ファミマnews|中国のファミリーマート事業の裁判で見解を発表
(株)ファミリーマート(東京都港区、澤田貴司社長)は5月20日(月)、中国でのファミリーマート事業における裁判案件報道について、5月17日(金)に続き、同社の見解を発表した。
ファミリーマートは5月17日(金)にこの件に関してコメントを出したが、5月18日(土)に台湾の「頂新集団」が発表した声明も含め、さまざまな報道があるため、再度同社の見解を表明した。
5月17日付けの同社のプレスリリースでは、子会社である(株)ファミリーマート・チャイナ・ホールディング(略称FMCH)が、中国におけるファミリーマート事業に関して、現在係属中の裁判案件についての「FMCHが敗訴した」という報道は誤報であるとしている。
FMCHは2004年に、台湾の「頂新集団」との合弁で、ケイマン法人のCHINA CVS(CAYMAN ISLANDS)HOLDING CORPORATION(CCH)を設立した。現在、FMCHが40.35%、頂新集団の100%子会社であるケイマン法人のTING CHUAN(CAYMAN ISLANDS)HOLDING CORPORATION(TC)が59.65%の株式を保有している。ちなみにカリブ海にあるケイマン諸島はイギリス領だが、代表的なタックスヘイブン(税金避難実施地域)の一つで、諸外国から直接投資を受け入れ、諸外国に直接投資を行う投資資金の中継地である。そのため、多くの企業がケイマンに登記した企業を持つが、このチャイナCVS(CCH)もTCも典型的なケイマン法人である。
FMCHはTC(及び頂新集団グループ各社)とその子会社であるCCH間の「継続的な利益相反取引に関する情報未開示」や「長期間のロイヤルティ支払遅延等に起因した回復し難い信頼関係破壊」を理由として、2018年10月に裁判を起こした。
これに対してTC側は、2018年11月、本裁判の却下および棄却、または、停止を求めるための裁判手続きを提起したが、これは2019年2月に却下された。しかし「CCHの株主間契約に規定する仲裁条項に基づき、回復し難い信頼関係破壊に起因する強制解散命令の法的根拠の有無を仲裁法廷で先に判断すべき」との判断から、暫定的に裁判の審議は停止している。仲裁(ちゅうさい)は、当事者の合意に基づいて、第三者の仲裁人の判断によって紛争解決を行う手続きだが、現在、その第三者による「仲裁」が焦点となっている。
FMCHはこの暫定的な審議停止の判断を不服として、2019年3月、控訴裁判所(the Court of Appeal of Cayman Islands)に対して控訴している。
控訴の審理を行うことについては、すでに裁判所の許可が出ており、今後、適切な時期に審議される予定だ。
裁判の争点である「回復し難い信頼関係破壊の有無」について、ケイマン裁判所か仲裁法廷のどちらで審議されるのかは、ケイマンの控訴裁判所の判決があるまで不明だが、今後も引き続き法的手続きは進められる。
どこで審理が行われるにせよ、ファミリーマートは、その厳正な判断によって真実が認定され、「強制解散命令」が適切な形で決定されることを強く期待している。
判決文は公開資料であり、ケイマンの裁判所(the Grand Court of Cayman Islands)において入手可能である。
ファミリーマートはコメントしている。「本裁判に関し、一部メディアにおいて『FMCHが敗訴した』との報道がなされておりますが、上記の通りTCが主張する本裁判に対する却下及び棄却請求が退けられたものであり、FMCHが提起した本裁判が却下及び棄却された事実はありません。当社グループに対する事実確認なく、このような誤った報道がなされているのは、当社として誠に遺憾です」