H2Oリテイリング 6月にイズミヤを完全子会社化
阪急阪神電鉄系のH2Oリテイリングは、総合スーパー業界第7位のイズミヤを株式交換により完全子会社化する。今日31日午後4時半から両社が大阪市内で記者会見して発表した。
両社は6月1日付で統合する。イズミヤの普通株式1株に対してH2Oリテイリング株0.63を割り当てる。イズミヤは5月28日に上場廃止となる予定。
H2Oリテイリングは傘下の阪食がスーパーマーケット「阪急オアシス」を70店舗(大阪48店舗、兵庫18店舗、京都3店舗、滋賀1店舗)展開している。イズミヤとの経営統合によって両社合計で700万人以上の会員を擁するカード事業で連携するほか、食品製造事業や商品調達、店舗競争力の向上などでスケールメリットを出すのが狙い。
日本経済新聞電子版によれば、統合後の関西地域での小売業シェアは30%超に拡大する。
H2Oリテイリングの2013年3月期の連結売上高は5251億円(前年同期比3.9%増)で、営業利益106億円(同7.2%増)、経常利益113億円(同10.0%増)、当期純利益62億円(同486.6%増)。そのうち阪食を主体とするスーパーマーケット事業の売上高は993億円(同1.9%増)だった。
一方、イズミヤは近畿をメインに関東、中国、九州に総合スーパーを89店舗(2013年2月末)展開している。2013年2月期決算(連結)は営業収益3442億円(前年同期比▲2.1%)、営業利益34億円(同▲18.6%)、経常利益24億円(同▲23.2%)、当期純利益5億円(同▲17.9%)で、ここ数年減収減益が続いていた。
イズミヤは2012年度から中期3カ年経営計画「CAP-I(キャップアイ)」をスタート。従来の総合スーパー(GMS)業態からの脱却を目指し、ロジスティクスを中心に組織・人事制度やグループ体制、マーチャンダイジング、費用構造などの改革に取り組んでいたが、昨年の夏からH2Oリテイリングと今後の戦略について協議を重ねてきた。
これでH2Oリテイリングは総合スーパーとスーパーマーケットで4375億円となる。百貨店を加えた小売業としては、年商8693億円の日本第9位。百貨店、あるいはそれを含む小売業としてはセブン&アイ・ホールディングス(そごう・西武)、三越伊勢丹ホールディングス、Jフロントリテイリング、髙島屋に次ぐ5番手。
おそらく阪食とイズミヤの統合が模索されることになろうが、両者の社風や体質から見て、すぐにも統合するという政策をとらず、共有できるところは共有するという作戦になる。
イズミヤにとっては、第1に阪急ブランドをいかに上手に活かすか、さらに第2に関西のリージョナルチェーンとして再出発できるかがカギを握るが、統合のメリットを享受できる体制づくりが直近の課題となる。
総合スーパーの創業者・故和田満治社長の1992年の急逝が、イズミヤの今日に深刻な影を落としていることを、付け加えておこう。あれからもう22年を経過している。
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