セブン&アイnews|体系的な「セブン&アイ経営レポート(WEB版)」初公開

(株)セブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区、井阪隆一社長)は6月26日(水)、経営に関する主要情報ならびにその考え方を集約し、整理した報告書「セブン&アイ経営レポート」(WEB版)を初めて公表した。

これまで発行してきた「コーポレートガバナンス・レポート」に「統合レポート」の良さを入れ込んで一体化することで、同社の中長期の企業価値向上に関する取り組みを、価値協創ガイダンスに基づいてわかりやすくまとめている。「価値協創ガイダンス」とは、企業と投資家をつなぐ共通言語のこと。

また、2015年6月に金融庁、東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を策定したが、そのなかで企業が開示すべき「特定開示項目」を挙げているが、これらについても、レポート上で開示し、説明している。

セブン&アイグループは「あらゆるステークホルダーから信頼される誠実な企業」を目指し、顧客のさまざまななライフステージに応えられる「多業態グループ経営」をビジネスモデルとして事業の発展を推進する。

そして、このビジネスモデルの積極的活用を図るため「中期経営計画」を定め、中長期の企業価値向上とサステナビリティ経営を目指す。

「中期経営計画」(2016年10月発表)における経営方針は次の2つ。
⑴商品・サービスの提供を通じて、顧客の暮らしの利便性を高めるとともに、地域になくてはならない親しみのあるグループになることを目指す。
⑵取引先・世の中の技術革新など、あらゆるリソースを活用し、商品・サービスの絶対的価値、顧客満足度最大化を追求する。

この経営方針を具体的に表したのが以下の5点である。
⑴日米コンビニエンスストア(CVS)事業を成長の柱とし、経営資源を集中させる。
⑵エリアと業態の「選択と集中」を進める。
①エイチ・ツー・オー リテイリング(株)との資本業務提携の基本合意書を締結する。(株)そごう・西武の関西店舗をエイチ・ツー・オーが承継し、そごう・西武は首都圏基幹店へ資産を集中させる。
②(株)イトーヨーカ堂において、首都圏集中・食品事業への重点化を検討する。
⑶総合スーパー ・百貨店の再生に、不動産再開発の視点を取り入れて検討する。
⑷オムニチャネル戦略を見直す。
顧客戦略の観点から、顧客の生涯価値に重点を置く。
⑸2017年春をめどにマネジメントアプローチの観点からセグメントを見直す。

同グループはこの「中期経営計画」を推進するため、①安全・安心とコスト競争力を両立する原材料の調達、②社会のニーズを敏感に捉えた商品開発、③安全性と高品質を堅守した商品の製造、④効率的な物流の確立、⑤毎日の暮らしの安心・便利を支えるサービスの提供、⑥徹底した廃棄物の削減による循環型社会の実現をビジネスモデルとする。

これらを実現させるために「デジタル戦略」「金融戦略」「商品戦略」の3つの戦略を掲げる。
⑴デジタル戦略
従来のデジタル戦略は、eコマース事業を中心としたオムニチャネル戦略だったが、これを改めて「お客様との関係性」を強化するCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)戦略への見直しを図る。

その基盤となる取り組みが、共通グループID化だ。2018年6月から共通IDでつながったグループ各社の新アプリが導入された結果、2019年5月20日時点で7iD会員数が累計1500万人を突破した。さらに新決済サービス「7pay(セブンペイ)」を7月から導入し、2020年度の7iD会員3000万人を目指す。

⑵金融戦略
現在、セブン銀行の持つ2万5000台を超えるATMネットワークを基盤に、現金決済のプラットフォームを構築している。その強みを生かすとともに、新たに導入する「7pay(セブンぺイ)」を通じてキャッシュレスのプラットフォームも構築していく。

⑶商品戦略
食品ロスの問題、労働人口の減少、ドライバー不足による配送料の値上げ問題など、サプライチェーン全体を見直すことによって、持続可能な新たな成長戦略を実現する。

そのために2019年3月からグループ商品戦略本部の中に調達戦略部・物流戦略部・セブンプレミアム開発戦略部を設置した。

近年問題になっている食品ロスについては、「商品調達」の視点から「商慣習の見直し」を図る。食品業界には、製造から賞味期限が6カ月の商品の場合、メーカーから小売業者に納品するまでが2カ月、小売業者が顧客へ販売するのが2カ月、顧客が賞味するまでが2カ月という「1/3ルール」がある。

この「1/3ルール」ではメーカーの納品期限が切れたものが食品ロスになっている。そこで、メーカーから小売業者に納品する期間を1/2の期間に変更し、無駄をなくす取り組みをグループ全体で進めていく。つまり「1/2ルール」の採用である。

また、グループ初の横断的なプライベートブランド(PB)商品として開発された「セブンプレミアム」は導入以降「上質」と「値頃感」をあわせもつ商品開発を推進してきた。今後は「さらなる品質向上」「健康に配慮したおいしい商品開発の強化」「添加物削減の取り組み強化」「環境配慮型包材等の活用」に取り組む。

さらに、気候変動やプラスチックごみなどの環境問題に対応するために、グループの環境宣言「GREENCHALLENGE 2050」を定め、「豊かで持続可能な社会」の実現に向けて取り組む。

具体的には、①CO2の排出量削減、②プラスチック対策、③食品ロス・食品リサイクル対策、④持続可能な調達を推進する。

最後にこの経営レポートでは、同グループの2019年2月末時点の、主要な経営数値も開示している。

(※印2は、セブン-イレブン国外店舗数は2018年12月末現在の数値である)

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