イオンnews|10年間続いた三菱商事との包括的業務提携を解消
イオン(株)(千葉市、岡田元也社長)は、2019年2月末日をもって、筆頭株主の三菱商事(株)(東京都千代田区、垣内威彦社長)との包括的業務提携関係を解消する。
ちょうど10年前の2008年12月16日、イオンと三菱商事は包括業務提携契約を締結した。目的はグローバル競争に打ち勝つための新たな協業関係を構築することだたった。協業による商品調達や物流網構築によって、日本随一の体制を築くことも包括的業務提携の目的の一つだった。
具体的には、三菱商事がイオン株式を4042万2000株まで買い増すことについて合意し、この合意と包括的契約に基づいて、三菱商事が約400億円を投じて、イオンの筆頭株主となった。その結果、三菱商事は、5%ほどのイオンの株式を保有し続けた。今年2018年8月31日時点では、イオンの発行済み株式総数の4.64%を保有していた。
今回、イオンの発表では、「三菱商事の都合」によって、保有するイオン株式の一部を売却したいとの連絡があった。両社は協議の上、合意した。そして今日、12月28日までに、三菱商事はイオンの株式保有率を2.34%まで減らした。
イオンの見解は「当初の提携に至った趣旨に鑑み、包括業務提携契約を継続する意義がなくなったと判断し、当社より提携関係の解消を申し入れた」。
【結城義晴の述懐】イオンと「商事」、セブンと「物産」――これが2018年までの業界の構図だった。つまりイオンと三菱商事、セブン&アイ・ホールディングスと三井物産、それに加えてユニー・ファミリーマートと伊藤忠商事。
イオンは古くジャスコ時代から、三菱商事と連携を取ってきた。ちょっと古い話だが、3社合併によってジャスコが誕生した1969年に、三菱商事との折半出資でディベロッパー企業の(株)ダイヤモンドシティが設立されて、ショッピングセンター開発に関しては先行する動きを示した。この会社は2007年に現在のイオンモールと合併して、業界断トツの地位を占めている。また、物流センター開発に関しても、イオンは三菱食品との連携でリージョナルディストリビューションセンターなどの開発運営において先進的地位を築いてきた。
2008年の包括的資本業務提携は、私はウォルマートによるイオン買収のリスクに対して、イオンと三菱商事とが協業して対抗しようという狙いもあったと見ている。
イオンは年商8兆円を超えて、そのリスクも減って、総合商社の資本を薄める考え方もあるのだと思う。折しも三菱商事は政策保有株見直しを進め、その一環として、イオンの株式保有率を下げたいとの申し入れをした。それをとらえて、イオンが包括的業務提携の解消へと進めた。
その結果、イオンの筆頭株主は日本トラスティサービス信託銀行となる。以下、みずほ銀行、日本マスタートラスト信託銀行、公益財団法人イオン環境財団、公益財団法人岡田文化財団となって、金融機関とイオンの公益財団が主だった安定株主となる。