ファストリnews|’22年8月期は売上収益・営業利益とも過去最高を記録
(株)ファーストリテイリング(山口県山口市、柳井正会長兼社長)が2022年8月期の本決算を発表した。
2021年9月1日~2022年8月31日の業績は、売上収益2兆3011億2200万円 (前期比7.9%増)、営業利益2973億2500万円 (19.4%増)と増収、大幅な増益となった。
新型コロナウイルス感染症が収束に向かうなかで、服に対する需要が回復したことに加え、グローバルで継続的にLifeWear(究極の普段着)のブランディングを強化したことや、生産・物流などの環境変化に機動的に対応できたことで、各国・各地域で売上げが着実に回復した。
また、期初に比べて約29円の大幅な円安となったことで、外貨建て資産などの換算による為替差益などを1143億円計上したことから、金融収益・費用は、ネットで1162億円のプラスとなった。
この結果、税引前利益は4135億8400万円(55.6%増)、当期利益は2733億3500万円(60.9%増)。円安が進んだことで、円ベースの業績は押し上げられたが、為替の影響を除いても、12カ月累計で過去最高の利益を達成した。
売上収益に対する営業利益率は12.9%。
国内ユニクロ事業の売上収益は8102億円(3.8%減)、営業利益は1240億円(0.6%増)と、減収増益。既存店売上高(eコマースを含む)は、前期比3.3%の減収だった。
上期は、冬物売れ筋商品が欠品し、顧客の需要に応えきれなかったことで、前年同期比9.0%減だった。下期は、外出ニーズの高まりに伴い、感動ジャケット・感動パンツやシャツの販売が好調だったことに加え、7月以降は気温が高く推移したことから夏物商品が好調となり、4.7%増収となった。通期のeコマース売上高は1309億円で、前期比3.1%増、売上構成比は16.2%と、順調に拡大している。
海外ユニクロ事業の売上収益は1兆1187億円(20.3%増)、営業利益は1583億円(42.4%増)と、大幅な増収増益だ。円安が進んだことで、売上げ、営業利益とも押し上げられているが、現地通貨ベースでも増収、大幅な増益を達成した。
地域別では、新型コロナウイルス感染症に伴う行動規制の影響を大きく受けたグレーターチャイナは売上収益が5385億円(1.2%増)、営業利益が834億円(16.8%減)となった。ただし、第4四半期の3カ月間は行動規制が解除されたことで、売上げが回復し、増収、大幅な増益となった。韓国は増収増益だった。その他アジア・オセアニア地区(東南アジア・オーストラリア・インド)は、売上収益は約2400億円と前期比約6割の大幅な増収、営業利益率は約19%と大きく改善し、営業利益も3倍を超える大幅な増益となった。外出ニーズが回復したことに加え、積極的なマーケティングにより地元の顧客からの支持がさらに高まり、新規客も増加した。
北米は、大幅な増収で黒字化、営業利益率は10%弱を達成した。コア商品の情報発信やブランディングの強化によって、ユニクロのプレゼンスが徐々に確立され、売上げを大きく伸ばすことができた。
欧州(ロシアを除く)は、大幅な増収で黒字化、営業利益率は約12%を達成した。ユニクロのLifeWearのコンセプトへの支持が高まり、新規客が増加していることに加え、主要都市に出店している地域旗艦店を中心に販売が好調に推移している。ロシア事業は、引き続き営業を停止しているため大幅な減収、減損損失を計上したことで赤字となったが、連結の業績に与える影響は限定的である。
ジーユー事業の売上収益は2460億円(1.4%減)、営業利益は166億円(17.4%減)と減収、大幅な減益となった。上期は、品番数を十分に絞り込めていなかったことや、生産や物流の遅延の影響で売れ筋商品に欠品が発生したことで、販売に苦戦し、減収、大幅な減益となった。下期は、品番数を絞り込み、マーケティングを強化した結果、カラースラックスやスウェット風のTシャツなどマストレンドを捉えた商品の販売が好調で増収となった。また、値引きを抑制したことで、売上総利益率、売上高販管費率がともに改善し、下期の営業利益は大幅な増益となった。
グローバルブランド事業の売上収益は1231億円(13.8%増)、営業利益は7億円の赤字(前期は16億円の赤字)となった。セオリー事業は、米国や日本を中心に業績が回復し、大幅な増収増益となった。着心地がよく完成度の高い軽衣料や、プライスラインを見直した商品を戦略的に拡充したことで、客層が拡大した。プラステ事業は、減収、赤字幅は拡大した。コントワー・デ・コトニエ事業は、増収、赤字幅は大幅に縮小した。不採算店舗の閉店や、事業構造改革を進め、売上高販管費率が大幅に改善した。
次期は、売上収益2兆6500億円(15.2%増)、営業利益3500億円(17.7%増)、税引前利益3500億円(15.4%減)、当期利益2300億円(15.9%減)を見込む。