
「第3四半期の結果に満足しています。客数と売上げが予測より良く、収益性も向上し。バック・トゥ・スクールも好調だった。ホリデー商戦にも十分な在庫で対応できる」
さらに第4四半期は既存店売上高はマイナス1%からプラス1%に転換すると予測する。

月刊商人舎執筆陣のお一人、㈱エレガント・ソサエティ代表・若林哲史さんの見方。
「最近、ターゲットの食品売場はやたらセールが目立つようになってきた。$50購入で$10引き、20%引きとなる。アパレルやホームに比べてグロサリー販売が足を引っ張っている感じである」

 

両雄の第3四半期の成績はウォルマートが増収減益、ターゲットは減収増益と明暗を分けた。ただしウォルマートはIT企業の買収や人件費コストの増加で減益したのに対し、ターゲットはドラッグ事業売却による本業集中で増益か。
ここでも施策の明暗が分かれている。

 

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