マツモトキヨシ2013年度連結決算は増収増益でROA10.2%・ROE9.4%

ドラッグストア日本第1位マツモトキヨシホールディングスの連結決算。
先週15日に発表された2014年3月期のそれは、増収増益の好決算。

matsukiyo

売上高は4953億8500万円で惜しくも5000億円直前。前年比8.6%増。
営業利益は、224億3800万円で、前年比14.0%の増益。
経常利益は、245億1400万円で、こちらは13.1%増。
そして当期利益は、133億5500万円で、18.5%増。

売上対比の営業利益率は4.5%、経常利益率は4.9%。

総資産は2537億0500万円。総資本回転は従って、1.95。

そして総資本経常利益率(ROA)は、10.2%と二桁。
上場企業としては合格ラインを達成している。

マツモトキヨシホールディングスとしては、自己資本利益率のROEを重視している。
これは自己資本に対する当期純利益の割合。

その自己資本は1499億2700万円で、ROEは9.4%。
これは前期比0.4ポイントの向上。


ドラッグストア業界第2位は、サンドラッグだが、その決算は、
売上高4478億1900万円で前年同期比9.9%増、
営業利益が280億5700万円で13.5%増、経常利益287億8100万円で13.8%増。

マツモトキヨシが飛び抜けていいわけではない。

ドラッグストア業界がスーパーマーケットや総合スーパーと比べて、好調と見ることができる。

しかし好調が続いてきたドラッグストア業界でも、競争は激しい。

マツモトキヨシは4つの現象を上げている。
①業種・業態を越えた競合企業の新規出店
②既存の店舗展開エリアを越えた新たな競合の出現
③M&Aによる競合企業の規模拡大
④同質化する異業種との競争や医薬品ネット販売への対応
⑤市場の小商圏化

そのためのマツキヨの対策は、二つの側面から公開されている。
第一に、全国を7つのエリアに分けたエリアドミナント戦略の積極的推進。
第二に、ターゲット別のライフスタイル変化に対応したMD戦略の再構築。

前者は、関東エリアを中心に新エリア侵攻を果たし、
九州エリアを中心にスクラップ&ビルドを積極推進。
グループとしては、102店舗を出店、70店舗を閉鎖。
さらに北陸エリアで(株)示野薬局完全子会社化。

結果として、グループ店舗数は、1,486店舗。
前連結会計年度末と比較して96店舗増加。

一方、既存店活性化で94店舗の改装を実施。

つまり100店近くの店舗増と100店近くのリニューアルを施して、売上高8.6%を実現させた。

 

マツモトキヨシホールディングスには3つの事業がある。
第一の小売事業の売上高は4771億7200万円(前年同期比9.7%増)、
第二の卸売事業151億8600万円(同18.7%減)、
第三の管理サポート事業30億2600万円(同10.9%増)。

卸売事業の伸びが著しいが、ここまで来ると、
エリアフランチャイズ展開やM&Aによる成長のほうが手っ取り早いことは明らかだ。

アメリカのドラッグストア業界では、ウォルグリーンとCVSケアマークが断トツの両雄。
そして8000店間近で6兆円超を売り上げる。

マツキヨの経営ビジョンは『売上高1兆円企業』。
そのために「業界シェア10%、グループ店舗2000店舗」を経営目標とする。
中期目標は「平成28年3月期 グループ売上高6000億円、ROE10%以上」。

人口比では2.5倍のアメリカだから、日本のドラッグストアトップ企業としては、まだまだ。

2014年4月よりスタートする新体制の下、新たな経営戦略は、
「ビッグデータの収集と利活用」及び「マーケティング技法の充実」。
そのために3つの方針を明らかにしている。
① 顧客理解の深化
② 専門性・独自性の確立
③ 事業規模の拡大

顧客接点とコミュニケーションを最適化し、
顧客一人ひとりに合った商品やサービスを、
適切なタイミングで提供する。

同時に、顧客データからその嗜好や行動を紐解き、
顕在ニーズと潜在ニーズの両者を引き出し、
最適なサービスを提案する。

つまり、ワン・トゥ・ワン・マーケティングである。

6つの重点戦略にそれが表れている。

① 狭小商圏モデルの確立とOne to Oneマーケティングの深化
② 地域医療と連携した調剤事業の拡大
③ グループ企業の再活性化
④ オムニチャネル化の推進
⑤ 垂直連携体制の構築
⑥ 業務・資本提携(M&A)の推進

日本のリーディング・ドラッグストアチェーンとして、
Mass MarketingとOne to One Marketingの両サイドからイノベーションを図る。
マツキヨの方向性は妥当ではあるし、ドラッグストアのM&Aはスーパーマーケットと異なり、
順当に進んでいくだろう。

〈結城義晴〉

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