ノードストローム2016年決算増収増益の中身をPPM分析する

アメリカで百貨店第2位のノードストロームが2016年度決算を発表した。1月28日で終わった2016年度の営業の決算を、約1カ月後の2月末までに発表するというスピード感は、アメリカのビジネス界の特徴だ。

通年売上高は144億9800万ドル。1ドル100円換算で1兆4498億円、前年比2.9%の増加。日本の三越伊勢丹ホールディングスの2016年3月期が1兆2872億円だから、それよりも大きい。

しかし既存店売上高は0.4%の減少で、普通の百貨店だけならば、日本と同じ状況。アメリカには「爆買い」もないし。

純利益は3億5400万ドルで、利益は前年から41%の減少。
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決算時点でのフォーマット別店舗数は、
Nordstrom full-line(アメリカ)118店
Nordstrom full-line(カナダ)5店     
Nordstrom Rack  215店(21店の増加)
それ以外に11店で、合計349店。    

カナダでは2店舗を新規開設したが、トロント店が好調で、カナダ全体で3億ドル分を上乗せした。
海外進出が奏功したことはノードストロームにとって、大きな収穫だ。

フォーマット別の売上げは、店舗販売にオンライン販売が加わる。
その内訳が、すごい。

まずNordstrom full-line stores(アメリカ国内)はマイナス6.4%の71億8600万ドルの減益。
オフプライスストアのNordstrom Rackは0.2%増の38億0900万ドル。   
EコマースのNordstrom.comは9.5%増の25億1900万ドル。
そしてもう一つのディスカウント型EコマースのNordstromrack.comとHauteLookは合わせて31.7%の激増で、7億ドル。

ノードストロームの営業は大きく4つにわけることができる。
①ノーマル百貨店Nordstrom full-line stores
②オフプライス百貨店Nordstrom Rack
③ノーマル百貨店のEコマース
④オフプライスのEコマース

①マイナス6.4%
②プラス0.2%
③プラス9.5%
④プラス31.7%

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントで分析すると、
①が負け犬
②が問題児
③が金の生る木
④が花形
と、きれいに分類できる。

総売上高でいえば、①+③のノーマル百貨店は97億0500万ドル、②+④のオフプライスは45億0900万ドル。オフプライスはノーマル百貨店の46.5%を占める。
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さらに①+②の小売業の売上げは109億9500万ドル、③+④のEコマースは32億1900万ドル。
オンラインはリアル店舗の29.3%となった。

Eコマースに関しては、ノーマル百貨店の25%に相当し、オフプライスの15%の割合を占める。

ノードストロームがもし、オフプライスストアを展開していなければ、そしてEコマースに力を入れていなければ、恐ろしいことになったに違いない。

そして日本の百貨店はその恐ろしいことに気づいてはいないようだ。
それこそ、恐ろしい。

ちなみに第4四半期売上高は42億4300万ドルで2.4%増加。それでも既存店売上は0.9%減少、純利益は2億100万ドルで、11.7%増加した。最終第4四半期は、利益を取りに行ったノードストロームである。

百貨店最大のメイシーズがカナダのハドソンズ・ベイに買収されるという話題が業界を走り抜けるアメリカ百貨店産業。ノードストロームは、「イヴァンカ・トランプ」ブランドの取り扱いをやめて、ドナルド・トランプ大統領にツイッター攻撃を受けたが、孤軍奮闘で頑張っている。〈結城義晴〉

検索ワード;ノードストローム Nordstrom full-line stores Nordstrom Rack 三越伊勢丹ホールディングス

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