ターゲット2016年決算の減収大減益と4つの空しい新戦略

米国ターゲットはウォルマートに次ぐディスカウントストア業界第2位。アメリカ小売業ランキング第6位。いい会社でした。しかし、現在は、低迷期。その2016年度決算が発表された。1月28日で終わった年度、低迷していても、1カ月で集計され、発表される。
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通年売上高は694億9500万ドル(1ドル100円換算で、6兆9495億円)だが、前年比で5.8%も減少した。CVSヘルスに約1700店分のドラッグストアと店内クリニックを売却して、その分の売上高が減った。だから既存店はマイナス0.5%。純利益は27億3700万ドルで、こちらはマイナス18.6%の激減。粗利益は206億2300万ドルで、マイナス5.4%だが、粗利益率は29.7%ある。これにドラッグストアの売却益が加わる。

第4四半期の売上高は206億9000万ドルで、4.3%減。既存店売上高は1.5%減少。純利益は通年以上に減少して、マイナス42.7%の8億1700万ドル。

ターゲットはリアル店舗とデジタルの売上比率が、年間で95.6%対4.4%。それでも前年は96.6%対3.4%だったから、Eコマースは前年度比34%の増加となった。

店舗フォーマットは店舗面積で3種類に分けられている。

①17万平方フィート(約1万5800㎡)以上 276店(前年からマイナス2店)  
②5万平方フィート(約4645㎡)以上、17平方フィート未満(1万5800㎡)1505店(マイナス1店)
③5万平方フィート未満 22店(13店増)

結果として、総店舗数は1802店となった。ドラッグストアを売却しても、店舗数が減らないのは、ディスカウントストアのターゲットや総合スーパーのスーパーターゲットのインショップのドラッグ部門を、CVSヘルスの売却したからで、現在、ターゲットの店舗の中にCVSファーマシーが入居する形になっている。
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同社CEOのブライアン・コーネルは第4四半期の結果をこう分析する。
「急激に変化している消費者の行動に影響を受けた。それがEコマースの成長と、店舗売上高の減少という結果になった」

そこでの対策。
第1は、「長期的な成長のため今後2年間で、デヂジタルとリアル店舗のスマート・ネットワークを推進する」
つまりウォルマートが必至で革新していることを追随する。

さらに第2に、「2年間で、100億ドルの売上げが予測できる12の新ブランドを導入して、商品の差別化を進める。これは短期的には売上げと利益に良い影響を与えないかもしれないが、長期的な成功にとっては最善の策だと信じている」

第3は、今後3年に600店舗以上の改装と100店舗ほどの小型フォーマットを新開店する計画。この小型フォーマットはニューヨーク・マンハッタンで実験している「フレキシブル・フォーマット」だが、成果は見えていない。
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〈コンパクトな売り場だが……〉
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最後に「毎日、競争力のある価格を提供するために、粗利益率の低下に投資する」。つまりまだ29.7%を確保している粗利益を顧客に還元して、ディスカウント作戦を採用するということだ。

ああ、安売り作戦。

ターゲットのCEOブライアン・コーネルは、今年8月で3年を終え、4年目に入る。ドラッグストアとクリニックをCVSヘルスに売却して、CVSとの連携で対ウォルマート戦略を打ち出したり、派手なパフォーマンスを展開したが、4年目は長期的戦略に本腰を入れる。それまで株主たちが耐えられるか。ターゲットの将来は株主の忍耐力にかかっている。

検索ワード;ターゲット CVSヘルス 「フレキシブル・フォーマット」 

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