ファーストリテイリングnews|売上高2兆1300億円・14.4%増でH&Mを急追

(株)ファーストリテイリング(山口県山口市、柳井正会長兼社長)の2018年8月期(2017の年9月1日~2018年8月31日)の連結業績は過去最高の業績となった。

売上収益が2兆1300億6000万円(前期比14.4%増)、営業利益が2362億1200万円(同33.9%増)、税引前利益は2426億7800万円(25.5%増)、純利益は1548億1100万円(29.8%増)。

売上総利益率は前期比で0.5ポイント改善し、グループ全体で進めている経費削減対策によって売上高販管費率も同1.5ポイント改善した。その他収益費用には、コントワー・デ・コトニエ事業などに関わる減損損失や店舗減損など123億円を計上している。また、受取・支払利息がネットで43億円のプラスになったことなどから、金融損益は64億円のプラスとなっている。

主力の国内ユニクロ事業の売上収益は8467億円(6.7%増)、営業利益は1190億円(24.1%増)と増収増益だった。上期は例年以上の寒い冬になり、タイムリーに増産対応ができたことで、既存店売上高は8.4%増と非常に高い伸び率となった。下期はエアリズム、UT、ドライ系シャツといった夏物販売が好調だったことにより、3.3%増となった。

通期の既存店売上高(eコマース含む)は、客数増により、6.2%プラスとなった。またeコマースの売上高は630億円、通期で29.4%増加し、売上構成比も7.3%を占めるまでに拡大している。

海外ユニクロ事業は、売上収益8963億円(26.6%増)、営業利益は1188億円(62.6%増)と、大幅な増収増益だ。これは各国・各エリアで順調に出店が進んで、好調な売上げが継続したことに加え、値引きに頼らない商売への転換などによって売上総利益率が1.1ポイント改善したことによる。

売上高が、今期初めて国内ユニクロ事業を超え、営業利益も国内ユニクロ事業と同水準にまで拡大した。中国、韓国、東南アジア・オセアニア地区、欧州は好調だった。米国は、赤字幅が半減した。

なお、2017年9月にはスペイン初の店舗をバルセロナに、2018年8月にはスウェーデン初の店舗をストックホルムに、同年9月にはオランダ初の店舗をアムステルダムにそれぞれオープンし、好調なスタートを切っている。

ジーユー事業は、通期の売上収益が2118億円(6.4%増)、営業利益が117億円(13.1%減)。想定した水準に比べれば、販売がやや不振だったことで通期の売上総利益率が0.1ポイント低下し、売上高販管費率が1.2ポイント上昇した結果、営業利益は13.1%の減益となった。これは、上期に、防寒衣料のアイテム数が少なかったために実需を取りこむことができなかったこと、下期に、キャンペーン商品が計画を下回ったことに加え、売れ筋商品に欠品が発生したことによる。

グローバルブランド事業の売上収益は1544億円(9.5%増)、営業利益は41億円の赤字(前期は5億円の黒字)と、増収減益となった。減益要因は、コントワー・デ・コトニエ事業などで減損損失を99億円計上したことによる。セオリー事業は増収増益だった。コントワー・デ・コトニエ事業、プリンセス タム・タム事業及び J Brand事業は赤字が継続した。

海外ユニクロ事業が大幅な増益となり、グループ全体の業績を牽引した。同社は、「情報製造小売業」として世界No.1のアパレル小売り企業となることを中期ビジョンに掲げている。なかでも海外ユニクロ事業、ジーユー事業の拡大に注力している。各国において、ユニクロの出店を継続すると同時に、世界主要都市にグローバル旗艦店、大型店を出店し、ユニクロブランドのさらなるグローバル化を図っていく考えだ。

来期の業績予想は、売上高2兆3000億円(8.0%増)、営業利益2700億円(14.3%増)、当期利益1650億円(6.6%増)を見込んでいる。

【結城義晴の述懐】ファーストリテイリングの決算月は8月でユニークだ。その本決算で2兆円を超えた。私自身も感慨深い。確か、初めにユニクロの名前を聞いたのは、マーケティングコンサルタントの黒田節子さんからだった。『食卓革命』『1200食のマーケティング』などの著者。黒田さんが九州のサニーにコンサルティングに行った際、「ロードサイドに勢いよく出店していて、とてもいい店です」と感銘を受けた。その後、山口県の本部で、柳井正さんのインタビューをしてから、とても親しくなり、商業界商人大賞では第1回目の大賞を受けていただいた。

そのユニクロがイオン、セブン&アイ・ホールディングに次ぐ、日本第3位の小売業となり、さらにアメリカのギャップを抜いて、スペインのZARA、スウェーデンのH&Mを急追する、世界第3位のアパレルチェーンとなった。ZARAのインディテックスは2018年1月決算で3兆4202億円、7475店。H&Mは2017年11月決算で2兆7600億円、4739店。アメリカでも日本でも、ヨーロッパのどの国でも、この2社は店を出していて人気だ。ユニクロは多分、3年から5年くらいで、H&Mを捉えるだろう。しかしアイルランドのプライマークなど、新興勢力も登場していて、実に面白いグローバル競争が展開されている。ジャパンテクノロジーのアパレルファッションとして「情報製造小売業」を極めてもらいたいものだ。

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