【6月総合スーパー・食品スーパー】既存店はそれぞれ▲0.5%、プラス0.5%と明暗
日本チェーンストア協会が7月21日に「チェーンストア販売統計6月度速報」を発表した。調査対象企業は57社、9416店。昨年同月より46店、前月より6店増加。売場1㎡当りの売上高は4万1859円だった。
チェーンストア協会加盟企業の半数以上は総合スーパー業態を運営する企業が占めている。したがってこの統計から総合スーパーの販売動向を読み取ることができる。
日経新聞をはじめとしてマスコミで「スーパー」の動向が語られる場合、たいていこの日本チェーンストア協会の統計資料だ。
さて、6月実績は以下。
総販売額 1兆5455億5202万円 既存店前年比マイナス0.5%
2月から4カ月連続でマイナスとなった。
1)食料品 6866億3213万円(構成比65.1%)プラス0.1%
a)農産品 994億7658万円(9.4%)マイナス0.6%
b)畜産品 786億1976万円(7.5%)プラス0.4%
c)水産品 612億9055万円(5.8%)マイナス1.8%
d)惣菜 782億3608万円(7.46%)マイナス0.8%
e)その他食品 3690億0876万円(35%)プラス0.5%
2)衣料品 941億5195万円(8.9%)マイナス3.6%
a)紳士衣料 199億2510万円(1.9%)マイナス7%
b)婦人衣料 254億0293万円(2.4%)マイナス9.1%
c)その他の衣料・洋品 488億2392万円(4.6%)プラス1.1%
3)住関品 2100億3786万円(19.9%)マイナス1.4%
a)日用雑貨品 803億6723万円(7.6%)マイナス0.2%
b)医薬・化粧品 302億9774万円(2.9%)マイナス7.9%
c)家具・インテリア 536億0572万円(5.1%)プラス8.8%
d)家電製品 91億5108万円(0.9%)マイナス8.4%
e)その他商品 366億1429万円(3.5%)マイナス9.1%
4)サービス 29億0371万円(0.3%)マイナス2%
5)その他 608億2637万円(5.8%)プラス0.7%
食料品では、農産品が中旬以降の相場高の影響もあり、前年比0.6%のマイナス。背景には梅雨前線が西日本、九州で活発だったことで作況に差が出たことが挙げられる。衣料品、住関品は、季節商品を中心に後半動きが鈍くなり、総販売額の前年同月比(店舗調整後)は、いずれもマイナスとなった。
婦人衣料は先月に引き続き10%近い大幅マイナスで、全カテゴリーで昨対ワースト1。SPAの台頭による打撃が長期凋落傾向としてはっきりと表れていることがわかる。
同じく6月21日、「スーパーマーケット販売統計調査6月実績速報版」をスーパーマーケット3団体が発表。日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会。今月の発表担当はオール日本スーパーマーケット協会の松本光雄専務理事。
集計企業数は270のパネル企業で、総店舗数は7683店。総売場面積は、1266万3765㎡。店舗平均月商は1億1199万円、さらに売場1㎡あたりの売上高は6.8万円であった。
6月の販売実績。
総売上高 8348億0347万円、
既存店前年同月比プラス0.5%。
2カ月ぶりにわずかにプラスに転じた。
1)食品合計 7663億3844万円(構成比89.1%)プラス0.5%
①生鮮3部門合計 2895億1589万円(33.6%)マイナス0.2%
a)青果 1220億4860万円(14.2%)プラス0.4%
b)水産 748億4455万円(8.7%)マイナス0.8%
c)畜産 926億2274万円(10.8%)マイナス0.4%
②惣菜 821億4151万円(9.5%)プラス1.3%
③日配 1664億6839万円(19.3%)プラス1.6%
④一般食品 2282億1264万円(26.5%)プラス1.1%
2)非食品 693億1602万円 0%
3)その他 247億4246万円 マイナス3.6%
「5月はもたついて、前年割れになったが、6月は全店、既存店ともにかろうじてプラス。ただし、生鮮3品に少し陰りが出ており、水産・畜産は前年を割ってしまった。水産は天候要因もあってか、生魚が不調で全体として入荷不足や相場高が続いた。一方で日配、一般食品、加工食品はやや好調。総じて気温が高くなった影響で涼味関連商材が好調だった。
地方別にみると、天候の要素で格差がつくかと思われたが、中部地方以外は同月比で上回った。保有店舗別では、企業戦略その他を考えると、店舗数が多い企業がやや有利な状態。26店舗以上を超える企業が昨対100を超える状況。保有店舗別の動向については、しばらく注視していく必要がある」
その保有店舗数別動向。
<1~3店舗> 全店売上高 76億5750万円 既存店前年同月比マイナス0.7%
<4~10店舗> 378億0281万円 マイナス0.4%
<11~25店舗> 985億6861万円 マイナス0.1%
<26~50店舗> 1611億9470万円 プラス0.2%
<51店舗以上> 5551億7281万円 プラス0.9%
「原材料の問題、天候の問題、相場の問題などで、牽引していた生鮮部門が若干足踏みをしているというのが6月の特徴。平均気温は平年並みか、やや高めだっ た。中旬では北海道のぞく全地方で1度ないし2度上回る高温状況だった。この影響で日配などの売上高にプラスの要因が出ている」
「今月も客数の低迷が続き、仕入原価や販売価格の下降傾向が続く状況に大きな変化はない。また、天候要因をみても、企業・地域によって良かったり悪かったりで決め手になっていない。ただ、集中豪雨や渇水もあり、これが客数の減少につながったと考えられる。消費の低迷による価格競争の激しさを指摘する声もあり、低価格志向に戻りつつある。プレミアム付き商品券の反動が、ひとつのマイナス要素になっている」
最後に6月のまとめ。
既存店前年同月比は、コンビニエンスストアが2カ月ぶりにプラス0.8%となった。
食品スーパーマーケットもプラス0.5%。
総合スーパーがマイナス0.5%。
そしてもっとも苦戦した百貨店がマイナス3.5%だった。
涼味関連商材や中食の好調がコンビニエンスストア売上げ維持の要因だが、それはスーパーマーケットも同じ。食品の構成比が少ない業態ほど業績は振るわない。5月に引き続き天候要因がそれぞれの業態に影を落とした結果となった。
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