ニトリnews|AIを活用した理想のインテリアを数値化/北海道大と共同研究
(株)ニトリホールディングス(札幌市北区、白井俊之社長)は北海道大学と、部屋の写真や言語情報からインテリアの印象を「冷たい–暖かい」「軽い–重い」の2軸で定量化するAI技術を共同開発した。

生成AIの一種である大規模マルチモーダルモデル(LMM)の内部表現を線形回帰で整列させ、言語で定義した意味軸を空間上に構築することで、部屋のスタイルを誰もが同じ尺度で共有できる仕組みを実現したもの。
たとえば、「Cool-Light(冷たく軽い)」「Warm-Heavy(暖かく重い)」など四つの象限を表す言語表現をこの空間に射影して基底ベクトルを作り、その組み合わせから「冷たい-暖かい」「軽い-重い」の二つの意味軸を定義して、任意の部屋画像、部屋のスタイルが2次元空間上の座標として表現される。この2つの意味軸を言語によって定義するため、軸の入れ替えや再定義が容易であるほか、整列は線形変換のみで完結するため、大規模モデルの追加学習は不要となる。

また、少量のデータと低い計算コストで空間を構築できることも特徴。研究グループはLMM「Qwen2.5-VL」を用い、インテリア画像から色・素材・質感・照明などを説明する文章を生成。その後、画像と言語の潜在表現をPLS回帰で整列し、共通の意味空間を構築した。インテリアにおける現状と理想の差を“スタイルギャップ”として示すことが可能になる。
評価では、専門家が分類した4スタイル(Cool-Light、Cool-Heavy、Warm-Light、Warm-Heavy)が空間上で明瞭に分離し、一致度は82.7%を記録。既存モデルのCLIP(74.0%)やSigLIP2(39.4%)を上回り、少量データでも安定した空間構築が可能であることが確認された。また、ユーザーの部屋写真と「温かみがあって落ち着いた印象にしたい」といった言語表現を同じ空間に配置し、理想に近い実例を提示することが可能。
専門家の感覚に頼らないスタイル診断や、好みの解釈、コーディネート提案など、個別最適化された住空間づくりへの活用が期待される。
成果は9月13日(日)〜17日(木)にフィンランドで開催される国際会議「ICIP 2026」で発表される。ニトリは実務の蓄積で得た知見と北海道大学の学術知を融合させることで、インテリアの客観的評価と提案の高度化を目指す。
