日経新聞「日本の卸売業調査」と卸売業の特徴

恒例の日経新聞調査。
「第42回日本の卸売業調査」が発表され、
日経MJに詳細が掲載された。

製造業、小売業に挟まれ、
やや立場が弱いとみられる卸売業。

しかし、今現在、
最新の悉皆調査として信用度が高い2007年商業統計では、
日本中の卸売業の年間商品販売額は410兆6789億円。
対して小売業は134兆5717億円。

経済産業省調査の商業統計は、
昭和27年から実施されて、5年ごとに、
悉皆調査が行われる。
「悉皆調査」とはすべてに当たって調べること。
「全数調査」とも呼ばれる。

「商業統計」は別名「商業における国勢調査」とも言われ、
「工業統計」と並んで、日本の産業の趨勢を占うもの。

この行政の調査に対して、
日経新聞の調査は、毎年行われ、
今年は卸売業987社を対象に実施された。
そのうち、600社から回答を得た。

昨年2011年度と比較可能な企業は490社。
その全体売上高は34兆4127億円。

2007年とちょっと古いが、
商業統計の卸売業年間総販売額は、
410兆6789億円だから、
10分の1以下の調査ということになる。

もちろん日経調査は企業規模が大きい順に、
漏らさず調べるから、
日本の卸売業が中小企業によって成り立っているということも、
これによって明白だ。

この全体売上高の2011年度比はプラス2.1%。
2011年の2010年対比の伸び率はプラス3.1%だったから、
伸び率自体は減少した。

しかし2011年は東日本大震災が起こった。
そこで食品や医薬品などの「特需」があって、
全体を押し上げたが、
卸売業の衰退が叫ばれる中で、
この調査は3年連続の成長。

調査可能な336社の営業利益は4292億円で、
この比較可能な伸び率はプラス0.3%。
ほぼ横ばいながら、こちらも3年連続の増加。

つまり、比較的規模の大きな卸売業は、
売上げ、利益ともに伸ばしている。

それがこの調査一番の肝となる。

食品卸売業は、全体の4割を占める。
その伸び率はプラス3.2%。
好調だ。

しかし営業利益はマイナス4.3%。

減と全体の足を引っ張った。

巨大企業化が進む医薬品卸売業の売上高はプラス1.9%、
営業利益はなんとプラス43.7%。

ドラッグストアの成長、日本社会の高齢化、
様々な要件によって、医薬品市は拡大している。

その影響を卸売業はストレートに受ける。

繊維卸売業もプラス2.9%の増収。
日経新聞は、「消費マインドの持ち直しが改善要因」と分析している。

日本の卸売業第1位の売上高を誇るのは、
メディパルホールディングス。
年商2兆8110億円、伸び率2.2%。

メディセオ、エバルス、アトル、MMコーポレーションの医薬品卸売業と、
Paltacの化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業会社で構成される。

第2位も医薬品卸で、
アルフレッサホールディングス。
こちらも合併会社で、年商2兆3875億円。
伸び率2.3%。

第3位は、三菱食品。
年商2兆3189億円、伸び率7.8%。

2011年、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークと、
菱食とが4社合併して、誕生。

第4位はスズケン。
1兆8946億円。
伸び率1.9%。

愛知県に本社を置く医薬品卸。

第5位は日本アクセス。
1兆6215億円、伸び率2.5%の食品卸。

第6位は国分。
1兆5023億円、伸び率2.1%。
300年の歴史を持つ食品卸売業。

第7位は東邦ホールディングス。
1兆1404億円。
医薬品卸売業。

この7社が1兆円を超える卸売業。

第8位は加藤産業。
7203億円、伸び率2.5%。

以上、8位までの日本の卸売業は、
食品卸4社、医薬品卸4社。

アメリカの生活産業最大の小売業は、
フード&ドラッグというが、
日本の場合、卸売業が、
フード&ドラッグである。

第9位は日本出版販売。
年商7044億円の書籍・雑誌・CD等の卸売業。

第10位は三井食品。
6347億円。商社系食品卸。

この後、第11位があらた、6163億円、
第12位が伊藤忠食品、6145億円。
第13位バイタルケーエスケー・ホールディングス、5476億円、
第14位トーハン、5035億円。
そして第15位日本酒類販売、5000億円。

ここまでが5000億円以上の年間取引額の卸売業。

食品卸7社、
医薬品・日用品卸6社、

そして書籍・雑誌等2社。

こういった卸売業は、
新しい機能を模索しつつ、
イノベーションを図る。

一般に考えられている卸売業とは、
まったく異なる産業が形成されている。

もう、「流通革命」は、
大手卸売業によって
成し遂げられていると考えてもよい。

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