イオン2014年2月期連結決算、営業収益過去最高6.4兆円でも2桁減益
イオンは10日、2014年2月期連結決算を発表した。売上高に営業収入を加えた営業収益は前年同期比12.5%増の6兆3951億円で、過去最高となった。一方、利益面では2桁減益。営業利益は1714億円（同▲10.1%）、経常利益は1768億円（同▲16.8%）、当期純利益は456億円（同▲38.8%）だった。
日本最大の小売業コングロマリットの地位は揺るがないが、収益面ではライバルのセブン＆アイ・ホールディングスに後れを取る。もっともセブン＆アイもセブン-イレブン頼みの観は免れないけれど。
グループの核となるGMS事業は、収益力の高い業態への転換を目指して既存店活性化と売場の専門店化に継続して取り組んだ。その結果、営業収益は3兆0534億円（同14.6%増）と増収だったが、昨年8月に連結子会社化したダイエーが営業損失を計上したことから、営業利益は350億円（同▲24.5%）で減益となった。下期の天候不順で粗利率の高い衣料品の販売が伸びなかったことも影響した。
SM事業の営業収益は1兆5538億円（同4.9%増）、営業利益は122億円（同▲44.2%）だった。前期に86店舗を新規出店して事業規模を拡大したほか、北海道、東北、東海などのマックスバリュが、他のスーパーマーケット企業との業務資本提携や経営統合を進めたことで、14年2月末の店舗数は1977店舗に増えた。また、ライフスタイルの変化に対応した店舗の活性化を実施したことによって売上げは回復基調になった。
総合スーパーとスーパーマーケットは、今年度、傘下に収めた企業群の店舗フォーマットや物流をはじめとするシステムを整理して効率化を図る算段だろうが、それをやりさえすれば確実に収益は高まってくる。
イオンの「都市シフト」で重要な役割を担う戦略的小型店事業は、営業収益が2801億円（同15.8%増）、営業利益が44億円（同9.1%増）といずれも伸びた。都市型小型スーパーマーケット「まいばすけっと」と小型ディスカウントストア「アコレ」は出店を加速。まいばすけっとは期末店舗数が450店舗になり、単年度黒字に転換した。オリジン東秀の惣菜をこれら小型店に導入したことも売上増に寄与した。
専門店事業は、グループのショッピングセンター（SC）への出店を強化したほか、クレジットカード「イオンカード」や電子マネー「WAON」を活用した販促、プライベートブランド（PB）「トップバリュ」の拡販などに取り組んだが、営業収益は前年同期比▲2.5%の3415億円、営業利益は同▲38.3%の35億円だった。
その他事業では、PBトップバリュについてサプライチェーンの効率化に取り組み、円安・原料高を背景とした値上げ圧力の中、約5000品目で価格維持に努めた。また、ブランド刷新にも着手した。トップバリュの売上高は当初目標の1兆円に届かなかったものの、同8.7%増の7410億円となった。
総合金融事業の営業収益は2856億円（同47.1%増）、営業利益は408億円（同20.7%増）と大幅な増収増益となった。イオンフィナンシャルサービスは個品割賦事業を得意とする東芝ファイナンス（現・イオンプロダクトファイナンス）を連結子会社化するなど総合化を進め、収益基盤を強化した。電子マネーWAONの累計発行枚数は3900万枚、取扱高は1兆5779億円（同31.8%増）に拡大した。銀行業でも店舗内支店を開設したりATM設置台数を増やしりしたほか、みずほ銀行と戦略的提携を結ぶなど利便性向上に取り組んだ。
ディベロッパー事業は営業収益が2197億円（同8.1%増）、営業利益が433億円（同1.0%増）。イオンモールが公募増資、第三者割当増資を実施して財務基盤強化を進めた。加えてイオンリート投資法人に6つのSCの土地・建物を譲渡。新たな資金調達手法を開発して資本効率の改善を図った。前期はプロパティ・マネジメント受託物件1件を含む5SCを開設したほか、既存の11施設についても大規模なリニューアルを行った。海外ではベトナムに第1号店を出店。今後もカンボジアとインドネシアで初出店を控えており、成長市場アセアンでのプレゼンス拡大を目指す。
サービス事業は、営業収益が3873億円（同12.7%増）、営業利益が198億円（同0.6%増）だった。屋内遊戯施設を運営するイオンファンタジーが海外進出を積極的化させ、中国に25店舗、マレーシアに16店舗、タイに11店舗を出店した。
海外は、アセアン事業が営業収益1816億円（同75.9%増）、営業利益は66億円（同▲1.2%）で、中国事業（連結対象期間は主として1～12月）は営業収益が1454億円（同28.8%増）、営業損失が▲17億円（前期比6900万円の改善）だった。
収益性の面はさておいて、アセアン事業のこの成長性は驚くべきもので、イオンの国際戦略眼の高さが如実に表れている。
イオンは2015年2月期連結業績予想を、営業収益7兆円（前期比9.5%増）、営業利益2000億～2100億円（同16.7～22.5%増）、経常利益2000億～2100億円（同13.1～18.7%増）、当期純利益480億円（同5.3%増）とした。
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