11月百貨店売上速報|冬物・インバウンド需要好調で4社とも伸長
主要百貨店4社が11月の売上高速報を発表した。既存店売上高は三越伊勢丹百貨店は前年比109.2%、大丸松坂屋百貨店は111.2%、阪急阪神百貨店は118.0%、高島屋は111.2%だった。
(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長)の国内百貨店売上げ合計は前年同月比で109.2%。伊勢丹新宿本店の店頭売上げは111.7%、三越日本橋本店は108.1%、三越銀座店は130.0%、伊勢丹立川店は109.4%、伊勢丹浦和店は98.9%。首都圏5店で既存店112.0%と二桁増で好調だった。伊勢丹新宿本店は2022年4月以降、20カ月連続でコロナ前の2018年度を上回っている。
伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店では、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドを中心に冬物衣料品(ブルゾン、ジャケット、コート等)やハンドバッグ・宝飾・化粧品が引き続き売上げを牽引した。独自イベントや外国展の催し物も好調に推移して売上げを押し上げた。
また免税売上げは10月に続き、国内百貨店計(既存店)で単月の過去最高売上高を更新した。全体傾向と同様にラグジュアリーブランドのハンドバッグや宝飾・時計など高付加価値商品に関心が見られる。
J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、好本達也社長)は、大丸松坂屋百貨店合計が既存店前年同月比111.2%。博多大丸、高知大丸を含む百貨店事業全体でも111.0%となった。
11月度の売上高は、前半に気温が平年より高く推移したことにより秋冬物衣料品へのマイナス影響があったものの、中旬以降は気温低下により防寒衣料などが回復した。加えて、ラグジュアリーブランド、化粧品が引き続き好調を持続したことなどから、大丸松坂屋百貨店合計では対前年11.2%増、関係百貨店を含めた百貨店事業合計では同11.0%増となった。
店舗別では、心斎橋店、札幌店が対前年2割超の増、東京店、京都店、博多大丸が同2桁増となるなど、15店舗中11店舗が前年実績を上回った。
大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高は、対前年172.7%増(客数227.3%増、客単価16.7%減)だった。
エイチ・ツー・オーリテイリング(株)(大阪市北区、荒木直也社長)の(株)阪急阪神百貨店(大阪市北区、山口俊比古社長)は、既存店前年同月比118.0%。阪急本店では116.1%、阪神梅田本店が150.3%だった。
11月に入り、大阪では最高気温が25℃前後で推移し、冬物ファッションのニーズがやや鈍化したが、中旬以降の気温の低下とともに復調傾向に転じた。引き続き都心店が牽引し、売上高前年比は2桁の伸びを示した。
阪神タイガースが38年ぶりに日本一を果たし、阪神百貨店各店では6日からの5日間、祝賀セールを実施した。阪神梅田本店では、セール期間は前年同週(同曜)対比で3倍以上の売上げとなり、1日当たりの平均売上げはリーグ優勝時を上回った。月間での売上高前年対比も約1.5倍と高伸した。
売上高の2018年対比は119%、インバウンドを除く国内売上高対比111%と、ともに今月もコロナ前水準に対し大きく上回った。なかでも阪急本店は2018年対比125%(同国内売上高対比111%)、阪神梅田本店は164%(同167%)といずれも2桁の伸びを示した。
免税売上高は、6カ月連続で単月として過去最高を更新した。
(株)高島屋(大阪府大阪市、村田善郎社長)の既存店売上高は、高島屋単体の10店舗で前年同月比110.2%、国内百貨店子会社3社を加えると111.2%だった。
11月度の店頭売上高は、国内顧客・インバウンドとも好調に推移したことから、2022年・2018年を上回った。高額品が堅調に推移したことに加え、気温の低下に伴いコートやマフラー、手袋など冬物衣料雑貨にも動きが見られた。免税売上高は、前年比121.4%増、2019年比75.5%増と大きく伸長し、 全体を押し上げた。
店舗別売上高では、大阪店、京都店、日本橋店、横浜店、新宿店、玉川店、岡山店、岐阜店、高崎店が前年実績を上回った。
商品別売上高(同社分類による14店舗ベース)では、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、子ども情報ホビー、スポーツ、リビング、美術、食料品、サービスが前年実績を上回った。