8月百貨店売上速報|4社とも大幅に前年クリア/行動制限解除と反動増が貢献
主要百貨店4社が8月の売上高速報を発表した。既存店売上高は三越伊勢丹百貨店は前年比146.5%、大丸松坂屋百貨店は129.9%、阪急阪神百貨店は142.6%、高島屋は124.0%だった。4社とも大幅に伸長した。
(株)三越伊勢丹ホールディングス(東京都新宿区、細谷敏幸社長)の総売上高は、前年同月比146.5%。伊勢丹新宿本店の店頭売上げは前年比159.3%、日本橋本店は139.6%、銀座店は143.7%、立川店は123.2%、浦和店は117.4%と好調だった。
今年の8月は新型コロナ感染者数は増加したものの、行動制限はなかったことから、影響は限定的だった。高額品への購買意欲が高かった。特に、伊勢丹新宿本店は増税前の駆け込み需要や宝飾品等のリモデルオープンがあった2019年実績を上回り、5カ月連続で統合後過去最高売上を記録した。
免税売上げは、6月の入国制限の緩和を受け、三越伊勢丹計、国内百貨店計ともに前年実績を上回り、緩やかな回帰傾向を見せている。
J.フロントリテイリング(株)(東京都中央区、好本達也社長)は、大丸松坂屋百貨店合計が既存店前年同月比129.9%。博多大丸、高知大丸を含む百貨店事業全体では129.5%。
8月は前年の反動増に加え、ラグジュアリーブランド、宝飾品などの好調が持続した。とくに大丸神戸店では、2019年実績を上回った。
大丸松坂屋百貨店合計の免税売上高(既存店)は対前年489.6%増(客数同415.0%増、客単価同14.5%増)だった。
エイチ・ツー・オーリテイリング(株)(大阪市北区、荒木直也社長)の(株)阪急阪神百貨店(大阪市北区、山口俊比古社長)は、既存店前年同月比142.6%。阪急本店では152.7%、阪神梅田本店が498.7%だった。
前年のコロナ対策強化のための臨時休業の反動もあり、売上高は前年実績を大幅に上回った。ただし7月以降の感染急拡大に伴い、来店客数は低水準で推移した。お盆には、ファミリー層や遠方からの顧客も見受けられたが、大阪では7月下旬から高齢者への外出自粛要請が出ていたこともあり、3世代での来店は少なかった。
インバウンドを除く国内売上高の2019年対比は92%と、7月以降、実績を下回る傾向が続く。一方で、両本店は健闘を見せ、阪急本店は国内売上高2019年対比97%、阪神梅田本店は102%と2019年実績を上回った。
(株)高島屋(大阪府大阪市、村田善郎社長)の店頭売上高は、高島屋単体の11店舗で既存店前年同月比124.0%、国内百貨店子会社3社を加えると前年比123.4%だった。全店が前年実績を上回っている。
8月度の店頭売上げは、前年の反動に加え、高額品が好調だったことから、前年をクリアした。ただし、2019年比では90.0%で及ばず。
商品別売上げでは、紳士服、紳士雑貨、婦人服、婦人雑貨、特選衣料雑貨、宝飾品、呉服、子供情報ホビー、スポーツ、リビング、食料品、食堂が前年実績を上回った。