セブン&アイHDと万代が3月10日、衝撃の業務提携締結!
スーパーマーケット業界、いや流通業界に激震が走った。
㈱セブン&アイ・ホールディングス(東京村田紀敏代表取締役社長)と㈱万代(東大阪市・加藤徹代表取締役社長)の業務提携話。朝から各メディアが報じた。
そして本日夕方5時、㈱万代のホームページで正式の発表がなされた。
遅れて午後6時過ぎ、セブン&アイHDがホームぺージ最新IRニュースで発表。
㈱万代リテールホールディングス及び㈱万代では、資本提携を視野に入れた業務提携を本日9日の役員で決定。
目的を「食品リージョナルチェーンとしての食品小売部門強化を図るため」としている。
そのうえで、「物流、人材開発、食品共同開発等における協力関係の構築や各社が持つ経営ノウハウを活用した地域に根差した店舗づくりの推進等の施策を実施することにより、ポイント・決済等における金融関連サービスおける連携を推進するなどの施策」を進めると発表している。
明日10日には業務提携契約書を締結する。
今日午後には、取引先の「万代ドライデイリー会」の会合で山下和孝代表取締役副社長が説明したとされるが、取引先にとっても驚く発表だったに違いない。
一方、セブン&アイHDの発表。
「関西地域での食品小売分野の事業基盤強化を図るため、同地域の近畿2府3県に食品スーパーマーケットを展開している万代との業務提携を実施する」。業務提携により「関西地域における当社グループにおける食品小売分野の更なる成長」を図りたい考えだ。
各メディアが報じているが、セブンの電子マネーの「nanaco(ナナコ)」、セブン銀行のATMの導入、さらにPB「セブンプレミアム」の扱うなど、万代にとってもメリットが大きいのだろうが、セブン&アイにとっては手薄と言われる近畿圏に万代のネットワークを配置できるわけだから、これは大きい。
万代は創業52年目を迎える。加藤徹社長になってから打つ手打つ手が功を奏し、関西圏では急速に市場シェアを高めている。2014年3月末の年商は2793億5700万円、150店。日本小売業ランキングで第46位、スーパーマーケット単体企業売上高では7位。
現在は大阪を中心に京都や兵庫など2府3県で147店舗をネットワークする。店舗数が減っているのは小型店をスクラップしているため。今期は3000億円を視野に、さらに関西圏で5000億円を目指してきた。
5000億円からその先を志向するとき、パートナーの存在は大きい。
それがセブン&アイとの「ベスト・マリッジ」である。
セブン&アイHDは2016年春までに、万代の全株式を保有する持ち株会社㈱万代リテールホールディングスから、約30%を約200億円で取得する方向で協議されるようだが、何とも安い買物になる。手薄と言われる近畿の店舗ネットワークを強化できるうえに、万代の圧倒的な販売力とそのノウハウを手に入れることができる。
それにしても、この間、セブン&アイでは、子会社のイトーヨーカ堂がダイイチや天満屋ストア、近商ストアと業務提携をしてきた。さらに近商ストアとはその後、契約を解除した。
今回はセブン&アイHDと万代の業務提携。今後どうなるかはわからないが、現段階では、ダイイチや天満屋ストアとは意気込みが異なる。
その意気込みの違いが、今後、日本のM&Aをさらに加速させるに違いない。
イオンはさらにさらにローカルチェーンとの関係性を強化するだろう。
アークスに代表されるシジシージャパンの企業群は、統合のスピードを早めるだろう。
平和堂、イズミ、サンエーなど好業績企業が連携するニチリウも相互の連携を強めるだろう。
商人舎US研修会テキストの「森の中の二人の男と熊の話」。
コーネル大学エドワード・マクラフリン食品産業学部長が語った米国流通業のたとえ話。
森の中を二人の男が歩いていた。
そこへ熊が出てきた。
一人の男が、叫んだ。
「早く逃げよう」
もう一人は、言った。
「君より早く逃げさえすればいい」
この大熊は米国のウォルマート。
ふたりの男はローカルチェーンの経営者。
アメリカのスーパーマーケット産業では1998年に大統合が起こった。
ウォルマートがネイバーフッドマーケットというスーパーマーケットを展開するというニュースが流れると、超優良企業の4位のアルバートソンが3位のアメリカンストアを買収。2位のセーフウェイは1位のクローガーを公開買付けで買収しようと画策。
日本には今、ウォルマートのような大熊はいない。
しかしイオンがそんな存在になろうとしている。
ならば選択肢は限られてくる。
万代は「既に起こった未来」を知っていて、賢い男の判断を下したことになろうか。
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今回の業務提携は