セブン&アイ ニッセンをTOBで連結子会社化

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セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、同社の完全子会社であるセブン&アイ・ネットメディアを通じて通信販売大手のニッセンホールディングスを買収し、連結子会社化する。2日、セブン&アイHDが発表した。

 

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今回のTOBについては、ニッセンの上位3位の大株主であるコーヒー大手のUCCホールディングス、合同会社THN、およびTHNケイマンからすでに賛同を得ている。2日付でニッセンはUCCとの資本業務提携を解消した。

 

セブン&アイ・ネットメディアはグループのIT・サービス事業を統括する目的で2008年7月に設立された中間持株会社で、資本金は76億6500万円。

 

同社が今日3日から1月22日まで株式公開買付け(TOB)によって、議決権ベースでニッセンの株式50.10%を取得する。買付け価格は1株当たり410円で、買付予定数は3078万6100株。取得額は126億2230万円になる。

 

また、TOBに対する応募が議決権の50.10%に満たないときは、ニッセンHDの第三者割当増資を最大101億4000万円で引き受ける。ニッセンの上場は維持する。

 

ニッセンは今回の資本業務提携で得る資金を、オンラインショッピングサイトを強化するためのIT投資(約20億円)、セブン&アイグループ各社の店頭や各種媒体からの新規顧客開発(約15億円)、自社商品のセブン-イレブン店舗での受取りやセブン&アイグループ各社との業務受委託に必要なIT投資や物流投資(約15億円)、金融機関からの借入金の返済(約51億円)などに振り向ける。

 

セブン&アイとニッセンは今年9月頃から、セブン&アイHDの連結子会社になることを前提に、セブン&アイ・ネットメディアによるTOBを協議してきた。

 

セブン&アイとニッセンはさまざまな分野での協業を想定しており、コスト削減と同時に、チャネルを融合して商品・サービスを継ぎ目なく提供し、お客の利便性と満足度の向上に取り組む。具体的には下記の5つの協力を進める。
1. 顧客開拓
2. マーケティング、販促
3. 取扱商品の拡充
4. 商品開発、SPA(製造小売り)
5. 物流、システム、決済等のインフラ利用

 

ニッセンの2012年12月期の業績は売上高1766億1300万円、営業利益6億0200万円、経常利益9億8800万円、当期純利益2億3900万円。通販売上高1247億円のうちインターネット(スマートフォンを含む)経由の売上げは627億円で、すでに5割を超えている。2013年12月期中間決算では6割に達した。

 

ニッセンは昨年3月、UCCとの資本業務提携に伴って「有店舗カタログ販売」を特徴とするシャディを完全子会社化。また、同11月にはAmazon.co.jpとの間で「大型商品物流インフラの整備、コストの最適化・効率化」を目的とする協業で基本合意していた。

 

しかし、2013年12月期中間決算は営業利益▲16億7600万円、経常利益▲12億3000万円、四半期純利益▲11億6900万円の赤字で、通期でも▲27億円の最終赤字を予想していた。

 

セブン&アイはニッセンを連結子会社とすることで、ニッセンが培ってきたカタログとインターネットによる通販ノウハウを活用する。すべてのチャネルで商品・サービスを提供することでセブン&アイが進める「オムニチャネル戦略」を強化する。

 

「オムニチャネル」をキーワードに、あらゆるチャネルを巻き込んだ小売業界の再編が始まった。

 

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2013年12月4日 10:34更新

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