6月の百貨店売上高は昨年同月比0.4%の微増ながらも外国人客数276.5%

昨日はスーパーマーケットとコンビニの売上動向をお伝えしたが、今日は日本百貨店協会より発表された平成27年6月の全国百貨店売上高概況を見てみよう。調査対象は前月と変わらず82社239店。

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6月の全国百貨店売上高は4879億8951万円。

6月は西日本を中心に降水量が多く、気温も低めに推移。また、休日が1日少ないなど、数値上は厳しい条件がついたが、昨年同月比0.4%増とわずかながらも売上げを伸ばした。これで3カ月連続のプラスとなった。スーパーマーケットとコンビニも6月は天候不良の影響を受けて微増となったが、百貨店も梅雨時期に苦戦しつつも、なんとかプラスを維持した。

地区別では、
東京は、1345億0255万円、プラス5.9%(3カ月連続)
大阪は、608億1941万円、プラス3.2%(3カ月連続)
仙台は、65億8284万円、プラス1.3%(3カ月連続)
と上記3都市が3カ月連続のプラスとなった。
しかし他7地区(札幌、横浜、名古屋、京都、神戸、広島、福岡)は、
すべて3カ月ぶりのマイナスとなった。
また10都市以外の地区もすべてマイナスであった。

商品別でプラスとなったのは、
身のまわり品624億2991万円、プラス0.8%(3カ月連続)
雑貨820億3314万円 、プラス18.4%(3カ月連続)
家庭用品235億1967万円、プラス3.9%(3カ月連続)
雑貨が前月に続き二桁のプラスとなり、好調を維持している。

一方、マイナスとなったのは、
衣料品1462億5274万円、マイナス7.7%(3カ月ぶり)
食料品1444億1534万円、マイナス0.1%(3カ月ぶり)

細分類では、化粧品がプラス21.3%
美術・宝飾・貴金属がプラス27.9%
この二つのカテゴリーは大きな伸びをみせている。

また、セール補完策として打ち出した商材、及び各種販促施策などが好調で、菓子がプラス0.6%、惣菜が0.3%と健闘し、全体を下支えすることができた。お中元は、早期展開、ネット強化、新商材投入などの政策によって、順調に前半を折り返した。

訪日外国人客の売上げは、購買客数が276.5%のプラス、売上高も過去最高の307.1%のプラスを記録した。
中国が端午節(6月20~22日)の大型連休だったため、家族連れの来日が増えた。さらにASEAN諸国からの来店客も増加し、好調を維持した。

大手百貨店グループの6月の売上高をみてみると、先月に引き続き、どの企業もプラスである。
  ・㈱三越伊勢丹ホールディングス  5.9%プラス  
      家電が大きな伸び。
  ・J.フロント リテイリング㈱   1.8%プラス  
         宝飾品、ラグジュアリーブランド、化粧品が大幅に売上を伸ばす。
  ・㈱髙島屋(単体13店舗) 1.6%プラス  
      高額品の特選衣料雑貨・宝飾品・美術品等が前年を大きく上回る。
      化粧品等の好調により婦人雑貨も好調。
  ・エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  0.2%プラス  
      先月に引き続き雑貨が好調。

米国の有名旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー」は、同誌が行う2015年の世界人気都市ランキングで、京都市が昨年に続いて1位になったと報じた。7月7日の発表だ。
また、協議が続いていた「世界遺産登録」も無事実現し、これらのニュースはアジアだけではなく世界各国からの訪日外国人客数の増加に拍車をかけるに違いない。そして、それは日本の百貨店のインバウンド購買を増加させる。

2003年に当時の小泉純一郎総理が「観光立国宣言」を発し、その後、2006年、観光立国推進基本法が成立、2008年に観光庁が設置された。中国個人観光ビザ発給開始は2009年7月のことだった。

それから6年、日本の百貨店の6月の売上高を押し上げることに、観光立国コンセプトは大いに貢献している。百貨店業界は小泉元総理に足を向けては寝られない。
しかしそれ以外の小売業、サービス業にも、この訪日外国人の購買の恩恵は確実にもたらされる。そのための仕掛けや工夫は必須だけれど。

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