11月のスーパーマーケットは前年比0.3％増だが生協はプラス2.5％増の不思議
百貨店、コンビニ、総合スーパー、ショッピングセンターと11月の動向を毎日お届けしているが、今日はスーパーマーケットの販売実績を報告する。日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会の3協会の合同調査発表。天気に影響を受け悩まされた各業態だったが、食品主体のスーパーマーケットはどうだったのか。
11月の総売上高は8259億7272万円で、既存店前年同月比プラス0.3％。8カ月連続プラスとなりスーパーマーケットは、わずかながら上向きとなった。
（2015年12月スーパーマーケット販売統計調査資料より）
部門別の状況をみてみよう。
食品合計（売上構成比88.6％） 7321億3885万円、プラス0.7％。
生鮮3部門合計（33.2％） 2739億0918万円、プラス0.5％
〔青果〕（売上構成比12.6％） 1042億0036万円、プラス2.8％
気温高の影響で鍋物商材、特にきのこ類が不調。一方サラダ用のレタスやトマトが好調だった。果物ではみかんが豊作で良く売れたが、りんごやいちごは相場が高く不調だった。
スーパーマーケットはこういった傾向を顕著に示す。つまり、何かが売れなければ、何かが売れる。
何かが悪ければ、何かがいい。
〔水産〕（売上構成比8.9％） 738億6067万円、マイナス0.7％
生鮭、さんまの不漁、カキの生育不良による小型化などで厳しい状況。気温高の影響で、鍋物需要も低下し、今月は不調であった
〔畜産〕（売上構成比11.6％） 958億4815万円、マイナス0.9％
他の生鮮と同様、畜産も気温高の影響をうけ、鍋物商材の動きが鈍かった。その中で牛肉は価格の安い輸入牛が好調、一方相場の高い国産牛は不調。豚肉は相場も落ち着き、売上げも安定してきた。しかし加工肉は、発がん性報道が大きく影響し、特にハム・ウインナーの落ち込みが激しかった。
こういった報道にも顧客は敏感だ。
惣菜（売上構成比9.5％） 784億6227万円、プラス1.7％
新商品の投入やできたて商品の提供などいろいろな取組みの成果により、お弁当や揚物が好調だった。一方で原材料価格の上昇や人員不足により利益の確保が難しいとの回答があった。
日配（売上構成比19.4％） 1599億1655万円、プラス1.0％
ここでも気温高の影響がみられ、鍋用商材の動きが鈍かったが、その一方で飲料系が売上げを伸ばした。また健康を意識したヨーグルト飲料や乳製品やプレミアム系のアイスクリームが好調だった。
一般食品（売上構成比26.6％） 2198億5086万円、プラス0.3％
鍋関連需要としてのつゆ等が不振であった。一方で、米は前年より価格が上昇しており好調。また引き続き健康訴求の食用油が好調だった。
非食品（売上構成比8.3％） 688億9059万円、マイナス4.0％
カイロをはじめとする冬物商材の動きが悪かった。また、ドラッグストアやホームセンターとの価格競争により不調となった。
その他（売上構成比3.0％） 249億4376万円、マイナス3.2％
11月は平年に比べ、気温が大幅に高かったため、本来、この時期に売上げが伸びるはずの、鍋物商材などの冬物の動きが鈍かった。また、青果の相場が下落したことも影響し、伸び率は前月より鈍化したが、なんとか前年同月比を上回った。その中で、水産、畜産は前年割れと苦戦。加工食品は、値上げの影響や米相場の持ち直しなどによりプラスを維持した。
同時に公表された日本生活協同組合連合会（生協）の11月の供給状況は、前年同月比2.5％となり8カ月連続プラス。店舗供給高は2.3％プラスで、宅配供給高も1.8％のプラス。その他がプラス4.4%。こちらは、11月後半に気温が低下するとともに鍋物商材も好調、畜産も引き続き好調と発表され、スーパーマーケットと違ったものとなった。また水産は相場高と不漁の影響で前年並みとなった。
最後に、11月をまとめてみると、既存店の昨対比で、
コンビニエンスストア プラス0.9％
スーパーマーケット プラス0.3％
総合スーパー マイナス1.0％
百貨店 マイナス2.7％
そしてショッピングセンターはマイナス2.9％となった。
これを見ると、11月はとにかく気温高の影響を受け、衣料品を主とする業界が苦戦。また、食品ではどの業界も、鍋物商材が不調となったと声を揃えて回答した。それに関してはコンビニだけがあまり関係ない。小型店ほど天候の影響を受けず、大型商業施設ほど打撃を受けた。
その通りに数字が並んでいるのが、なんともいえずわかりやすい今月の結果だった。
あ～あ、お天気産業の大型小売業よ。
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