三越伊勢丹news｜年商5555億円3.6％増･経常利益881億円47.2%増

(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長CEO)が、2025年3月期の本決算を発表した。

2024年4月1日～2025年3月31日の連結業績は、売上高5555億1700万円(前年比3.6％増)、営業利益763億1300万円(40.4％増)、経常利益881億2300万円(47.2％増)、当期純利益528億1400万円(5.0%減)だった。営業利益は2年連続で過去最高を更新した。 訪日客の消費が旺盛だったことを背景に、伊勢丹新宿本店などの売上げが好調だったことによる。純利益は関係会社の株式売却などに関連した「法人税等調整額」を計上したため5.0%減となった。

営業利益率は13.7％、経常利益率は15.9％。

主力の百貨店業の売上高は4611億3600万円(2.9％増)、営業利益は645億6300万円(43.0％増)。国内百貨店においては、伊勢丹新宿本店や三越銀座店を中心に入店客数が大幅に伸長した。また、免税売上高の大幅な伸長に加えて、外商やエムアイカード会員などの識別顧客による売上げが拡大した。

同社グループでは、上質で豊かな生活を求める顧客の消費ニーズに応える「高感度上質戦略」を推進しており、伊勢丹新宿本店や三越銀座店のリモデルにより新規に導入したコンテンツ・MDが好調に推移した。地域百貨店においては、高感度上質消費を志向する全国の顧客の要望に応えるため、伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店への送客や商品の取り寄せを可能とする「拠点ネットワーク戦略」の取り組みを強化したことで、売上げが拡大した。

伊勢丹新宿本店の「丹青会｣、三越日本橋本店の「逸品会」などの招待会に加えて、各店で上位個客に向けた独自のおもてなし企画を実施した。その結果、国内百貨店計で過去最高の総額売上高を更新した。さらに、3月には海外個客向けアプリ「MITSUKOSHIISETANJAPAN」や年会費無料の「エムアイカードベーシック」を導入し、個客の識別化に向けた取り組みを強化している。

海外については、2023年8月にレストランをリモデルオープンした米国三越の売上げが好調で、前年実績を大きく上回った。また、マレーシアにおいても、先行してリモデルオープンしたKLCC店の食品エリアが全体を牽引し、売上げが堅調に推移している。

クレジット・金融・友の会業は、売上高344億3300万円(5.1％増)、営業利益57億4300万円(41.8％増)。
好調なグループ百貨店からの牽引に加え、割賦手数料やマーケティング事業収入の拡大などにより、売上げが前年実績を上回り増収となった。新たな金融サービスである伊勢丹新宿本店時計売場における商品保証サービスは当初計画の加入率を達成し、新規カード入会にもつながるなど、将来の事業拡大に向けた戦略推進に寄与している。2025年3月には新たに会員数拡大に向けた「エムアイカードベーシック」を導入し、足元のカード獲得件数は大きく伸長している。

不動産業は、売上高295億3900万円(10.3％増)、営業利益36億1500万円(18.7％増)。新宿エリアの保有物件における賃料収入増加や建装事業のグループ間での連携強化により受注が増え、増収増益となった。高品質な内装・造作家具、自社工場による高い品質と技術力を強みとする(株)三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、外部の大型開発案件のホテルやオフィス、ブランドショップ改装の施工を中心に売上げが拡大し、増収となった。

その他の事業は、売上高960億9400万円(5.5％増)、営業利益20億7900万円(0.3％増)。クイーンズ伊勢丹などのスーパーマーケット事業や食品のOEM製造事業を展開している(株)エムアイフードスタイルは、プライベートブランドの販路拡大やOEM受注拡大、エムアイカード会員に向けたキャンペーンの実施など、グループでの取り組みを強化した。2024年11月にはJR埼京線十条駅の再開発地区に「クイーンズ伊勢丹十条店」を新規オープンし、販路を拡大している。旅行業の(株)三越伊勢丹ニッコウトラベルは、国内旅行では、チャータークルーズ催行、海外旅行では独自の欧州リバークルーズの増発に加えてベルサイユ宮殿の貸切見学など、希少性の高い特別企画旅行を展開した。広告・メディア事業の(株)スタジオアルタは、屋外広告やデジタルサイネージなどの百貨店の広告メディア販売事業が堅調に推移した。また、グループ会社の広告制作を集約させた効果が継続し、大幅な増収増益となった。

2026年3月期は、売上高55700億円(0.3%増)、営業利益780億円(2.2%増)、経常利益740億円(16.0%減)、当期純利600億円(13.6%増)を見込む。