2015年2月期決算はセブン&アイHD、ユニーGHDに明暗、総合スーパーはどちらも苦戦

イオンの決算についてはデイリー商人舎で報告した。
では日本の小売業第2位のセブン&アイ・ホールディングスと、同じく総合スーパーを主力に展開するユニーグループ・ホールディングスの2月期決算はどうだったのか。

 

まずセブン&アイ・ホールディングス。

27年2月期の営業収益は6兆0389億4800万円、対前期比7.2%増。
営業利益は3433億3100万円(同1.1増)、経常利益3414億8400万円(同0.7%増)、純利益1729億7900万円(同1.5%減)。営業収益、営業利益、経常利益はそれぞれ過去最高となった。
さらに、セブン-イレブン・ジャパンと7-Eleven, Inc.の加盟店売上げを計上した「グループ売上高」は、10兆2356億6400万円で対前期比6.6%増と、10兆円の大台に乗った。

グループをけん引するのはコンビニ事業と金融事業。

セブン-イレブン・ジャパンの営業収益は7363億4300万円(8.4%増)、営業利益が2233億5600万円(5.0%増)。これはいわゆる加盟店のロイヤルティからなる本部の収益。
一方、国内チェーンの直営と加盟店のチェーン全店売上げは4兆0082億6100万円(6.0%増)。期末店舗数は43都道府県で1万7491店舗で1172店の増加。既存店伸び率は102.4%。商品荒利率は31.4%と0.7ポイントアップ。日販は9000円ダウンの65万5000円。それでもローソンの53万3000円、ファミリーマートの50万8000円に大きく差をつけている。

 

金融関連事業の営業収益は1782億2100万円(12.2%増)、営業利益は471億8200万円(5.1%増)。
株式会社セブン銀行のATM設置台数は、セブン-イレブン店舗、空港や駅構内、商業施設等への設置拡大により2万0939台。前期末比で1545台増えた。

 

この2事業に比して、スーパーストア事業はどうか。スーパーストア事業はイトーヨーカ堂、ヨークベニマル、ヨークマート、それに赤ちゃん本舗を含めて構成される。営業収益は2兆0121億7600万円(0.1%増)、営業利益は193億4000万円(34.8%減)と苦戦。
なかでもイオン同様、総合スーパーのイトーヨーカ堂の業績が低迷。
武蔵小杉グランツリーで話題をまくも、181店舗で営業収益は1兆2859億4200万円(0.2%減)、営業利益18億5900万円(83.4%減)。既存店売上げ伸び率もマイナス4.5ポイントと厳しい数値だ。

一方、スーパーマーケットの主力企業のヨークベニマルは好調で、200店舗で営業収益は3969億3000円(4.2%増)、営業利益128億2000万円(0.8%増)。既存店売上げ伸び率は0.2%のプラス。
スーパーストア事業でも、総合スーパーと食品スーパーマーケットでは明暗が分かれた。

そごう・西武、ロフトの百貨店事業は営業収益8750億2700万円(0.4%増)、営業利益は70億5900万円(7.1%増)。

デニーズを運営するセブン&アイ・フードシステムズのフードサービス事業は営業収益809億8000万円(3.1%増)、営業利益は4400万円(92.7%減)。人件費、エネルギー費などの経費が増加して営業利益は大きく落ち込んだ。

グループ全体で強化するPB「セブンプレミアム」の売上高は8150億円(21.6%増)と大幅アップ。期初計画の8000億円を上回った。

セブン&アイはセブンーイレブン頼み。これが2015年2月期決算で、ますます顕著になった。

 

さて、ファミリーマートとの経営統合を進めるユニーグループ・ホールディングス。

 

グループ連結業績は、営業収益(売上高と営業収入の合計)1兆189億5900万円(前年同期比1.3%減)、営業利益202億3700万円(20.1%減)、経常利益204億8800万円(18.3%減)。
当期純損失は24億0800万円。前年の純利益74億4000万円から、赤字に転じた。

 

核事業の総合小売業(総合スーパー)は、これまたイオン、イトーヨーカ堂同様厳しい。
ユニーの営業収益7773億2700万円(2.8%減)、営業利益90億1300万円(26.3%減)。
既存店売上高は、客数減が続き、前年同期比2.9%減となった。内訳は衣料6.9%減、住居関連4.7%減、食品1.7%減。期末店舗数は226店。

サークルKサンクスのコンビニエンスストアは営業収益1481億1000万円(0.3%減)、営業利益76億1300万円(19.5%減)。期末店舗数は6069店舗。

 

ユニーGHDは今年度、ファミリーマートとの経営統合という最大課題を抱えるが、総合スーパーをどうするのか。この本質的な課題はユニー自身が立ち向かわなければならないだろう。今、イオン、イトーヨーカ堂、ウォルマート西友を始めとする、総合スーパーを運営する日本中の企業がこの困難な課題に解答を見つけようともがいている。

2015年から2016年への1年間。総合スーパー各社は明暗が分かれて、その明暗はますます鮮明になるに違いない。「衰退業態は立地が限定される」――結城義晴の定理。そのうえで、総合スーパーを新しいフォーマットに細分化し、閉鎖、あるいはフォーマット転換する試みにチャレンジできない企業には、未来は見えない。

 

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