牛丼3社の暑い夏 8月実績は吉野家だけ合格

価格競争が激しい和製ファストフード「牛丼」。

大手3社の8月の月次実績が出揃った。

 

まず「すき家」を展開する最大手のゼンショー。8月末の店舗数は1959店舗。

 

既存店売上高は前年同期比▲9.9%で、なんと24カ月連続前年割れ。

客数は同▲9.4%。こちらも21カ月連続で前年実績を下回った。

客単価は同▲0.5%で、前月は5カ月ぶりに前年を上回ったものの、8月は再び前年割れとなった。

 

次に2番手の吉野家ホールディングス(HD)。「吉野家」を1195店舗展開。8月末の店舗数がまだ公表されていないので、こちらは7月末の数字。

 

既存店売上高は前年同期比2.9%増。4月に牛丼並盛を100円値下げして280円に価格改定した効果が続き、5カ月連続前年実績を上回った。もっとも4月から3カ月は10~15%の2桁増だったが、前月から1桁に落ち着いている。客数も同9.1%増で同じく5カ月連続前年越え。

反対に、客単価は値下げの影響で同▲5.6%と5カ月連続のマイナスだが、下げ幅は徐々に少なくなってきている。

 

最後に松屋。こちらは速報値。8月末の牛めし事業店舗は984店舗。

 

既存店売上高は前年同期比▲1.5%、客数は同▲2.9%で、いずれも17カ月連続前年実績割れ。一方、客単価は同1.5%増でこちらは2カ月連続プラスだ。

 

【牛丼チェーン3社 2013年8月既存店実績】

売上高 客数 客単価

すき家

(1959店舗)

▲9.9 ▲9.4 ▲0.5

吉野家

(1195店舗 ※ 7月末)

2.9 9.1 ▲5.6

松屋

(984店舗)

▲1.5 ▲2.9 1.5

数字は前年同期比で単位は%。

 

すき家の「牛丼」(並)280円。

吉野家も「牛丼」(並)280円。

そして、松屋も「牛めし」(並)280円。

 

ただし、松屋だけ店内での食事にはみそ汁がつく。

 

一見すると、吉野家の調子がよさそうだ。しかし、吉野家HDが7月に発表した2014年2月期第1四半期決算(3-5月)は、国内吉野家事業の売上高が228億4300万円(前年同期比7.9%増)だったものの、6億6300万円の事業損失(前年同期は4億9700万円の利益)を計上した。寿司の「京樽」やステーキの「どん」、讃岐うどんの「はなまる」が利益を出す一方で、吉野家事業は国内、海外ともに全体の足を引っ張った。

 

すき家のゼンショーも、2014年3月期第1四半期決算(4-6月)は、牛丼事業の売上高が435億6700万円で前年同期比▲0.6%と減少している。中でも既存店売上高は同▲6.4%とこちらも苦しんでいる。

 

松屋の2014年3月期第1四半期決算(4-6月)は、売上高191億7700万円(前年同期比0.2%増)、経常利益589万円(前年同期は2億2500万円の利益)。こちらも最終的に当期純損失▲8769万円を計上した。

 

各社の決算からは牛丼業界の厳しさが読み取れる。もちろん原材料価格の高止まりやエネルギーコストの上昇、店舗の飽和など要因はさまざまある。

 

しかし、最も重要なのは生活者のライフスタイルの変化。だから、牛丼チェーン3社だけを比較しても、その答えは見つからないということになる。

吉野家で好調なうどん、寿司、ステーキ。いずれもベーシックなメニューだ。それに対して牛丼は、すき焼きの丼。考えてみると特殊なメニュー。吉野家が切り拓いた特異なライフスタイルに、3社がしのぎを削る。伸びが留まるのも当然のことだ。しかも暑い暑い8月だった。

ベーシックで、多くの人が、自然に入ってくることができるライフスタイルが支持されていると考えることもできるファストフード3社の8月決算だ。

 

 

 

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