イオン関東スーパーマーケット連合「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」発足後の雪崩現象?
イオン㈱がいよいよ、首都圏スーパーマーケット1000店、1兆円体制に向けて動き出した。
5月19日に発表されていた㈱マルエツ、㈱カスミ、そしてイオン傘下のマックスバリュ関東の経営統合。その概要が10月31日に明らかとなった。
具体的な要旨は以下の通り。
1.3社で共同持ち株会社「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」(U.S.Mホールディングス)を15年3月2日に設立する。
2.この共同持ち株会社の株式は、イオンが約7割、丸紅㈱が3割を負担する共同出資会社が過半数を取得する。
3.イオンが保有するマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の株式は、吸収分割の方法で、イオンの完全子会社である「イオンマーケットインベストメント」に承継する。
4.イオンマーケットインベストメントによってマルエツの株式を公開買い付け(TOB)を実施する。
5.持ち株会社のイオンマーケットインベストメントはイオンの連結子会社、丸紅の持ち分法適用関連会社となる。
6.「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス」の株式は東京証券取引所に新規上場申請を行う予定のため、事業会社の2月に上場廃止となる見込み。
新会社「U.S.Mホールディングス」の役員体制も決まった。
代表権を有するのは3人。
代表取締役会長が小濱裕正カスミ会長。
代表取締役社長には上田真マルエツ社長。
そして代表取締役として平尾健一氏。
平尾氏はイオン(株)SM・DS・小型店事業最高経営責任者補佐。
U.S.Mホールディングス株式移行後は下の図の通りとなる。
イオンは、プライべートブランド「トップバリュ」やスケールを活かした商品調達力を提供し、グローバル調達網、IT・物流網、クレジットカードや電子マネー、ATM等のインフラ等を供給する。丸紅は、総合商社の経営ノウハウと、国内外の原材料・商品情報、グローバルな商品調達ネットワークや卸機能等を提供する。
これによって、首都圏を基盤とするスーパーマーケット企業としての競争力を増大させ、先に挙げた1兆円体制へと驀進する。
それがイオンの描くスーパーマーケットM&A戦略。
この統合が起爆剤となって、関東エリアのM&Aはますます加速しそうだ。まずはイオンの持分法適用会社のいなげやとベルクの去就に注目が集まっているし、それ以外の企業群もこの指止まれでユナイテッドに参集する場合が出てくる。反対に危機感を感じて対抗措置として集結するケースも出てくる。つまりM&Aの雪崩(なだれ)現象。それが全国に広がってゆく。
アメリカではそんな現象が何度も何度も繰り返された。一番大きなM&Aの雪崩現象は1998年から1999年。
きっかけはウォルマートが始めたスーパーマーケットのネイバーフッドマーケット実験。ウォルマートはこれを巨大チェーンにするだろうとの予測が飛ぶと、スーパーマーケット第4位だったアルバートソンが第3位のアメリカンストアーズを無理やり買収して規模拡大を図った。さらに第2位のセーフウェイは株式公開買い付けで第1位のクローガーを買収しようと図った。これはさすがに失敗し、その代わりに東部のドミニクスを吸収合併した。クローガーはクローガーで、フレッドマイヤーを買収。
ご承知のようにアルバートソンは、その時点で業界随一のエクセレントカンパニーだったが、このアメリカンストアーズのM&Aをきっかけに急速に企業体質を悪化させ、傘下企業の売却やさらなる買収を繰り返し、2006年、最後に三分割されてしまう。
ユナイテッド発足によって、こういった雪崩現象が起こりそうな気配だ。
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